大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」第4回~小便小僧 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

大河ドラマ 
「いだてん~東京オリムピック噺~
 



第4回~小便小僧

 

 

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「日々のダダ漏れ」

 

 

高台にある東京高師から、

大塚の街を、町を学生達は

一気に駆け下りていきます。

 

志ん生) 息を弾ませる韋駄天、

 何だか楽しくなってきた!

 えっ、「何が」って? それは本人に

 聞いてもらわなきゃ分かんねえ。

 

(坂道を駆け上る四三)

 

**********

 

断トツ最下位でスタートした四三君が、

なんと現在第3位!

 

志ん生) 治五郎先生…ハァ…

 間に合いませんでした。

 

**********

 

手紙・四三) 「母ちゃん、ばあちゃん、

 吉報です。秋ん校内競走で、四三はなんと、

 3等になりました。銅メダルです」。

 

(回想・表彰式)

可児) 3位、地歴科予科、金栗四三!

四三) はい!

(四三の首に銅メダルをかける治五郎)

(拍手)

治五郎) 君は…予科か?

四三) はい。

 

手紙・四三) 「予科生が3位に入ったつは、

 開校以来、初めてなんだそうです」。

 

志ん生) …にしても、

 短えやり取りでしたね。ええ?

 「君は予科か?」。「はい」。

 何だよ、うちのかあちゃんだって、

 もうちょっとしゃべりますよ。

 「お前さん、今月の稼ぎは?」。「ない」。

 

手紙・四三) 「思えば、病弱だった子ども

 の頃…。父ちゃんから語って聞かされ、

 いつしか、憧れんまなざしで見ていた、

 そげな嘉納治五郎先生に…声をかけて

 もらうとは。何しろ今、走るこつが楽しく

 てしかたありまっせん」。

 

**********

 

母から届いた返信は、兄の代筆でした。

 

手紙・実次) 「前略。四三よ、

 お前は何か思い違いをしておるぞ。

 学生の本分を忘れ、

 かけっこにうつつを抜かすとは」。

四三) はあ?

手紙・実次) 「母上も落胆してるぞ」。

 「シエ)「六里の道を走るとはなんと無謀

 なことを。無理せず、歩く程度にしなさい」。

手紙・実次) 「体の弱いお前を東京へ行か

 せたのは、勉強をさせるためだ。かけっこ

 に熱中しろと言った覚えはないぞ」。

 

**********

 

(寄宿舎の井戸で冷水浴をする四三)

四三) ひゃあ~!

 

褒めてほしかったのに…

四三は、心底がっくりきました。

母ちゃんや兄ちゃんにとって俺は、

今も体の弱い子どもなんだ。

 

四三) もう手紙は、出さんば~い!

 

**********

 

<寄宿舎・食堂>

美川) 勝つために?

四三) この間ん敗戦の理由ば、

 思いつくまま書いてみたったい。

美川) 敗戦? うん? 銅メダルだったろう。

四三) ん~これらを克服すっと、金メダルたい。

美川) 「その1、排便ばする」。

四三) レースのことで頭いっぴゃあで、

 小便すっとば、忘れて慌てた。あっが

 なかったら、出遅れんで済んだったい。

 「その2、わらじは好かん」。

 途中でひもん切れて、もう往生したけん。

 ばってん、脱いだら脱いだで。そもそも、

 わらじは走りに向かん。食い込むし…。

 本当は、はだしがよかばってん、

 砂利道は地獄たい。

美川) ごちそうさま~。

女性) は~い。

四三) はい「その3」。

美川) 「スタミナ」?

四三) うん。2着の選手ば、坂道でつか

 まえたばってん、抜けそうで抜けんか

 ったつは、なしか考えたったい。後半で

 巻き返すにゃ、スタミナが必要たい。

 スタミナってえたら、あん人。

(大福を食べている徳三宝)

四三) あぎゃんして、あほんごつ食い

 よるとには、理由のあったったい。

 柔道部の朝稽古は5時からばってん、

 徳さんはそのず~っと前に来て、

 一人で稽古ばしとったったい。

 人の倍稽古するけん倍腹の減る…

 道理たい。決めた! 

 本科に進級したら、徒歩部に入るて。

美川) 歩くと?

四三) 走っと! な~し歩くか。

 俺は今、走ることに熱中しとる。6里は

 完走したばってん、8里は? 10里は?

 自分がどこまで走れるか、

 限界ば知りたか~。

美川) 金栗氏は、真っ正直だね~。

 迷いがなくて、羨ましい限りだよ。

四三) 美川君…美川君は? 本科生は、

 何かの部活に入らんといかんばい。

美川) 僕は今は、

 ストレイシープの真っ最中でね~。

四三) ふ~ん。

 何ね?それ、洋菓子か何かで?

美川) 迷える子羊って意味~。

 読んでないね「三四郎」。漱石に憧れて

 高師に入ったが、僕は教員という人種

 がつくづく嫌いだ。俺が教えてやろうと

 いう高慢ちきな態度。ユーモアやペー

 ソスを解さない、石頭が幅を利かせ、

 態度が悪いと、体罰。鉄拳制裁。

四三) それ、永井舎監のこつね。

(肋木から落ちる徳三宝)

徳三宝) ああっ…。

美川) アハハハハ…!

永井) 誰だ!? 笑ったやつは!

(仁王立ちの永井)

(立ち上がる美川)

永井) 美川か…。貴様に…

 徳を笑う資格があるのか? ああ!?

 何だ?その態度は。文句があるなら…!

美川) 「人間は」。

(永井を指さす美川)

美川) 「好き嫌いで働くものだ」。

 

ここぞとばかりに、「坊っちゃん」の

セリフを引用した美川君でしたが、

悲しいかな、この場にいる誰一人として、

「坊っちゃん」を読んでいませんでした。

 

永井) だから何だ?

四三) 力でねじ伏せるのは、

 間違っています!

永井) 貴様~!

(永井の腕を掴む徳三宝)

四三) 徳さん…。

徳) 貴様~!

(美川を殴る徳三宝)

 

この一件が原因で、美川君は

劣等生の烙印を、押されました。

 

**********

 

四三) 地歴科金栗四三です。

 自分が徒歩部に入部した理由は…。

男性) 行くぞ!

四三) はい!

(走り出す徒歩部の部員と四三)

 

こうして四三は徒歩部、
今で言う陸上部に入部。本格的に、
マラソンに取り組むことになります。


**********

 

ちなみに、徒歩部の顧問は、この男。

 

<理髪店>

治五郎) どうなってんだ?徒歩部は。

 ええ? いるの? いないの? 韋駄天は。

可児) まあ…いる、と言えば、まあ、

 いる…いないと言えば、まあ、いない…。

治五郎) どっちなんだね。

 可児君、オリンピックまで1年だよ?

 いつまで、慶応早稲田の、

 後塵を拝するつもりかね。

(理髪店の前の道に四三)

四三) 小便…。

男性) 金栗さん、先行きますよ。

 

後ろ! 嘉納さん、後ろ後ろ!

 

**********

 

四三) 足が速かね!

野口) あっ、いえ。

 

放課後は、ブタ鍋を食し、スタミナ補充。

 

四三) 名前…。

橋本) あっ…。

野口) 予科の、野口源三郎。

橋本) あっ、野口君。橋本三郎だ。

 野口君、明日も走ろう。

野口) いやしかし、金栗さんはよく

 目をつぶって走れますね。

四三) 目?

橋本) つぶってるよ。時々、電信柱に

 ぶつかりそうになってるよな。

四三) ばばっ!? 

 いや…そりゃ無意識たい。

野口) 無意識?

四三) いや~人の見とるけん、

 恥ずかしかけん。

(笑い声)

大森) 失礼。君たちは、高師の学生かね?

四三) はい。徒歩部です。

大森) フフフ…近々ご挨拶に伺うと、

 嘉納校長に伝えてくれたまえ。

四三) はい。

(美しい外国人女性を伴った男)

店員) お待たせしました~。

(バケツを持ってくる店員)

大森) あっ、ハハハハ…。すまない。

 彼女がオーダーしたのは、

 バケツではなくて、バゲット。

 つまり、パンなんだ。

店員) パンはないです。

大森) ハハハハハ…。

(じっと見ている四三)

四三) えっ、誰?

 

**********

 

その1 排便ばする

その2 わらじは好かん

その3 スタミナ

 

1の排便と、

3のスタミナを克服した四三にとって、

2の履物問題は、いつも悩みの種でした。

当時、日本製の運動靴はまだなく、

三島君のような金持ちのボンボンでさえ、

野球用のスパイクで代用していました。

 

(店先で足を止め、看板を見上げる四三)

四三) 足袋…播磨屋。

 

**********

 

昭和35年(1960)

 

<東京・日暮里>

知恵) この人すごいよね。

 アベベ、はだしで走ったんでしょ?

志ん生) はだしじゃねえ、靴脱げ靴!

知恵) ねえ、アベベさ、

 東京オリンピック来るかな?

 私ね、阿部なの、名字。阿部知恵。

 結婚したら、アベベ知恵? ハハハ。

志ん生) 面白くねえよバカ野郎。あのな、

 五りんだったらまだ来てねえから。

知恵) あ~知ってるよ。お昼ごはん一緒に

 食べる約束してるの。ここで待っててって。

志ん生) お前ら師匠のとこで

 待ち合わせしてんのか。

知恵) うん。

志ん生) 何だよ…。

知恵) ねえねえ、彼どう?

志ん生) 何が?

知恵) 落語よ~ものになりそう?

志ん生) どうかな?

知恵) 彼全然面白くないでしょう。

 ふだん全然会話センスないの。ちょっと!

 お酒駄目って言われてるんでしょ?

志ん生) 水だよこの野郎。

知恵) 水じゃないわよ。

志ん生) もっと向こう行けお前は。

知恵) ちょっ、アベベを見てるの今。

志ん生) 早く来ないかな?あの野郎。

知恵) あ~生前お母さんが働いて

 いたお店行ってみるって。

志ん生) お母さんが働いて…

 どこで働いてたんだよ。

知恵) 大塚仲町の播磨屋。

志ん生) 大塚の播磨屋?

知恵) うん。

 

**********

 

明治43年

 

<播磨屋>

四三) あの~ごめんください。

(ミシンに向かっている辛作)

辛作) 閉めてくれそこ。

 風が入るんだよ。

四三) あっ、はい。すんまっせん。

 あの~足袋ば下さい。

辛作) たびば? おお…足袋か。何文?

四三) もん? あっ、ああ、足ですか。

 いや~測ったこつ、なかですもんね。

辛作) 勝蔵、測ってやんな。

勝蔵) 座って。

(あがりがまちに座った四三の足を、

 手拭いで拭く勝蔵)

四三) あっ…ありがとう。

辛作) ひでえなまりだな~。

 学生さん、生まれどこ?

四三) 熊本です。

辛作) あっそ。

(四三の足の大きさを測る勝蔵)

勝蔵) 10文の並。

辛作) はいよ。

辛作) え~10文の並。

(四三に黒足袋を渡す辛作)

辛作) ほら。

四三) あっ、ありがとうございます。

辛作) 履いてみな。

四三) はい。

(足袋に足を入れる四三)

四三) あっ…。うん…。おお…。

辛作) 歩いてみな。

四三) あっ…。

辛作) いいよいいよいいよ。

四三) あっ、すんまっせん。

(店内を歩き回る四三)

四三) ああ…ああ、ああ…。

 ああ…あ~よかです。

(ちょっと走ってみる四三)

勝蔵) 逃げろ~!

辛作) おいおい、おいおい…。

 おいおい…そこ、奥は俺んちだぞほら。

 

四三と播磨屋、

長い長いつきあいの、

これが始まりでした。

 

四三) あっ、これよか。

 

**********

 

野口) 金栗さん足袋で走ってるんですか?

四三) うん? おお、限りなくはだしだけん、

 快適だもんね。砂利道も…平気ば~い!

 どうね? 野口君も。

野口) そんな…部屋じゃあるまいし。

 

**********

 

そして、明治44年10月6日。

 

治五郎) この度、オリンピック大会に、

 参加すべき代表選手を、選抜するための、

 大運動会を、開催することに相成った。

 

**********

 

<寄宿舎>

野口) ありましたよ。

四三) お~。

(大運動会の記事)

四三) 「来たれ、全国の韋駄天」。

 

**********

 

治五郎) 競技は、陸上。

 100m、200m、400m、および…マラソン!

 

**********

 

<寄宿舎>

永井) こんなもんは、無謀極まりない。

四三) 舎監殿、

 25マイルって、何里だろか?

永井) 10里(40キロ)だ。死人が出るぞ~。

 「羽田の悲劇」になりかねん。

 

25マイル、40km、

四三にとって、それは未知の領域でした。

 

四三) 10里…10里か…。

 

**********

 

(地図で距離を測る橋本)

橋本) 日本橋から…横浜。

 横浜辺りが10里。

四三) やれるか?

(治五郎の笑顔が頭をよぎる四三)

四三) いや…いややるんだ。

 やってみんと分からんばい。

 

**********

 

(通りを走る四三たち)

四三) 苦しか戦いになっぞ。

 今までん練習方法じゃ、到底無理ばい。

 

**********

 

四三君は、焦っていました。

死人が出るとも言われる距離を走りきる、

強い体を作らねば。

 

(本を読む四三)

 

四三) これだ…これだ…。

 これだ…これだ、これだこれだ!

 野口君! 橋本君!

野口) 何ですか?

四三) とっておきの秘策ば見つけたばい!

野口) うん? 「水抜き」、「脂抜き」?

 

脂抜き走法。

それは明治から大正にかけて、

長距離走者に圧倒的に支持された、練習法。

 

**********

 

<脂抜き一日目>

四三) とにかく、汗をかき、体内の水分ば

 でくっだけ体外へ出し…。体を軽くすべし。

 とにかく、水分ば断つ。お茶も…。

 みそ汁は具だけつまんで、

 あとは捨てるべし。

 

**********

 

<脂抜き二日目>

野口) 水飲みたい…。味噌汁飲みたい!

四三) 我慢たい野口君。

 これに耐えれば…10里はもろたばい。

 

**********

 

<志ん生の家>

志ん生) な…何だよ?

五りん) 酒飲んでる!

志ん生) 飲んでんじゃないよお前。

 これ、稽古してんじゃねえか。

五りん) 稽古?

志ん生) 稽古。落語は常に稽古

 してなきゃ駄目なんだよ。

 「芝浜」って知ってるか?

 

「芝浜」。

浜辺で財布を拾ったが、

酒を飲んだせいで

夢になってしまう魚屋の噺。

 

志ん生) 「今日飲ましてあげるよ。

 私も飲むから。飲もうよ」。「そうか?

 おい、悪いな。じゃあちょちょ…おう。

 匂いがいいわな、うん」。「やめた」。

 「あんた、何で?」。「また夢になると

 困るから」。これだよ、お前。

五りん) ふ~ん。

志ん生) 「また夢になる」ってこれ。なっ?

 で一番大事なのはこう、酒を持って…。

(そのまま酒を飲む志ん生)

五りん) あ~! 駄目駄目駄目…。

知恵) あ~飲んじゃった! ちょっと…。

五りん) 駄目駄目駄目! 駄目!

知恵) 飲んじゃ駄目…。

志ん生) 何だよお前…

 こういうサゲもあんだよお前。

五りん) 高座に上がる日は、

 お酒は駄目だって、おかあさん

 からきつく言われてるんです!

志ん生) 夢じゃねえ…。

五りん) 駄目! 駄目駄目駄目!

 

**********

 

<三島家>

弥太郎) 出るのか?

弥彦) まさか~。

和歌子) あたいは、反対ごわんど。

 「不如帰」のせいで、醜聞にさらされた

 今、三島家の名を、汚すつもいじゃっ

 たら、親子の縁をば…切りもす。

弥彦) 分かってます。いつまでも、

 学生気分じゃいられません。

弥太郎) ならよい。来年は卒業年だ。

 こんなものにうつつを抜かしている

 場合ではない。

弥彦) しかし兄上、嘉納先生の檄文にも

 あるとおり、これから、スポーツの時代

 が来るのです。スポーツには金が要る。

 富める国でなければスポーツは普及し

 ません。将来、スポーツが国の力を測る

 物差しになるかもしれませんぞ。銀行家

 なら、出資するべきじゃないでしょうか。

弥太郎) この私に意見するのか?

弥彦) 失礼しました。

弥太郎) 日本の経済が冷え込む今、

 欧米人のまねなんぞしてではない。

弥彦) 嘉納先生は本気です。

 世界に通用する立派なグラウンドを造り、

 オリンピックを本気で目指しています。

 

**********

 

<校長室>

治五郎) 大森君は、米国、YMCAで体育を

 学んだ男だ。陸上トラックにも見識がある。

 こちらは、奥方の…。

安仁子) 安仁子。大森安仁子です。

 まずは、コングラチュレーション

 ミスター嘉納。

(治五郎をハグする安仁子)

治五郎) サンキュー。

 アイム ハッピー ベリーマッチ。

大森) ワ~オ。ワオ…。

 日本で、オリンピックのクォリファイング 

 ラウンドを開催する日が来るとは。

安仁子) 予選ね。

大森) ワールドレコードに、

 レジストレーションするなら…。

安仁子) 世界記録に登録するなら。

大森) ワールドスタンダードな

 スタジアムを造るべきです。

安仁子) 世界基準の競技場を造るべきです。

大森) いちいち訳さなくていいよ、安仁子。

安仁子) ダッシュ イット!

大森) し~っ。

安仁子) あっ…すいません、ハハッ。

 くそったれです。

 

**********

 

アメリカ帰りの大森の指揮のもと、

日本初の400mトラックが、

羽田に生まれようとしています。

 

大森) この部分の、土を一旦全てさらい、

 砂と粘土を混ぜた土を、敷き詰めます。

 

**********

 

<羽田>

中沢) 辮髪の連中はよく働きますな~。

可児) そりゃそうさ。

 嘉納校長が、私財をなげうって清国

 から招き入れた留学生だからね。

 

**********

 

<校長室>

大森) トラック競技には、

 バンクが、不可欠です。

可児) 校長…バンク、

 銀行ってことですよ、銀行です。

安仁子) 銀行じゃなくてよ、可児さん。

 傾斜のことね。(Bank=傾斜)

大森) ハハ…ザッツ ライト。

可児) 何ですか?

 

**********

 

<羽田>

中沢) ところで、嘉納さんって一体、

 借金いくらあるんですか?

可児) いやいや…そ…

 それは、僕の口からは。校長。

治五郎) 返さなくていい借金もある。

 正当な理由があれば。

 それが私の持論だ。

可児) 失礼しました。

治五郎) 日本の体育、いや、日本人

 の教育のために金が必要なんだ。

 私が借りてるんじゃない。

 国が…日本が借りてるんだ。

 日本の利益のために。

可児) はい。

治五郎) だから返す必要なし!

 なあ三島君、君のためのトラックだぞ~。

 何千人もの観衆が、君の、

 走る姿に熱狂するんだ。フフフ…。

弥彦) いや、僕は出ませんよ。

可児・治五郎) えっ!?

治五郎) ちょっと待って…出ないって君…。

弥彦) 大学も、卒業ですからね。

 かけっこごときに、

 夢中になる年でもありません。

可児) それはないよ三島天狗! 

 俺たちのオリンピックって、

 盛り上がったじゃないか!

弥彦) だから…まあ審判ぐらいは、

 やってもいいと思ってます。

中沢) 三島がそう言うなら、

 天狗倶楽部は運営側に回ろう!

吉岡) よ~し! ヤジなら、負けんぞ~!

(歓声)

弥彦) それから嘉納さん、

 融資の件ですが…。

治五郎) ああ…どうなった?

弥彦) 駄目でした。アッハハハハ…。

治五郎) 駄目?

弥彦) ええ。兄貴のやつ、

 びた一文出さないと言うので、

 もう絶交してやりましたよ。

 お力になれず、すみません。

治五郎) フフッ、しかたがない。

 じゃあ私が…。

可児) いけません!

治五郎) 黙ってなさい!

可児) 先生…!

治五郎) 大丈夫…大丈夫!

男達) T・N・G! てんぐ、てんぐ!

治五郎) てんてんぐ~!

(倒れる治五郎)

可児) ああっ、校長! しっかりして下さい。

 

**********

 

<病室>

治五郎) すまんな、可児君。

 当日は何としても、駆けつけるつもりだ。

 はあ…。さっきね…韋駄天の夢を見たよ。

 足は、カモシカでね、顔はゾウでね…

 優勝カップを持っとったよ。

 

**********

 

脂抜き8日目、

四三君の体に、異変が起こります。

 

(水飲み場に這っていく野口)

野口) チキショー! 

 10里なんか、走れるか!

橋本) 金栗君、自分も、断念する。

 申し訳ない。我慢の限界!

(水を飲む水口と橋本)

四三) ハァ…よか…よかけん…。

 俺の分まで、飲んでくれんね!

 

**********

 

<寄宿舎>

(風呂から出て体重計に乗る四三)

(倒れる四三)

 

**********

 

<病室>

治五郎) 日本のスポーツが、

 世界に打って出る好機などと…。

 大風呂敷広げて、みんなを巻き込んで

 しまったが、実はもう随分前に、諦めて

 いた。韋駄天などいない。

 

**********

 

(食堂へ行き、椀の中に砂糖を入れ、

 水を注いでかき混ぜ、飲む四三)

 

五臓六腑に染み渡るってのは、

まさにこのこと。

こうなると止まりません。

一杯だけのつもりが…

 

**********

 

(酒を飲む志ん生を止める五りんと知恵)

五りん) 駄目!

志ん生) 何だよ…。

知恵) 駄目だって…。

 

**********

 

<寄宿舎>

四三) うお~!

 

ブレーキが壊れた四三が目にしたものは…

 

(徳三宝が食べようとしていたてんこ盛り

 のかき氷を奪い、かぶりつく四三)

徳三宝) 貴様…金栗~!

福田) 徳、食わしてやってくれ!

四三) わ~!

 

**********

 

この経験から四三が学んだこと、

それは…自然に従え。

脂抜きの苦しさは、

人間の生理的欲求に逆らうものだ。

食いたいから食う。走りたいから走る。

欲求どおりに運ぶのが自然。

…って、そんなのはやってみなくても

分かりそうなもんですが。

 

四三) やってみんと分からんばい!

 

やってみなくちゃ分からねえの精神が、

彼を偉大なランナーに

成長させたのかもしれませんね。

 

**********

 

志ん生) 自然にね、従ってたらね、

 一杯飲んじゃった。

美津子) 何言ってんのよ~もう、本当に。

 

**********

 

志ん生) 日本橋に魚河岸が来る前は…。

美津子) 「芝浜」だねえ。

 珍しいね、暮れでもないのに。

志ん生) そこを通り越して、

 南へと下りますと、品川の宿。

美津子) 「芝浜」じゃないね…

 羽田行っちゃったよ。

志ん生) 当時は海水浴場、

 一大レジャーランドなんてね、

 もんでございまして。そこであの、

 日本で初めてのオリンピックの、

 予選大会が開かれたという…。

 時は明治44年の、11月の19日。

 羽田の、空は鉛色。

 

**********

 

<羽田>

中沢) どうですか、見事なもんでしょう!

治五郎) こ…これ経費…明らかに、

 予算内に収ってないだろう。

弥彦) 天気予報は曇りですが、

 天狗の底力で、晴らしてみせましょうぞ!

(歓声)

弥彦) さあさあ、主賓席へ。

 

志ん生) おや?

 四三君の姿が見えねえようですが…。

 

**********

 

(地図を手に、道に立つ四三)

四三) あれ? どっち?

 

**********

 

志ん生) 迷子になっちゃいましたね、

 これ。何だかよく分かんねえ。

 

**********

 

やっぱり偉大人って~のはみ~んなこれ!

 

やってみんと分からんばい!

 

やってみなけりゃ分からない。それをやって

みた人だけが、答えを見つけられるのかも。

 

毎度毎度、クドカン天才! 面白いっていう

感想しか出てこない。台詞を書き起こせば

起こすほど、その面白さに感心してしまう。

いや~よく出来た脚本だよ。読み返すとね、

ジワジワジワジワその面白さにグッとくる。

毎回記事に出来る分量がギリギリなので、

感想はこの辺で。台詞を読んで下さいな♪

 


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