「ブギウギ」 第126回（最終回）
第26週「世紀のうた 心のうた」
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タケシ） いや～最後にさよなら
コンサート、大賛成です。会見
だけじゃ、本当のお別れになり
ませんね。
大野） わだしも、大賛成です。
もう一度スズ子さんの歌聴き
てえって人、大勢いますがら。
小田島） 今回ばかりは自分たちも、
会場に行かせていただきます。
スズ子） 愛子、どないしたんや？
愛子） マミーは、もう二度と
歌は歌わへんのやろ。
大野） そったごどねえですよ。
タケシ） そうだよ。鼻歌くらい
毎日歌うに決まってるよ。
寝る時は、子守唄だ！
愛子） マミーは、
絶対歌わんと思うわ・・・。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜夜＞
スズ子） 愛子・・・。何で、マミーは、
もう、絶対に歌わへん思たん？
愛子） さあ・・・何でかそう思うた。
マミー、もう絶対に歌わへんやろ？
どんな感じなんやろ？ 歌を歌わ
へんマミー、想像つかへんわ。
せやけど、それでええねん。
マミーがそうしたいんやったら、
それでええねん。
（愛子を抱き締めるスズ子）
スズ子） あんた、何でそないに
ええ子やねん。誰が育てたんや。
愛子） マミーやがな。
スズ子） せやな。マミーや。
マミーと、愛助さん。
ダデーの自慢や。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（花がいっぱいの楽屋で、タイ子
からの手紙を読むスズ子）
（小夜からの手紙には、
サムと一緒の写真）
タケシ） スズ子さん！
来た、来ちゃった、来ましたよ！
スズ子） 何やねんなター坊。
タケシ） 何やねんやなくて、
誰やと思いますねん。
リリー） やかましいねんあんた！
さっさと入れんかいな！
（秋山、リリー、和希、林が来る）
スズ子） ぎゃ～っ！
リリー） スズ子！
スズ子） 来てくれたん！？
「ぎゃ～」やあらへんわ！
もう会いたかったわ！
和希） ウチらがスズ子の引退
見届けんわけにはいかんやろ。
上の子3人置いて畳屋休んで
きたわ。
秋山） 2人がどないしても
行きたい言うて。これも。
（花束をスズ子に渡す秋山）
スズ子） あはは、林さ～ん。
あかんあかん！ もう泣く～！
リリー） 泣くな泣くな！
化粧落ちんで。
和希） ホンマに、よう頑張ったな。
あんたはウチらの誇りや。
スズ子） ありがとう。
あんたらこそ、ワテのスターや！
林） 飲め！
秋山） ほな、最後にあれ
やっときますか。
スズ子） やろやろ！
やりたいわ！ 何年ぶりや！
林） やるか？ よっしゃよっしゃ。
リリー） 男子禁制です。はい。
4人） せ～の！
強く、逞しく、泥臭く、そして・・・。
林） いくぞ！
一同） 艶やかに！
（坂口と山下も来る）
スズ子） ぎゃ～っ！
山下さん、坂口さん！
ご無沙汰してます！
坂口） ホンマに引退するんでっか？
ほんなら、うちで漫才してほしい
ですわ。
スズ子） あっ、坂口さん、今度村山
興業の専務になりはったようで。
坂口） ワシが専務やなんて、
もう潰れてしまいますわ。
（笑い声）
山下） ホ・・・ホンマに、
タケシが、面倒かけて・・・。
ワシは・・・ワシは・・・。（泣）
（山下を抱き締めるスズ子）
スズ子） 山下さん。
タケシ） お願いします。
（タケシも抱きつく）
山下） お前はあっち行け！
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（満員の客席に、愛子と大野）
（幕が上がる）
（拍手と歓声）
愛子） マミー！
（シャンパンゴールドの
ロングドレス姿のスズ子）
スズ子） 皆さん、今日は、
ワテの、さよならコンサートに、
こないにぎょうさん、お越しいた
だいて、ホンマに、感謝の言葉
しかありません。
（拍手）
スズ子） もうさっきから楽屋の方に
もね、いろんな人が、挨拶に来てく
ださって。あれ？ この人、まだ生き
とったんかいないう人から・・・。
（笑い声）
スズ子） ホンマに、お世話になった
人までねえ・・・。ホンマに、誰一人
欠けても、歌手としての、ワテは、
存在してなかった思います。
ホンマに、お客様、お１人お１人に、
お礼、感謝の言葉をお伝えして、
できれば、ほおずりもつけて、
回りたいくらいですわ。
和希） 頑張れ～！
リリー） スズ子～！
秋山） 福来さん！
林） 泣くのはまだ早いぞ！
松永） グッド ラ～ック！
観客） 頑張れ～！
観客） 頑張れ～！
観客） スズ子～！
（拍手と声援）
スズ子） 何や・・・もっと、もっと、
言いたいこと、言わな、あかん
ことが、あったんでっけど・・・
もう、胸が、いっぱいですわ！
この、小さな胸を、かっさばいて、
言葉を、引っ張り出したいんで
っけど、もう、何も言えまへん。
皆さん・・・皆さん・・・今日まで、
応援してもろて、ホンマに、
ありがとうございました！
（拍手）
（身を乗り出すおミネと
パンパンガールたち）
おミネ） それはこっちのセリフだよ！
（拍手と声援）
（涙をこらえ、拍手を送る橘）
（涙を流しながら拍手する股野と、
水城アユミ）
スズ子） せやな！ ふふふ・・・。
ワテかて、皆さんのこと、
ごっつい応援してまっせ！
愛してまっせ！
（拍手）
スズ子） ほなら、
歌わせていただきます。
皆さん、大好きな、この曲。
（オーケストラピットに向かい、
頷くスズ子）
（ピアノを弾く善一）
スズ子） ♪「東京ブギウギ
リズムウキウキ
心ズキズキ ワクワク
海を渡り響くは 東京ブギウギ
ブギの踊りは 世界の踊り
二人の夢の あのうた
口笛吹こう 恋とブギのメロディ
燃ゆる心の歌 甘い恋の歌声に
君と踊ろよ 今宵も月の下で
東京ブギウギ リズムウキウキ
心ズキズキ ワクワク
世紀のうた心のうた」
善一） トゥリー トゥ ワン ゼロ！
スズ子） ♪「東京ブギウギ ヘイー」
（歓声）
愛子） マミー！
リリー） スズ子～！
（高く上げた両手を振りながら、
ステージを右へ左へ、
笑顔を振りまくスズ子）
スズ子） ♪「さあさブギウギ
たいこたたいて
派手に踊ろよ 歌およ
君も僕も 愉快な東京ブギウギ
ブギを踊れば 世界は一つ
同じリズムとメロディよ
手拍子取って
歌おうブギのメロディ
燃ゆる心の歌 甘い恋の歌声に
君と踊ろよ今宵も 星をあびて
東京ブギウギ リズムウキウキ
心ズキズキ ワクワク
世界のうた楽しいうた
東京ブギウギ
ブギウギ陽気なうた
東京ブギウギ
ブギウギ世紀のうた
歌え踊れよ ブギウギ ヘイー」
（拍手と大歓声）
愛子） マミー！
（怒った顔で涙を
こらえているりつ子）
スズ子） おおきに！
（手を振り、客席に向かい、
大きな投げキッスを送るスズ子）
（ひざまずき、手の平にキスをして、
その手を、ステージに置く）
この日、スズ子は、羽鳥善一から
送られた全ての曲を、心に刻み
つけるように、歌い切りました。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＜昼の食卓＞
（談笑する声）
愛子） そんなんちゃう、そんな
んちゃう！ ホンマに怖いねん、
体育の田辺先生。持久走サボ
ってたら叱られたわ。
スズ子） そらサボったら
叱られるがな。
一） 俺なんか昨日も
げんこつされたぜ。
小田島） 一、コラァ～！
（笑い声）
タケシ） お代わり！
大野） 自分でよそいなさい。
スズ子） お代わり！
大野） スズ子さん！
スズ子） そやで。
自分のことは自分でやる。
やれんことは、やってもらう。
ほんで、やれることは、
やってあげる。
人に生まれてきたからには、
み～んなに義理があんねん。
その義理を果たすんが、
人情やと、ワテは思うねん。
せやから、この世は、
義理と人情だらけや。
ちゅうわけで・・・お代わりや！
タケシ） あははは！
スズ子） お願いします！
大野） やられだ～。
（笑い声）
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
スズ子のモデルになっている、笠置シヅ子
さんは、生涯鼻歌さえ歌わなかったらしい。
すごいよね。最高の自分を記憶に残したい、
最高のパフォーマンスができない自分は許
せないという潔い人。スズ子が、羽鳥善一
の最高の人形でありたいと願い、羽鳥の歌
しか歌わなかったことも含め、本当に、唯一
無二の関係だったんだなあとしみじみ思う。
善一にピアノから始まり、東京ブギウギスロ
ーバ-ジョンでしっとり聴かせ、「トゥリー トゥ
ワン ゼロ」のかけ声でいつものバージョン
に変わっていくのが最高！ ここはやっぱり、
「トゥリー トゥ ワン ゼロ」じゃないとね。二人
のアイコンタクトも最高。ずっと音楽で一緒
に遊んできた２人の、最後の最高に楽しい
遊びの時間。最高にズキズキワクワクした。
ありがとう趣里ちゃん、ありがとうツヨポン！
素晴らしいエンタテインメントを、音楽を楽し
む心を、素晴らしい曲を、歌を、ありがとう！
最高の福来スズ子、羽鳥善一でありました。
彼ら以外のキャスティングは考えられない。
自分のことは自分でやる。
やれんことは、やってもらう。
ほんで、やれることは、
やってあげる。
人に生まれてきたからには、
み～んなに義理があんねん。
その義理を果たすんが、
人情やと、ワテは思うねん。
せやから、この世は、
義理と人情だらけや。
すべてが繋がっている、良きドラマでした。
義理と人情、血の繋がりだけじゃない関係。
完璧な人間は、いない。聖人君子もいない。
誰だって人に認められたい。褒められたい。
嫉妬だってする。ウソもつく。間違いは誰に
でもあるし、失敗することもある。人には、い
ろいろな顔がある。いい面も、悪い面もある。
逃げてもいいし、逃げなくてもいい。いつで
もやり直せるし、やめてもいいし、始められ
る。自分のことは自分で。やれんことはやっ
てもらい、やれることはやってあげる。うん。
シンプルでいいね。そして、凄く大事なこと。
「ラッパと娘」が大好きな曲になったこと。い
つも、頭の中でブギが流れていた半年間！
歌を楽しむことを教えてくれた朝ドラでした。
♪楽しいお方も、悲しいお方も、
誰でも好きなその歌は
バドジズ デジドダー
今回も、何とか完走できました。結局、途中
から全書きスタイルに戻ってしまうほど、会
話が楽しかった。まあ、それもまた良き良き。
おつきあいくださり、ありがとうございました。
「虎と翼」は、好きなセリフの抜き書きぐらい
のつもりで走りだそうと思っています。ゆる
ゆると、新しい世界を楽しめればいいなと。
ご一緒にズキズキワクワクいたしましょう♪
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