Only to you(15) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「おれは社長があなたに特別なことを教え込んでいるところは今までに一度も見たことがない。 だけど大学生になってからずっと社長の側で仕事をし、社長の手となり足となり・・仕事をずっとしてきたでしょう。 帝王学ってのは・・理屈じゃなくて。 社長としての考えや振る舞い。 そういったことをきっと・・・北都社長はあなたを側においてその姿を見せることで教えてきたんだと思います。 それが『ロイヤルゼリー』なんじゃないですかね。」



志藤はいつもの笑顔でそう言った。




「北都家の長男として生まれ・・・立派に東大も卒業して。 父親の仕事を側で学んで。 あなたは意識していないかもしれませんが・・・もう血となり肉となりあなたのその身体に染み込んでる。」




真太郎は鳥肌の立つ思いだった。




幼い頃から父の背中を見て。


自分が大人になったら、あの人のようになりたいって


いつの頃から思うようになった。



父親として、というよりも社会的にあまりに立派なあの人が常に目標でもあった。




「おれは実家の和菓子屋を継ごうって思ったことは1度もありませんでしたからね。 親戚なんかに言われても一回も心が揺れなかった。 親が仕事をしているのを側で見てはいましたが、そんな気持ちでいたから全くもって身になってないし。 だから・・・あなたが社長を尊敬してその後を歩いて行こう、と決めたとき・・・もうそういう魂が宿るというか。 ・・うまく言えないですけど。」



いつもいつも

未熟な自分を側でこうして笑顔で助けてくれる。



真太郎は志藤の存在の大きさを感じた。



「・・・やはり社長の目は確かでしたね、」


少しだけ笑みを浮かべて志藤に言った。



「は?」



「あなたが・・ここにいてくれて良かった。 父があなたを東京に連れてきてくれて・・よかったって。 本当にそう思います。」



志藤もふと笑って、


「おれが生意気だったからでしょう。 社長の言うことも素直にきかなかったし。 きっと意地でも言うこときかせたかったんちゃいますか?」


タバコの煙を静かに吐いた。



「けっこう。 あの人はそういうのが・・好きなんです。」

真太郎は缶コーヒーを飲み干した。






北都が倒れて、再起不能になってしまったのではないかという噂は財界にも広まった。







「・・・そう、ですか・・・」


志藤は真太郎から報告を聞いた。



ブロードウエイで大評判のミュージカルの日本での上演権が取れなかった。


もう少しでうまくいきそうだったのに、いきなり先方から上演の条件を吊り上げられた。




「足元見てるよな~~~。 こんな条件つきつけて。 断る口実、みたいな。」


志藤は資料を放り投げた。





やっぱり。


社長がいきなり不在になり、もうこの世界に戻れないであろうという噂が立ってしまって

ウチには任せられないって思われたのかもしれない・・・



真太郎は口には出さなかったが、大きく落胆した。



「ま。 しょうがないです。 全部がうまくいくわけやないし。」


志藤は明るく彼の背中をポンと叩いた。







真太郎は夜になり病院の父の元に行った。



まだまだ予断を許さない状態で、意識も戻らず。


心電図を撮る装置の音だけが静かな部屋に響く。



そこにいるのはあの父ではないようだった。



真太郎はそっとベッドの側のイスに座る。




そして、祈るような気持ちで父の寝顔を見た。



父不在の中、真太郎は頑張ろうとしますが・・・・


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