「なんか・・・。 惚れられちゃって、」
一転して泣きそうな顔で言った。
「うんうん。 そんな感じやったな。 ええやん。 まあ、かわいいコやし。 お嬢さんぽいし。」
あくまで適当に言う志藤に
「ぜんっぜんよくない! おれは・・・結婚なんか考えてないのに。 いや、今は・・・別に女の子とつきあおうとかそういうことさえ考えられない、」
泉川はしゅんとなってしまった。
「アホやなあ。 もう不毛な恋なんかやめて。 新しい恋に走ったほうがええやん。 や、恋やなくても。 適当に遊んだりしながら、」
「・・あんなオヤジの知り合いの箱入り娘に手なんか出しちゃったら。 終わりでしょ、」
「ま、そらそーや、」
アハハと笑った。
「・・不毛でも。 今のおれにとっての一番の人は・・・彼女だけです。 いや、二番もない。」
そんな彼を見て志藤は小さなため息をついた。
ほんまに
こうと決めたらテコでも動かないんやな。
自分の思う道を行かないと気がすまないっちゅーか。
しかし
何といっても相手は人妻やで。
自分のものにするなんて
とんでもないことやん。
だから
永遠におまえの手には入らないってのに。
ま
でも純粋やな
最初にコイツに抱いた印象とは全然違う。
バカなのか利口なのかわからへんとこも
何だか憎めないし。
そしてフッと笑ってしまった。
「なにがおかしいんですか???」
怪しまれたが。
「いや。 ま。 養生して早く帰って来いや。 やっぱり一人でも欠けると調子が出えへん、」
志藤のそんな優しい言葉に
ジンとした。
・・・なんかレイコ先生来てくれなくなっちゃったな・・・
あれから怜子は病室に顔を見せてくれなくなった。
忙しいのかな・・
そーだよな。
おれなんかに構ってるヒマなんかねーだろし。
この病院に来てよかったんだろーか。
よけいに虚しくなるだけだったんじゃないのかな・・・
痛みがなくなってくると暇になりそんなことばかりを考えるようになってしまった。
怜子会いたさに無理やり来てしまったこの病院でしたが、余計にムナしくなってきているようです・・・
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