Beloved(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「あ・・・おかえりなさい。」



久しぶりに夫が帰宅して怜子は玄関まで迎えた。



「ん、」


彼女にカバンを手渡してリビングに行くと、



テーブルの上に何冊か小児科医療の本が載っていた。



「・・まだこんなの読んでるの?」



宮下は吐き捨てるように言った。



「あたし・・・いろいろ考えたんだけど。 やっぱりもう一度小児科で研修をさせてもらいたいって、思うようになって・・」


怜子は小さな声でうつむいて言った。



「だから。 小児科なんかダメだって。 リスクばっかでいいことひとつもないし。 訴訟が一番多いのが産婦人科で小児科はその次。 一生懸命やったってそれに見合う仕事じゃないから。」



宮下は少し声を荒げた。



「見合うとかそういうことじゃあ、」


反論しようとする彼女を遮るように



「とにかく。面倒なことになるのはごめんだ。 ・・それに。 おまえだってしんどかったら仕事辞めてもらってもいいんだから。 ムリして続けることもないだろ。」



そういい残してバスルームに引っ込んでしまった。





学生の頃は


お互い夢に向かって励ましあって


あたしの小児科医になりたいという夢も


応援していてくれたのに。



結婚したとたんに


なぜか医師として仕事をすることさえも、疎ましく思っているかのように


全く仕事に理解をしてくれなくなった。





ずっと


心に重く重く圧し掛かる何かが


大きくなって。





『すごく今、充実してるんです、』



泉川の笑顔を思い出してしまった。





「先生。 失礼します、」


怜子は小児科病棟の医師の部屋にやって来た。



「やあ。 久しぶりだねえ。」


メガネを外して小児科部長の藤崎が笑顔で迎えてくれた。


「すみません。 いろいろ忙しくて。」



学生の時、彼のゼミにいた。



小児科医療に情熱を注いで、日本でも有名な小児科医だ。



たまにこうして彼のところにやってきて、話をするのが楽しかった。



彼が書きかけていた書類を見て


「これは・・?」


怜子は尋ねた。



「うん・・・。 一昨日、救急で運ばれてきた6歳の男の子なんだけど。 腕を骨折していて。 他にも・・身体にアザが、」


彼は声のトーンを落とした。



「え・・・」



怜子は表情を変えた。



怜子たち夫婦はなんとなく気持ちが向き合っていないようですが・・・


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