「半分、青い」第35回~お母ちゃん、ここは自由や! | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「半分、青い」 第35
第6週 「叫びたい!
お母ちゃん、ここは自由や!

 

 

<オフィスティンカーベル>

(机の下で寝ている秋風)

 

**********

 

<リラクゼーションルーム>

菱本) それはネズミです。

鈴愛) あっ、やっぱり。

 片側しか耳が聞こえないので、

 いきなりの音は何か分からなくて…。

菱本) そういう事があるのね。

 駆除するように、もう頼んであります。

 あっ…。はい、丸く拭かない。

 角、角…四角です。はい。

 ここの掃除が終わったら、3階の掃除、

 そしてお昼の買い出し…。

鈴愛) あの…。私、考えたら、左の耳

 が聞こえない事言わないまま、ここに

 来てしまいました。うっかりしてました。

菱本) うち、健康診断もないしね。

鈴愛) あの…私就職試験、13社落ち

 てるんです。耳のせいだと、母は思

 ってます。これからでも、耳のこと、

 秋風先生に、ちゃんと話した方が…。

(顔をしかめる菱本)

菱本) 秋風に…?

 

**********

 

<オフィスティンカーベル>

(机の下をのぞく菱本)

秋風) ん?

菱本) あの…

 楡野さんがお話があると。

(あちこちで寝ているアシスタントたち)

菱本) 締め切り明けはこんなもの

 なので、みなさん、屍になります。

鈴愛) はあ…。

中野) うう…このカット、夜じゃなくて、

 昼。ホワイト修正…。ホワイト…。

菱本) 中野さん、

 原稿もうあがりましたよ。ほら、

 しっかりして。は~い皆さ~ん!

(手をたたく菱本)

菱本) 皆さん! はい、ちゃんと

 自分の家に帰って寝て下さい。

 先生もちゃんと下行って、寝て下さい。

秋風) 何、話って?

鈴愛) あっ、いえ、今じゃなくても。

秋風) あ…君誰?

菱本) 五平餅です。

秋風) あ~ああ、そうか…。

 昨日、コーヒーぶちまけた。

鈴愛) すいませんでした。

秋風) いや、いいんです。

 原稿があがれば、

 何だっていいんです。寝ます。

菱本) はいはい。

(手をたたく菱本)

(起き上がるアシスタントたち)

鈴愛) おはようございます!

 楡野鈴愛です。

ボクテ) あっ…。

(手を振るボクテ)

 

**********

 

菱本) ペン先のインクが残ってるとさびる

 から、ティッシュで、きれいに拭いてね。

鈴愛) はい。

 

鈴愛、カップも洗い、

筆も洗わせられてます。

どうやらこれから、

こんな毎日が始まるようです。

 

**********

 

菱本) いいですか?

 朝10時に秋風オフィスへ。窓を開けて

 換気、掃除。3階から1階まで。その後

 買い出し。朝は皆さん、おのおの食べ

 て入りますので、12時昼食。3時にお

 やつ。夜は、7時に夕食。メンバーは、

 秋風先生、私、私はいつもここで食事

 するとは限りません。同じく、若手アシ

 スタントの、ボクテ、ユーコ。ベテラン

 アシスタントの、中野さん、野方さん。

 中野さんと野方さんは、忙しい時にだ

 け来るアシスタントさんです。中野さ 

 んはもうプロデビューしていて、自分

 の仕事と掛け持ち。自分の漫画は、

 今ひとつ売れていません。その辺り、

 デリケートに。野方さんは、プロのフ

 リーのアシスタントです。

 

**********

 

<台所>

鈴愛) えっ…。

菱本) もしかして、

 料理あまりした事ない?

鈴愛) すいません。

菱本) 大丈夫。

 漫画を描く人は手先が器用。

 教えます。あなたはメシアシです。

鈴愛) メシアシ?

菱本) メシアシスタント。

鈴愛) ああ! あっ、ごはんを

 作るから、そう言うんですね。

 

なるほど。

最初はメシアシからスタートするのか。

その時鈴愛はそう思っていました。

しかし、メシアシの幅は広かった。

 

**********

 

(木々に囲まれた芝生の

 広場に、四基の石碑)

鈴愛) ここは、一体…。

菱本) 秋風の愛した犬たちです。

 そちらから、マリリン、ちまき、うさぎ、

 ルティア。マリリンには、缶詰のドッ

 グフード。ちなきは7:3の割合で、

 ドライを入れて。うさぎはうさぎです。

 犬ではない。大型うさぎを血迷って

 飼いましたが、あっという間に…。

 名前を付ける前でした。うさぎには

 小松菜を。ルティアはドライドッグフ

 ードを食べませんでしたので、赤身

 肉を。

鈴愛) はい。あっ、あの、もしかして、

 リラクゼーションルームにあった、

 犬の絵は…。

菱本) この子たちの肖像画です。

 そして、心を込めてお参りを。

(お供えを置き、跪き、手を合わせる菱本)

(その真似をする鈴愛)

菱本) これも大切なあなたの仕事です。

 

**********

 

(リラクゼーションルームで、犬たちと

 うさぎの肖像画を見つめている秋風)

 

**********

 

<夜・仕事場>

秋風) いいですか?

 原稿を、こう、裏側から見て下さい。

 すると、表から見てた時には分からな

 かった、デッサンの狂いが分かります。

 左右対称に描いたつもりでもそうなっ

 ていない。もちろん、線に勢いがつい

 てくればデッサンなんかどうでもいい

 って話もありますが、まずは君たち基

 本! ここ、しっかりやってなくてどうす

 るって話です。

 

先生、若手にレクチャー中です。

 

秋風) ひと休みしよう。

 菱本君、コーヒー。

菱本) 先生、楡野さんがお話があると。

秋風) 岐阜の猿が…何? コーヒー

 ぶちまけた事なら、もういいです。

鈴愛) あっ、いえ…あの先生。私、言わ 

 なければならない事がありました。

秋風) はい?

鈴愛) 私、左の耳が聞こえません。

 小さい頃に、病気で。

秋風) だから?

鈴愛) えっ?

秋風) 私は左の耳が聞こえないから

 人と違ったものが描ける。人と違っ

 た世界を知っているから、オリジナル

 なものが描けるとでも?

鈴愛) は?

秋風) いいか、そういう事に甘えるな。

 経験があるから描ける。

 ないから描けない。

 自分の境遇は描ける。

 そうじゃないものは描けない。

 だと、描くものは狭まる。

 要は想像力だ!

 それさえあれば何だって描ける。

 想像の翼は、どこまでも飛び立つ!

 まっ、でも、

 片耳聞こえないなんてのは、

 いいフックになるかもな。

 いつか、そんな話、描いてもいいだろう。

 じゃ次小宮、原稿。

(あっけにとられている鈴愛を

 隅に連れて行くボクテ)

ボクテ) あれ、本気だから。

 先生、ああいう人。

鈴愛) あっ、ごめんなさい。

 こっち聞こえん。

ボクテ) あっ、そっかそっか。

 ほら、僕たちが住んでる秋風ハウス

 の奥の方。ちょっときな臭いでしょ?

鈴愛) あっ、そういえば、少し…。

ボクテ) あれ、先生が火事のシーン

 を描こうとして、ちょっと焼いてみた

 名残りなの。

菱本) 先生は焼くためにあの家を

 購入されました。すぐに消されま

 したけど、消防署に。これ。

鈴愛) あっ、はい。

菱本) 片付けて。

鈴愛) あっ、はい。

ボクテ) 先生はリアルな感情を味わう

 ためには、自分の家にも火をつける

 人です。作品のためなら何でもします。

 先生にとって、作品は全て。だから僕

 の事もこうして雇ってくれてるの。

鈴愛) え?

ボクテ) ほら、僕って、ゲイじゃない?

鈴愛) ああ…。

秋風) ボクテ! お前も聞け。

ボクテ) はい!

秋風) これから私がいい話をする。

 天才のレクチャーだ。

 

**********

 

(秋風ハウスで電話をかける鈴愛)

電・鈴愛) お母ちゃん、ここはすごい!

 片耳聞こえない事がハンディじゃなく

 て上乗せになる世界や!

電・晴) は? どういう事?

 

この頃東京、岐阜間は、7秒10円です。

すごい勢いで10円玉が落ちていきます。

 

電・鈴愛) 秋風先生に耳の事言ったら

 何にも気にしん。ここにはゲイもおる。

電・晴) ゲイ?

電・鈴愛) ああ…。

(10円玉がなくなり100円玉を入れる)

電・鈴愛) あっ、うん!

 ゲイや、ゲイ! 今までテレビや物語の

 中でしか会った事がなかった! ここは

 描くものが全てだ。作ったものが全て

 だ。その人がどんな人であるかは関

 係ない。片耳聞こえなくても問題ない。

 いや、いっそ何か期待されてる。

 お母ちゃん、ここは自由や。

電・晴) あんた、就職試験の事、

 本当は気にしとった?

電・鈴愛) ちょっと、しとった。

電・晴) よかったね、いいとこ入れて。

電・鈴愛) うん。

(ブザー音)

電・鈴愛) お母ちゃんあかん!

 ピ~ッて言った! またかける!

電・晴) ああ…うん。

電・鈴愛) またな、お母ちゃん!

(受話器を置く鈴愛)

(裕子が通りかかる)

鈴愛) お母ちゃんって

 言ったのがおかしい?

裕子) 別に。

 

**********

 

<楡野家>

宇太郎) え?

仙吉) え?

晴) えっ? 

 あっ、いや、電話代、高いから。

 

そんなこんなで、

鈴愛の東京での毎日が始まり…。

 

**********

 

一週間後…

 

そしてこちらは律君。

彼も上京し、人生初、

自分だけの電話がついたところです。

 

和子) じゃあね、律。

 おかあさん、帰るわね。

律) うん。

(手で顔をおおう和子)

律) うん。ありがと、母ちゃん。

 一緒に来てもらって、

 部屋もちゃんとなったし。

 それに入学式も出たし、

 写真もいっぱい撮ったしな。

和子) ウヘヘヘヘッ。

律) 何だよ。

和子) 電話もついたしね。

 これでいつでも、律の声が聞こえる。

 あっ、ちゃんとツ~って言う。

(窓辺に水槽)

和子) フランソワ。律よろしくね。

 律が悪い事をしないように、

 ちゃ~んと…。

律) ちょっと待ってよ。悪い事って…。

和子) あっ、そうそう。

 鈴愛ちゃん近所だから。

律) は?

鈴愛ちゃん、近所。

律) えっ…。

和子) 晴さんと相談してね。

 2人近い方が何かと安心やし。

 鈴愛ちゃんにもまだ内緒。

律) ん? ちょっと待って。だって…

 俺ここ、新宿区だよね。

 鈴愛、港区とかでしょ?

 近所な訳ないやん。

和子) ううん、それ隣同士なの。

 隣同士になるとこあるの。

 ここを探す時にそうした。

律) そうしたって…。

 えっ、俺またあいつと一緒なの?

和子) あんた嫌なの? 嫌なのね。

律) いや、嫌って訳じゃ…。

和子) おかあさんはね、あなたのおかあ

 さん、20年近くもやってるの。あなたが

 考えそうな事は、分かります。あなたは

 岐阜を捨てて、東京の人のフリをして、

 遊びまくろうとしてる。鈴愛ちゃんには、

 梟町代表として、あなたのおもしになっ

 て頂きます。

 

その時律君は、しばらくこの電話番号を、

鈴愛には伝えないでおこう、と思いました。

 

**********
 

掃除も料理もできない鈴愛。甘やかされて

るな、鈴愛! ハンディがある分、親はちょ

っと甘くなってしまうのかもしれないけど。

まっ、そんなに忙しいお店でもなかったか

ら(酷)、手伝いは必要なかっただけかも。

かくいう自分も、一人暮らしするまで家の

手伝いをした事がない口だったので、あま

り鈴愛の事をとやかく言えなかったりする。

それぞれの家の方針だし、外に出て困る

のは本人で、そこから学んでいくものだし。

 

左耳が聞こえない事を秋風に話していない

事を気にする鈴愛。漫画を描くだけならば、

耳の事はあまり支障はなさそうだけれど…。

 

晴さんの心配は、耳の事より(今更の話だ

し?)、鈴愛の性格というか、世間を知らな

過ぎるところだったのかも。世の中のことを

私は分かってたと言う鈴愛の機転というか、

口から出まかせに騙されたというか、それ

で安心してしまったのかもね~と脳内補完。

 

鈴愛は単純に、舞い上がって忘れていたっ

て感じ? でもまあ、そこで鈴愛が秋風の彼

らしい考えに触れる事が重要なのだと思う。

 

私は左の耳が聞こえないから
人と違ったものが描ける。

人と違った世界を知っているから、

オリジナルなものが描けるとでも?

いいか、そういう事に甘えるな。
経験があるから描ける。
ないから描けない。
自分の境遇は描ける。
そうじゃないものは描けない。
だと、描くものは狭まる。
要は想像力だ!
それさえあれば何だって描ける。
想像の翼は、どこまでも飛び立つ!

 

想像の翼があるなら、家を燃やさなくても

いいじゃん!とツッコミたいところだけど、

そういう矛盾もアーティストらしいっちゃら

しいところ。経験できるものは経験してみ

るに越したことはない。1の経験を、10の

経験のように見せるのも、想像力の力!

 

ここは描くものが全てだ。

作ったものが全てだ。

その人がどんな人であるかは関係ない。

片耳聞こえなくても問題ない。
いや、いっそ何か期待されてる。
お母ちゃん、ここは自由や。

 

鈴愛の世界に悪意はない。その単純さが

好きだよ! ここが自由か自由じゃないか

はその人次第。鈴愛次第なのだから~!

 


「半分、青い」関連ブログはこちらから↓
「半分、青い」関連ブログリスト
「朝ドラ」関連ブログリスト

●「半分、青い」HP

 

ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪
にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ
にほんブログ村
にほんブログ村 テレビブログへ
にほんブログ村