Star gather(7) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・なんっか・・ずっる~~~、」



真尋はため息混じりに言った。


「え?」


「自分はさあ・・南ちゃんて彼女いながらさ。 彼女はキープ、みたいな?」


「キープなんて! シツレイなことを言うな、」

真太郎はムッとして言い返した。



「彼女。 ほんっと真太郎のこと・・・思ってるなあって。」




『あたしは真太郎さんの望みは何でも叶えてあげたいんです!!』




ゆうこの必死な言葉を思い出す。



「すんげえ・・かわいいってゆーか。 見てらんないってゆーか。 もう・・かわいそうになって。」



真尋はさっきの自分の行動を

言い訳のように

説明した。



「ほんと、悪い男だな、おまえ。」


そしてとどめのように言われて、


「おまえに・・言われたくねえって、」

真太郎は口を尖らせた。




真太郎は

酒には全く弱く。

普段はほとんど飲まない。

成人した後は、父に連れられてパーティーなどにも行ったりするようになったが、そういう場でもつきあい程度でほんの少し口をつけるだけだった。




もう

ワインを何杯飲んだか。


ものすごく

頭がボーっとしてきた。



「なんで。 急にクラシックなんかやろーって思ったの、」

真尋は全く酔っていないようだった。


「・・おまえの・・・演奏見て。 ほんっと・・すっげーって思った。 クラシック音楽にこんな力があるのかって。 それから・・・いっぱい・・CDとかDVDとか・・買って来て。 オケって・・いいなあって。 いろんな楽器が・・ひとつの音楽を造りだして・・・。 前から・・好きだったけど・・自分の手でそれが・・できたらって・・・」

真太郎は言葉もおぼつかなくなってきた。


「おまえが。 音楽に戻りたくなった気持ちも・・・ものすごく・・よくわかって。 なんとか・・一緒に頑張っていけないかって、」



真太郎はもうフラフラになって

ベッドに倒れこむように眠りながら話しているようだった。




「酒・・よえ~~~。」

真尋はふっと笑ってしまった。






ん??


真太郎は重いまぶたをゆっくりと開けた。



身体が重い・・と思ったら

真尋の足が自分のおなかの上に乗っていた。


「・・お・・おも・・・。」

それを鬱陶しそうに乱暴にどかした。




あ~~~。

結局。

土下座しただけで。

酔っぱらって

寝ちゃって。




真太郎は自己嫌悪に陥った。



もう

8時になるし

今日は学校に行かなくちゃ、だし・・。



まだ

グウグウと眠っている真尋を置いて、部屋を出た。




真尋がウイーンに帰るまであと2日。




真太郎は夕方ごろ出社した。

二日酔いで結局、講義に出ても

ほとんど身に入らなかった。




「あ、おつかれさまです、」

ゆうこが立ち上がった。


「・・夕べは・・どーも、」


「顔色、悪いですけど・・」


「いえ・・何でも・・」

疲れた様子でデスクについた。




それから1時間ほどしたあと。

ゆうこが給湯室で洗い物を終えて出てくると、



「よっ!!!」



いきなり真尋が現れて、ぎょっとした。



「まっ・・・真尋さん!」



夕べのことを思い出し、思わず身構えてしまった。


「あ~~、なんもしないし! 白川さんのコーヒー飲みたいな。 淹れてくれる?」

とニッコリ笑った。




本当に

いたずら小僧のような笑顔で。




むちゃくちゃだけど、憎めない真尋でした・・

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