「舞いあがれ!」第85回~新しいことが見つかるまで、待ったらええやん | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

舞いあがれ! 第85
第18週「親子の心」
新しいことが見つかるまで、

待ったらええやん

 

 

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(テーブルにおかずを置く舞)

舞) よし…。

 おなかへった…。

めぐみ) ただいま。

舞) お帰り。遅かったなぁ。

めぐみ) ちょっとやらな

 あかん仕事あってな。

舞) そっか。

めぐみ) ばんばから手紙来てんで。

舞) ホンマ? ありがとう。

 何やろ…。あっ。ああ…。

めぐみ) ヤング釣りフェスタ?

舞) これ、私も相談乗ってんで。

めぐみ) へえ~。

舞) ふ~ん。

 

**********

 

電・祥子) ああもしもし。

 届いたか? どがん?

 若いもんにウケそうね?

電・舞) バッチリちゃう?

 盛り上がったらええなぁ。

電・祥子) およ。

 信吾も、豪さんも、

 準備で忙しくしちょる。

 舞はどうね?

 仕事や頑張っちょっとね?

電・舞) うん。お父ちゃんの夢やった、

 飛行機の部品作んのに、

 挑戦してんねん。

電・祥子) 飛行機の部品? 

 そっや、すごかねぇ。

電・舞) お父ちゃんの夢まで、

 あともう一歩や。

電・祥子) およ。

 無理せんで、ぎばっとぞぉ。

電・舞) うん。

 

**********

 

いよいよ、ボルトの品質試験の、

結果報告の日です。

 

山田) 菱崎重工の、荒金さん、

 来られました。

めぐみ) 笠巻さんと、章君も、

 呼んできて。

山田) はい。

舞) 行ってきます。

 

**********

 

荒金) IWAKURAさんに作って頂いた

 航空機エンジン用ボルト、その品質

 検査の結果をご報告します。このボ

 ルトは、その強度、耐久性をはじめ、

 あらゆる品質において、朝霧工業さ

 んと比べても遜色ない素晴らしい

 出来栄えでした。

(嬉しそうに握手する笠巻と章)

荒金) ただし、今回のボルトの

 本発注は、朝霧工業さんに

 お願いしたいと思ってます。

めぐみ) そうですか。

舞) それは、やはり、うちの設備と、

 資格が不十分だからでしょうか?

荒金) はい。今回はすぐに量産態勢

 に入ってもらうことになりましたので。

めぐみ) このような機会を頂戴した

 だけでも、光栄です。主人はずっと、

 航空機部品を作ることを夢みて、

 この会社、続けてきましたんで。

荒金) 岩倉浩太さん…懐かしいです。

舞) 父を、ご存じなんですか?

荒金) はい。私が、まだ新人で長崎に

 赴任したばかりの頃、本当にお世話

 になりました。オール日本製の航空機

 を作るんだと、2人で大きな夢を語り

 合っていたので、正直会社を辞めて、

 小さな工場を継ぐと聞いた時には、信

 じられませんでした。でも、奥様やお

 嬢さんにお会いして、ここにあの時の

 浩太さんの思いがちゃんと残っている

 ことが分かって、とても嬉しかったです。

めぐみ) そうでしたか。

荒金) 岩倉さん、将来的に、航空機部品

 に特化するお考えはありませんか?

 航空業界の市場は、今後も需要が拡大

 するといわれています。御社が、本気で

 航空機部品の製造をやりたいと思われ

 るなら、私も何かしらのお力になりたい

 と考えております。

舞) ホンマですか?

荒金) IWAKURAさんの旗印のもとで、

 東大阪のいくつかの会社がタッグを

 組む新しい形態ができるなら、そう 

 遠い話ではないと思います。

舞) 社長!

めぐみ) 弊社は以前、自動車業界に参

 入するために、工場を拡大させました。

 ただ、その直後、リーマンショックが起

 きて、社員を、リストラしないといけない

 事態に陥りました。主人が亡くなったの

 も、ちょうど、そのころです。夢のある話

 には、必ず、リスクも覚悟しなければな

 りません。先代が生きてるならまだしも、

 私では、そんなリスク、挑む勇気があり

 ません。なんとか、今の形守って、コツ

 コツと、続けていくのが、精一杯です。

舞) お母ちゃん…。

めぐみ) IWAKURAが、航空機部品に

 特化することは、この先も、ないと、

 思います。

荒金) そうですか。

 

**********

 

<夜>

(仏壇にボルトを置く舞)

舞) お父ちゃん見て?

 この加工すごいやろ。

 お父ちゃんが夢みた、

 航空機部品やで。

 お母ちゃん。お母ちゃんも、

 お父ちゃんとおんなじ夢、

 みてるもんやと思ってた。

めぐみ) みてたよ。

舞) え?

めぐみ) この4年間で、IWAKURAが、

 なんとか軌道に乗って、次に目指す

 のは、浩太さんの夢の実現やて思

 てた。けど今回、航空機部品にチャ

 レンジしてみて、この夢が、どんだ

 け大変なことか、よう分かった。

 それだけやのうて、私がこの先、

 会社をどないしていきたいか、

 改めて、考えるきっかけになった。

 ほんで、考えて、考えて、考えて…

 出した、答えが、荒金さんにお伝え

 したことやねん。相談せんと、勝手

 に決めて、ごめん。

舞) ううん。お母ちゃん、

 かっこええ社長さんやわ。

めぐみ) アハハ…

 何やの、怒られると思たわ。

舞) えっ、何で?

めぐみ) 私一人では無理やった。

 舞が一緒に、頑張ってくれたよって。

舞) ううん。

めぐみ) これからも、よろしゅうに。

舞) こちらこそ。

めぐみ) お父ちゃん、

 許してくれるやろか…。

舞) 大丈夫。「このボルト、よう作ったな、

 ありがとう」、言うてくれてるわ。

 

**********

 

<デラシネ>

貴司) そっか。ほな、IWAKURAは

 飛行機の部品はやらへんねや。

舞) うん。お父ちゃんの夢、

 かなえられへんかった。

 これから、何目指したらええんか…。

貴司) 飛行機の部品に代わる目標?

舞) うん。

 お母ちゃんの考えは分かったけど、

 何や、心に、ポッカリ、

 穴開いてしもた…。

貴司) 焦ることないよ。

舞) え?

貴司) ゆっくり気持ちの流れに任して、

 新しいことが見つかるまで、

 待ったらええやん。

 

**********

 

<IWAKURA・事務所>

電・舞) もしもし。

電・荒金) 菱崎重工の、荒金です。

電・舞) あっ、荒金さん。

 先日は、ありがとうございました。

 あの…どうされました?

 

**********

 

<会議室>

舞) 失礼します!

めぐみ) ちょっと舞。会議中やで。

舞) すいません。

 けど、皆さんにはよお伝えしたくて。

章) どないしたん?

舞) 菱崎重工さんからじきじきに、

 自動車部品の製造を、

 お願いしたいと。

宮坂) ホンマか!

舞) はい!

 ほんで、なんと、

 エンジン用のボルトです。

一同) お~。

章) SUH 660て…。

宮坂) またかったい素材やなぁ。

藤沢) うちの金型技術じゃ

 できませんよ。

舞) 任しといてください。東大阪の

 工場全部回って、頼んできます。

(笑い声)

章) 頼もしいわ。

めぐみ) 私も行くで。

(笑い声)

章) 笠巻さんに、見せに行こや。

宮坂) おお、せやな。

舞) お願いします。

めぐみ) お願いします。

舞) ありがとうございます。

 

**********

 

<カフェ・ノーサイド>

悠人) IWAKURAの権利、

 おふくろに返そうと思ってる。

めぐみ) 急に、どないしたん?

悠人) 工場立て直せてんやから

 もうええやろ。

めぐみ) 何で? 私は、ずっと悠人に

 オーナーでいててもらいたいて…。

悠人) こうしといた方がええ。

 サイン書いたら送って。

めぐみ) 悠人。

悠人) 何?

めぐみ) 何かあった?

 仕事は、順調やの?

悠人) 当たり前やん。

 順調やなかったらこんな金回り

 のええ工場、手放せへんわ。

 じゃあ。

めぐみ) うん。

(悠人を目で追うめぐみ)

 

**********

 

<公園>

電・悠人) 高橋、何やねん。

電・高橋) 岩倉、今月のレポートを

 見た投資家から、解約請求がバン

 バン来てる。いくら俺でもこれ以上

 はつなぎ止められん。半年で10%

 以上やられてんだからな。こんな

 上げ相場の中で半年も一人負け

 してたら、愛想尽かされて当然だ。

電・悠人) 大丈夫や。

電・高橋) 何か、

 具体的な見通しがあるのか?

電・悠人) 当たり前やろ。

 勝てる見込みは十分ある。

 

**********

 

めぐみさんは本当に社長になったんだね~。

夢を追ってリスクを背負う気力も度量も自分

にはないことがよく分かってる。せっかく軌道

に乗った会社と社員を、守っていかないとね。

 

お父ちゃんの夢、
かなえられへんかった。

これから、何目指したらええんか…。

 

舞は常に何かを目指していたい人なのか?

目標に向かって頑張る自分が好きなのか?

止まると死んじゃうと思ってしまうタイプ!?

 

ゆっくり気持ちの流れに任して、
新しいことが見つかるまで、
待ったらええやん。

 

今までもそうだったし、きっとまた新しい目標

が見つかれば、全力で向かっていくのだろう。

舞は大丈夫。大丈夫じゃないのは悠人の方。

一人でずっと頑張ってきた彼に、弱音を吐け

る存在がいるようには見えなくて…心配だよ。

 

 

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