Fly to the moon(18) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・・あたしは・・・どんなことがあっても投げ出したりしない! 今までだって・・・ずっと生きるために必死でがんばってきたんやもん・・・。 社長は・・あたしのことを信じてくださって・・・大事な真太郎をあたしに預けてくれたって・・そう思ってるもん・・・」




南は子供のようにどんどん零れ落ちてくる涙を手でぬぐう。





「高宮だって・・・・。 あんたのことひとっつも文句言わずに。 きっと帰ってくるって信じてるからって・・・、」





真太郎は両手で顔を覆った。





「もー・・・ええわ。 こんなわからずやで甘ったれに何を言うてもムダやん! 志藤ちゃん、帰る!!」


南はいきなり立ち上がり志藤の腕を取った。



「は・・???」


もう志藤は嵐のような彼女の頭の中についていかれなかった。





南は最後に茫然としたままでいるリエに



「ほんまに・・・お世話になりました。  ご迷惑をかけて・・・申し訳ありませんでした。」


と、きちんと頭を下げた。



「い・・・いえ、」



彼女がぽかんとするまま、南は志藤を強引に引っ張って部屋を出て行ってしまった。






「・・ええんか、」



志藤は『離婚』さえも仄めかした南に言った。



南は彼に振り向きもせず、



「・・・ええねん。 あたしは。 社長に・・拾われたから。 社長に拾ってもらわれへんかったら・・・まだきっと水商売してた。 ・・お母ちゃんが死んで高校生の弟を遺されて。 弟を大学にやるのも・・学費を貸してもらったり。 あたしらがいまこうしていられるのは・・・社長のおかげやねん、」



まだ泣いているかのような声で言った。




「だから・・・真太郎のためになることはなんでもしたかった。 ていうか。 もう・・真太郎なしでは生きられへんようになってて・・・。」




南は立ち止まった。




志藤はもうたまらなかった。



「もう。 いいから。 なんも言うな、」



小柄な彼女を抱え込むように肩を抱いた。







「・・たいへんな。 奥様ですね、」


リエは何をするでもない真太郎に言った。



「・・・ぼくが彼女に初めて会ったのは。 高校生の時ですよ。 ・・・明るくて、元気で。 もう、楽しいことしか考えられなくて。 あんなに前向きな人にも初めて会ったし。 でも。 自分なんか彼女から見たら・・・子供なんだろうなあって。 ずっと片思いでした、」


真太郎はふっと笑って南との出会いを話し始めた。




真太郎はまるで長い夢から覚めたような気持ちで・・


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