Tomorrow comes over(19) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

ひとしきり食事を楽しんだ後。



「あ~~。 気持ちい~~。 なんかピアノ、弾きたくなっちゃった、」



真尋は立ち上がっていきなりリビングに置かれたグランドピアノの前に座った。



少し酔ってはいたが、ピアノの前に座ると彼の表情が変わる。




そして弾き始めた曲は



リストの『愛の夢第3番』



真尋もそしてみんなも大好きな曲だった。




いつもコンサートではこの曲を弾く。


真尋の奏でるその曲は


人々の心を揺さぶる。




真尋が北都フィルのデビューコンサートの前日


自らのミニコンサートで披露した。



北都は記憶の彼方からその時のことを思い出し、静かに目を閉じた。



これを聴いて。


真尋がプロとしてやっていけるって安堵をしたことを覚えている。



そしてフラッシュバックのように




『オーケストラを造りたいんです・・・』




そのセリフが脳裏に浮かぶ。



・・・真尋・・?



いや、違う・・



志藤・・・・



北都はその声の主を探した。




静かに目を開けた。


そして同じように真尋のピアノに聴き入る真太郎の姿が目に入る。



・・真太郎・・




まるで


切り取られた光景がものすごい速さで移り変わっていくように


とりとめなく彼の頭に入り乱れ。





同じようにリビングで


幼い真尋があのピアノを弾いて



家族がそれを囲んで笑顔で聴いて。




そこには


今このときと同じように優しく見守る真太郎がいた。





真太郎・・・




北都は片方の目から無意識にはらりと涙をこぼした。




真尋が奏でる美しいメロディとともに北都の記憶が少しずつ・・・


人気ブログランキングへ 左矢印 お気に召しましたらポチっ!わんわん お願いします!

人気ブログランキングへ 左矢印 携帯の方はコチラからお願いしますドキドキ
My sweet home ~恋のカタチ。