Only one love(4) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・ごめん。 待った?」

結城は待ち合わせのバーのカウンターに座った。


「1時間後って言ったクセに。 もう2時間も経ってるし、」



その女性は

佐田麗子だった。



「でも。 歓迎会だったんでしょ? 抜けてきてくれたんだ、」

彼女は嬉しそうに言った。


「あんま。 飲まされるのも好きじゃないしね。 ああいう場になると、いろいろ詮索されるし、」

結城はスコッチが入ったグラスを回した。


「事業部の人たちって、結束力あるからねー。 前の本部長の志藤さんって知ってる?」


「ああ・・今もいたけど。」


「あの人のカリスマ的統率力で。 みんなほんと一生懸命やってたし。 斯波さんは・・・音楽に対してはすっごく情熱ある人だけど、無口でね。 あんまりしゃべらないから。 前はずっとオケの責任者だったし、」

麗子はカクテルの入ったグラスの口をそっと撫でた。


「んで。 今は玉田さんが責任者だけど。 あの人ほんっと優しいから。 厳しいことは一切言わないし。 ちょっと頼りなくて大丈夫かしらって感じで、」


「ふうん、」


「女って優しい男が好きって言うけど。 実際は優しいだけの男なんか全然魅力ないしね。 けっこう上からガツンって言われると。 ドキっとしたり、」

麗子は美しい自信たっぷりの目で結城を見てふっと笑った。


「きみみたいなタイプの人はね。 たぶんそうだろうけど。」




「あなたはきっと全然優しくないタイプね、」


「それ、当たってる。」

結城は笑った。


「きっと熱くなったりもしないタイプね、」




「そうだね、」




そして他人事のようにポツリと言った。



佐田麗子は

北都フィルの楽団員になって8年目。

年は29になり、若いオケの中ではかなりのベテランだった。



「結局。 おいしいトコは若い子が全部もってっちゃうのよね~。」

少し酔ってきた麗子は少し愚痴っぽくそう言った。


「千堂茜・・だっけ? こんどソロでコンサートするの。」


「あの子だってまだここに来て1年よ。 志藤さんがすごく彼女のことを気に入って。 ソロで売り出そうって。」


「まあ。 ルックスはアイドル並みだしな、」


「ホクトは結局芸能社だから、ビジュアルでどんどん売り込もうとするのよね、」



そんな彼女に



「なら。 他のオケに行けばいいのに。」


結城はニッコリ笑って普通にそう言った。



「え、」



麗子は少し驚いた。



「ホクトのオケはそーゆー方針でやってきてるんだから。 力だけを評価して欲しいなら、他でやったほうがいいんじゃないのかなあって、」



「・・傷つくこと言うのね、」

麗子は少しムッとした。


「他のオケもいくつか受けたけど。 全部ダメだったし。 何とか北都のオケに受かって・・8年間必死に頑張ってやってきてようやくコンマスにまでなれたのに、」


「きみのウデが確かな証拠だろ? それに。 きみだって十分にキレイだし、」

結城は頬づえをついて彼女を見てニッコリと笑った。


「慣れてるのね、」

麗子は笑う。



「え?」



「女の大好きな言葉。 いっぱい知ってる。」



麗子はそっと彼の手の上に自分の手を載せた。




彼女のマンションまでタクシーで送った。

すると



「もう少し・・・飲みましょう、」

麗子は微笑んで結城にそう言った。


彼はそれにうなずくわけでもなく。

彼女について行った。




麗子が部屋の電気を点けたとたんに

結城は彼女を抱きしめた。



「え・・」



麗子は少し驚いた。



そんな彼女に

何もかもわかりきったような笑顔で



「・・・部屋に誘うってことは。 そーゆーことだろ、」



そう言って

彼女の唇をふさいだ。



不思議な人・・



もう言葉だけで

服を脱がされてしまったようで。



麗子は彼の背中に手をやった。


オケのコンミス・佐田麗子とイキナリ・・ですか??


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