「らんまん」 第37回
第８週「シロツメクサ」
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万太郎） あ…お願いですき、
野宮さんの絵、見せてもらえ
ませんろうか？
野宮） 見せられませんよ。
君よそ者でしょ？ 教授の
ご指示を頂いてきますので。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
万太郎） 差配さんには、
これから世話になりますし、
わしも、元気出しとうて…。
りん） どうしたんだい？
元気ないのかい？
万太郎） フフ…。
りん） あっ…にしても、
大学に通えるなんてね！
小学校も出てないのに、
大学に通うだなんてさ、
愉快だね。
万太郎） りんさんは、そんな
こと、言うてくれますか？
りん） 愉快だろ？
ホラ話みたいでさ。
万太郎） あ…。
りん） まあ…うちらかしたら、
大学の学生さんなんつったら、
雲の上のお人だからね。
万太郎） この国じゃ、植物学は遅れ
ちょりますき。まだ、学問を始めるた
めの準備を、やりゆう最中ですき。
関心ある者らあが、総がかりで
やらんと、いつまでたったち、
外国に追いつけません。
けんど今は、志す人さえ…。
りん） まあ、植物学をやろうなんて
いうお方は、いないでしょうねえ。
一文にもなんなそうだよ。
万太郎） ん～…まあ、ほうですね。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
りん） 仲間に、
入れてもらえないのかい？
そりゃそうだよ。
よそから来る人間は、怖いよ。
ましてや玄関じゃなく、いきなり縁側か
ら、上がり込んだみたいなもんだろ？
泥棒なのかお隣さんなのか、
福の神かも分かんないしね。
うちだって、みんなでドクダミ抜いて
大騒ぎしたから、万さんの人となり
が分かったけど、分からないものは、
気味悪いよ。
万太郎） あ…き、気味…
悪かった、ですか？
りん） そりゃあね！
引っ越してきた途端に、あっという間
に、反故紙だの、ほら枯れ草だので
いっぱいにしてさ！
万太郎） いや…枯れ草じゃないですき。
りん） そのタヌキの巣穴みたいな部屋
でさ、万さんニコニコしてんだもの。
あっ、こりゃ悪い人じゃない、変わった
人だって。分かってよかったよ。
万太郎）よかったですか？
りん） フフ…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
万太郎） 大学は、
植物学を目指す人らあがおる。
憧れた、夢のような場所じゃ。
けんどのう…さみしいがよ。佐川で、
一人っきりでおった時よりのう…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
よそ者は怖い。うん、人間、知らないもの
は怖い。知らないことは怖い。でも、その
正体を知れば、怖くなくなるのよね。人も、
その人なりを知れば、恐れることはない。
万太郎を知れば、きっと彼を好きになる。
…と思うんだけどね。それはこれからの
お話。万太郎に会いたいと思うようにな
ってきた寿恵子。恋バナもこれからだね。
ワクワクする展開の前には、きつい場面
も多くなるもの。それまでの我慢、我慢。
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