Es glitzert~きらめき(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

翌日、学校内を走り回ってしまった。



何人にも聞いてようやく彼女を見つけた。



次の講義のために廊下を歩いている所だった。



「あのっ!!」



エレナは私の勢いに驚いて振り返った。



「え? なに?」


「・・この前・・・『Ballade』で・・・。 彼と『Czardas』をやったでしょう?」


「・・・え・・・。 マサと? あなたあそこにいたの??」


彼女の疑問には答えずに



「練習もなしに・・あんなにピッタリ合ったのは・・・どうやって、」



悔しいけれど


どうしてもエレナに聞いてみたくなった。




「ああ・・・。 確かに彼と合わせたのはあの時初めてだったけど。 彼が言ったの。『好きに弾いていいよ。』って。」


エレナはそう言って笑った。



「好きに・・・・?」


意外な言葉だった。


「『おれが合わせるから』って。  すごいわよねー。 ほんっとピッタリ合っちゃうんだから。 あんなにテンポが難しい曲だったのに。 なんかね、曲の『空気を読む』のがうまいっていうか。 感性の問題だと思うんだけど、」



エレナはやっぱり彼のことを褒めちぎった。



その後も彼女の賞賛は続いたけど


もうそれは聞こえてこなかった。



もう

練習に練習を重ねたかのような息のピッタリさだった。



あれを彼がコントロールしていたのか、と思うと信じられなかった。




「・・ホント。 きっとすごい演奏家になるわよ。  彼、男としてもすっごく魅力的だし・・・、」


エレナがそう言った時、ハッと我に返った。



「残念ながら今はステディはいらないって言うの。 女性の扱いにも慣れてるし、けっこう遊び人なんだなあって。」


思わせぶりな笑顔を見せる彼女に



「・・・何が言いたいの・・」


思わず聞いてしまった。



「あの夜。 彼、私のアパートに泊まっちゃったの。 自然に近づくのも慣れてる感じで、」




動揺なんかするもんか。



そう思ったけど


やっぱりその時の私はかなり狼狽していたようで、エレナはそれをおもしろがっているようだった。



「あなたも気をつけたほうがいいわよ~~。 お嬢さんにはちょっと手に負えないんじゃない?」



彼女はふふっと笑って私の肩をポンと叩いて行ってしまった。




試験のことなんか


どうでもよくなりそうだった。



今日は彼はバイトの日だから、また帰るのは真夜中だろうし。



部屋に帰ってベッドにドッと身を預けた。




『彼、私のアパートに泊まっちゃったの。』



エレナの言葉だけが何度も何度もリプレイされて。



あんなヤツ


別に関係ないし。


この試験が終わったら、もう別に関係ない。



・・・関係ないんだから・・




真尋とエレナの関係にショックを受ける絵梨沙。 自分ではそんなことを思いたくないのに・・


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