Only one love(2) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

練習が終わって、有吏は後片付けを手伝っていた。


その時に

結城が麗子となにやら会話をしてるのが目に入った。


少し気になったけれど

見てみぬフリをして片づけを続けた。



「おつかれさま、」

茜が声を掛けてきた。


「あ。 いえ、」

一気に心のボルテージが上がった。



茜はちょっと言いづらそうに


「・・さっきの・・」

ボソっと有吏に言った。


「え?」


「あの・・結城さんて人。 営業の人なんだよね?」


「え・・あ、ハイ。」


「今日は、どうして来たの?」


「なんか暇だからって。 一度オケの練習を見たいって言って・・」


「・・・あ、そう。」

彼女は小さく頷いた。



「どうか、したんですか?」


「ううん。 なんでもない。 じゃあ、これからまた学校だから。 またね。」

茜はいつもの明るい笑顔でそこを立ち去ろうとした。



ドアを出る瞬間。



麗子と会話をしていた結城と一瞬だけ目が合った。



それがまるで

彼女にはスローモーションのように見え。


その時

彼が自分を目で追って、少しだけ微笑んだのもわかったけれど。



茜は何だか恥ずかしくなって少しだけ目線をそらして、部屋を出た。




「あのっ、」

帰りの電車の中で有吏は思い切って結城に声を掛けた。


「なに?」


「さっき・・佐田さんと何を話していたんですか?」


「え? 別に。 エルガーはいいけど、ちょっと重たい感じだね、とか・・」

結城は何でもないようにサラっと言った。


「・・そう、ですか。」



別に

それ以上なにも聞くこともなく。

何でもないことだって

その時はそれで終わっていた。




「オケの練習に行ったの?」

後からその話を聞いた玉田は結城に言った。


「ええ。 一度見てみたくて。 やっぱりすごい迫力ですね。 今回の演目はフルオーケストラではないですけど、選曲もいいし、」

結城はニッコリ笑った。


「そう? 今年からいろんなバリエーションでやっていこうって。 斯波さんと話してて。 もっと日本中いろんなところで演奏をしたいし。」


「ぼくもよかったらオケのほうのお手伝いをしたいんで。 何か仕事があったら言って下さい。」


「ありがとう。 練習なら時間があるときにいつでも行っていいよ、」


玉田は嬉しそうに笑った。



そしてようやく時間が取れた事業部で、有吏と結城の歓迎会が行われた。



「歓迎会って言って、ひとりで騒ぎたいヤツがいるからなあ・・」

斯波は飲みまくる南をチラっと見て恨めしそうに言った。


「まあまあまあ。 ほら~~。 斯波ちゃんも一口、どう?」

と焼酎を勧められたが、


「いえ。 結構です・・」

頑なに拒否した。



「おれも呼んでくれちゃって。 気い遣わなくってもいいのに、」

志藤も嬉しそうに笑う。


「ぜったい・・飲み会は来ますよね・・」


夏希がボソっと言ったが、志藤は笑いながら


「ま、おれがいないと始まらないし~。」

彼女の頭をベシっと叩いた。


「・・だから、もう頭はやめてくださいって、」


「ユーリは未成年だからね。 ウーロン茶で許してあげるけど! 結城はちゃんと飲みなさいよ。」

南は怖い顔をして彼にどくどくと酒を注いだ。


「ぼくはどちらかというと日本酒が好きなんですけど、」


「日本酒? しぶ~~。 なんかやっぱり料亭の子って感じするなあ、」



南が冗談で言った言葉に

結城は笑いもせずに、小さなため息をついた。



相変わらずつかみどころのない結城ですが・・・


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