Only one love(17) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「どうぞ。」

萌香はフルーツケーキと紅茶をあゆみに差し出した。


「あ、ありがとうございます。」



あゆみはふっと部屋を見回して

「・・・音楽ばっかって感じなんですね、」


たくさんのDVDやCDや本は全てクラシック音楽のものだった。




「彼。 趣味がないの。」

萌香はクスっと笑った。


「え?」


「音楽が・・・仕事で。 唯一の趣味なの。」

萌香も紅茶に口をつけた。




「真面目な方、ですよね。 斯波さん、」

あゆみは言った。


「もうどこまで真面目なの?って言いたいくらい。 もう頭の中は音楽のことばっかりだから。 いまだにすごい勉強もしているし。」


「勉強かあ・・。 あたしもあそこで仕事をすることになるんだから少し色々勉強したいかなって。」

あゆみはつくづく言った。


「え?」


「お客様も一流ですから。 キャバクラのときみたくバカな話で盛り上がるわけにもいかないし、」


「そうね。 まあ・・新聞を毎日読むようにするといいと思うわ。 博識になろうとするんじゃなくて、色んなことに興味を持って。 あまり背伸びをしないほうがいいわ。 あなたは本当に素直な人だから、そこにいるだけで癒しを感じられるような、」


などと言われて



「そ、そんなァ・・」

ちょっと照れてしまった。



「あなたがご両親が亡くなって一生懸命弟さんを養ってきたことは・・・大変なことだったでしょうけど、誰にでもできる経験ではないし。 本当につらかったでしょうけど、きっといつかそれがムダでなかったってわかる時が来ると思う。 瀬能くんもそんなお姉さんの気持ち、わかってるでしょうし。 どんなにつらいことがあってもね、ほんと人生それだけじゃないんだって。 思うときがくるから、」



萌香は自分の過去のことを思い出してしまった。




真っ暗なトンネルの中で

二度と明るい光を浴びることなどないと思っていた。



しかし

トンネルには出口があった。

自分からその出口を探せば

きちんと見つけることができる。




あゆみは何もかもわかっているように落ち着いてそんな話をする萌香に




「あ、あたし。 ほんとはそんなにエラくもないし。 辛抱強くもないし。 ・・もうすっごいお金持ちの男の人と巡り会って玉の輿に乗っちゃいたいなあとか・・そんなことばっか考えたり。」

照れて笑いながらそんな話をした。


「そりゃあ。 誰だってそう思うわよ。」

萌香は否定もせず温かい笑顔でそう言った。



「・・・ほんと。 斯波さんや奥さんのように・・幸せな家庭を夢見たり、」

あゆみがそうポツリと言うと、


「あたしたちみたいに?」

萌香は意外な顔をした。



「もう・・・絵に描いたような幸せな夫婦って感じで。 ご主人は何があっても守ってくれそうじゃないですか、」


「そんなこと。 初めて言われた・・」

少し赤面してしまった。




幸せとはほど遠いところにいたあたしたちが

人から見たら

『絵に描いたような幸せな夫婦』?




「まあ。 どっちにしろ借金つきの女なんか誰ももらってくれないでしょうから。 もうちょっと頑張ります。 ユーリが一人で稼ぐようになってひとり立ちさせないとダメだし、」

あゆみはいつもの明るい笑顔を見せた。




「赤ちゃん、いつごろ生まれるんですか?」

あゆみはケーキを平らげてしまった。


「えっと・・・9月の終わりくらい、」


「よかったらあたしにもお手伝いさせてください。 赤ちゃん、大好きだし~~。」



本当に水商売の女の子とは思えない

素直で明るくて

普通のOLよりも擦れてない感じで。



萌香はそんなあゆみを微笑ましく見守った。





「なんかいいことあったの?」

斯波は夕飯を取りながらお茶を淹れてきた萌香を見て言う。


「え? なんで?」


「なんか。 顔、笑ってる。」

と言われて、


「え、」

慌てて顔を押さえた。



「別に、」


萌香はふふっと笑った。



萌香は自分の重かった過去を思い出し、あゆみには何とか幸せになってもらいたい、と願います。


斯波と萌香のラブストーリーはpart3 からどうぞ!!




さて。

今年も長々と続くこの『妄想小説』にお付き合いいただいてありがとうございました。

もうすぐこの小説も3年目に突入いたします。


書き始めたころはこんなに続くと思っていなかったので、何だか感無量です。



新年より、ちょっとだけpartⅤをお休みしまして、part4の外伝をお送りしたいと思います。


中学生になった事業部の元本部長・志藤の愛娘ひなたの『初恋』のお話です。


ちょっとずつ大人になって両親の想いに触れてゆくお話になっております。




長くなりすぎて読むのも大変だと思いますが、来年もまたヨロシクお願い致します!!


---Hina合格





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