こうして
一人暮らしに猛然と突き進み始めた泉川は吟味に吟味を重ねて
部屋を決め。
さっそく引越しとなった。
「会社にも近いし。 ま、狭いけど新築だし。 今度の日曜に引越しだから・・・。 玉田! 頼むな!」
テンションが上がりっぱなしの泉川に肩を叩かれた玉田は
「・・・断れない・・」
ため息をついてつぶやいた。
「ま。 元気になって良かったんじゃない?」
香織はそんな彼を見ながら言う。
「まーねー。 でも。 ほんまに一人暮らし、甘くないしね。 すぐに現実に気づくんとちゃう?」
南は冷たくそう言った。
「ま、そのうち。 世話してくれる彼女もできるかもしれないし。」
「そやなあ・・」
二人はナニゲに心配しつつ・・・。
「や~~、いい部屋ですね~。 1LDKでもすごく広く感じるし。」
引越しの手伝いに来た玉田はベランダに通じるサッシを開けた。
「なんか。 おれだけの城って感じだよな~~。」
泉川はもうルンルンであった。
「家賃もけっこうしそうですよね、」
「ま。 敷金と礼金は親が出してくれたから。 ま、駐車場代くらいは自分でなんとかすっけど。」
ケロっと言われて
「いーですねえ。 お金持ちは・・・」
思わずため息が出た。
「・・にしても。 コレ、どーすんですかあ?」
玉田は呆れて1つの段ボールを指差した。
それはAVとエロ本の山だった。
「ああ、それ? ベッドの下にでも入れとこうかな。 なんか一つ持ってく?」
泉川は恥ずかしげもなくそれをとり出した。
「・・けっこうです、」
赤面してプイっと横を向かれてしまったので、
「おまえだってエロ本のひとつやふたつ。 持ってんだろ~? かわいこぶっちゃって、」
ちょっとイジワルを言ってしまった。
「・・・いえ、」
さらに純情な彼は無口になってしまった。
「おまえほんっとに彼女とかいないの? 顔はけっこうカワイイのに。 今度合コン連れてってやろっか?」
真剣に肩を叩かれ、
「いえ・・・。 いいです。 合コンなんかに来る女の子なんて気おくれしちゃうし。 ・・きっとそういう場に来倒してるような子ばっかりでしょうから・・・」
小さな声でつぶやいた。
「ま・・・そーなんだけど。 お互い遊びって割り切れば、それはそれで楽しいっつーか。 おれなんか逆にすっげー純情な子がいたりすると困っちゃうし。 めんどくさいし。」
あくまで
軽すぎる泉川は本をしまいながらフツーに言った。
タマちゃんは無理やり引越しの手伝いに借り出されています・・・
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