「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」創刊号~狙われた街 | 日々のダダ漏れ

日々のダダ漏れ

日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~

 

 

創刊号 

「狙われた街」

時は1970年代!『特撮に登場する怪獣研究』
に青春のすべてを注ぎ込み、同人誌『怪獣倶

楽部』を作り続けた男達がいた!
物語の主人公は、そのメンバーの一人である
中島リョウタ(本郷奏多)。彼は悩んでいた。
日曜はお付き合いしているユリコさん(馬場ふ

みか)の誕生日、しかしその日は怪獣倶楽部

の大事な締切日でもある!苦悩する彼を優し

く見守るメトロン星人。……特撮か、ユリコさん

か!果たして彼が選んだ結末とは!?

 

**********

 

若者には誰しも、希望に満ちあふれ、

気高い理想を掲げ、ほとばしる情熱を、

何かに捧げる青春がある。

スポーツに捧げる人もいるでしょう。

芸術に捧げる人もいるでしょう。

そしてこの物語の主人公、

中島リョウタにとっての青春は…。

 

彼の青春は、人とはちょっと違いました。

そう、何を隠そう、

子供向けの特撮番組に登場する、

怪獣の研究だったのです。

 

**********

 

怪獣倶楽部のような、今で言うオタクは、

当時、社会から疎まれていました。しか

し、この文化を後世に残したいその思い

から、怪獣の同人誌を作っていたのです。

 

まだビデオやDVDといった記録メディア

がない時代、彼らはかつてテレビで見た

記憶だけを手がかりに、議論を深めてい

たのです。

 

キャップ) 深い…。

ニシ) すごすぎる。

ジロー) 「狙われた街」…どういう切り口にする?

カツオ) そうですね。あの回は「ウルトラセブン」の

    中でも最も幻想的で…まるで夢の中に迷

    い込んでしまうとでも言いましょうか。

シンゴ) 鬼才・実相寺監督と、ウルトラを立ち上げ

    た脚本家の金城さんが組んでますからね。

ユウスケ) そしてパッと見ユーモラスだが、不気味

     なのに知的差を感じる、メトロン星人の

     デザイン。

シンゴ) 成田亨さんの仕事ね。

ニシ) 聴けば体が打ち震える、

    あの高揚感あふれる音楽。

シンゴ) 冬木透さんの仕事ね。

リョウタ) 大人向けのサスペンスに加え、斬新な

    演出手法。そしてラストの怪獣バトル…。

    アプローチのしかたが多角的で、どこから

    どう手を付ければいいのか…。

一同) ふぅ~…。

キャップ) 難しい。

    だから今回の号は…ページ増量でいく。

リョウタ) ページ増量!?

ユウスケ) おお~!

シンゴ) やっちゃいますか?

キャップ) 今回は我々怪獣倶楽部にとって一世

     一代の大勝負になる。心してかかって

     ほしい。我々にしか書けない、独自の

     評論を期待する。締め切りは、来週の

     日曜日。

カツオ) はい。

 

**********

 

僕は怪獣に青春のほとんどを捧げてる。

でも僕には、

もう一つ青春を捧げてることがあり…。

それは…そう、ユリコさん。

僕の人生初めてのガールフレンド。

でも怪獣倶楽部のメンバーに

彼女のことは絶対に言えない…。

なぜなら、怪獣をさしおいてうつつを

抜かしてることがバレたら、

幻滅されるに違いないから。

 

**********

 

ユリコ) あっ、リョウタさんが昨日、

   土手で走ってるの見かけましたよ。

リョウタ) えっ、昨日?

ユリコ) どこ行ってたんですか?

リョウタ) ええ~っと。

 

言えない…絶対に言えない。

いい年をした大人が、怪獣のことで話し合

ってたなんて。子供向け番組を真剣に語

り合っていたなんて、言えるわけがない…。

幼稚な男と思われる!

 

**********

 

かわいいな、ユリコさん。

この幸せを続けるためには、

怪獣が好きということは

絶対に秘密にしておかないと。

 

**********

 

カツオ) メトロン星人の名前の由来は、地下鉄

    の「メトロ」からではないかと思います。

    地下に潜伏するような独特の侵略作戦

    から、金城哲夫さんが名付けたのでは

    ないかと。

ニシ) 金城さんならありえるな。

ユウスケ) よし。こんな感じでしょうか。

一同) おお~。

ニシ) さすがユウスケ君。

ジョー) このチューリップみたいな手の再現度

    が素晴らしい。表紙に使えるな。

キャップ) 決まりだな。

ユウスケ) ありがとうございます!

(拍手)

ジョー) しかし、「狙われた街」となると、メトロン

    とダンがちゃぶ台を挟んで対峙したあの

    シーンは避けられないよな。

カツオ) 「地球を壊滅させるのに

    暴力を振るう必要はない」…。

一同) 「人間同士の信頼感をなくすればいい。

    人間たちは互いに敵視、傷つけ合い、

    やがて自滅していく。

    どうだ? いい考えだろ?」。

ユウスケ) もはや誌的と言ってもいいですね。

キャップ) 極めつけは、締めのナレーション。

ジョー) 「人間同士の信頼感を利用するとは恐

    るべき宇宙人です。でもご安心下さい。

    このお話は遠い遠い未来の物語なので

    す。えっ、なぜですって? 我々人類は

    今、宇宙人に狙われるほど、お互いを 

    信頼していませんから」。

キャップ) くぅ~!

カツオ) あれは驚きましたね。

 

怪獣倶楽部のメンバーと怪獣の話をするの

はとても楽しい。しかし、この人たちには絶

対ガールフレンドがいるなんて言えない。

言ったら…。

 

(妄想)

キャップ) があるふれんど?

ユウスケ) 君には怪獣や特撮よりも大事な

     ものがあったんですね…。

ニシ) そういう人とは一緒に怪獣の

    研究はできませんね。

カツオ) 幻滅しました。

ジョー) さすがにこればっかりはかばえないよ。

    リョウタ…さようなら。

 

シンゴ) 持ってきましたよ。

    「狙われた街」の録音テープ。

キャップ) お~聴かせてくれよ、おい。

 

ビデオ録画のない時代は、テレビ番組の

音声だけをカセットテープで録音し、何度

もそのテープを聴いていたのです。

 

カツオ) じゃあ、再生します。いきます。

 

(カセットテープ)

♪(ウルトラセブンの歌)

シンゴ・母) シンゴ~ご飯よ!

シンゴ) 今録音してるから静かにして!

シンゴ・母) 何? ご飯冷めちゃうわよ!

シンゴ) だから今録音してるから!

 

ニシ) シンゴ君、こういう時はジャックを

    使えばいいんですよ。

シンゴ) なるほど。勉強になります。

 

**********

 

「狙われた街」の評論。

一体どういう切り口にすれば…。

 

教えてくれ、メトロン星人!

僕は一体、何をテーマにすればいいんだ?

 

**********

 

サトル) その怪獣の本、誰が読むの?

リョウタ) 誰って、怪獣が好きな大人だよ。

サトル) いや…だって、

   怪獣って子供が見るもんでしょ。

リョウタ) はぁ~…。いいか? 怪獣にはいろん

    なものが詰まってるんだよ。特撮技術、

    緻密な造形、そして重厚な人間ドラマ。

    今はまだ幼稚なものってなってるけど、

    大人が認める時代がいつか必ず来る。

    もしかしたら世界中から日本の怪獣が

    注目されるかもしれない。

    何だよその目。

サトル) 兄ちゃんさ、いい年こいて、怪獣の話

   なんかしてたら、変な目で見られるよ。

リョウタ) 変な目で…。

 

**********

 

ガールフレンドの誕生日と怪獣、

僕はどっちを選べばいいんだ。

 

**********

 

<評論発表日>

 

一応、自分なりに満足するものは出来た。

 

キャップ) それでは各々発表してくれ。

    じゃあまずは、ニシの評論から。

ニシ) うん。僕は、メトロンとダンが

    ちゃぶ台を通して話すシーンの、

    BGMに着目しました。

一同) おお~。

ニシ) あそこで使われている曲なんです

    けどね。あれ、既存のクラシックか

    と思いきや、なんと、冬木透さんの

    オリジナル曲らしいんですよ。

カツオ) ええ~オリジナルなんですか!

シンゴ) クラシック好きの実相寺監督

    だからてっきり…。

ニシ) れっきとしたオリジナルなんです。

    タイトルは、

    「フルートとピアノ協奏曲」です。

5人) へえ~。

 

このまま怪獣倶楽部のやり取りを

ずっと聞いていたい。

メトロン星人のことも語りたい。

しかし、ユリコさんの誕生日も…。

一体、僕はどうすれば。

 

ニシ) あれ、どうしました、リョウタ君。

    気分でも悪いですか?

リョウタ) あっ、いえ、大丈夫です…。

ジョー) あっ、そういえば、あくまでも噂なんだが。

    あのラストのナレーション、脚本には書か

    れていなくて、監督が演出家として現場

    の判断で追加したという説もあるらしい。

シンゴ) えっ、そうなんですか!

ユウスケ) だとしたら大変ですよね?

シンゴ) 「狙われた街」の解釈が、

    根本から変わることになります。

ユウスケ) これは大事件だ…。

 

ユリコさんの誕生日も大切だ。

でも…。

 

リョウタ) 「我々人類は今、宇宙人に狙われる

    ほどお互いを信頼してはいませんから」

    …の部分に、そんなミステリーが。

キャップ) あぁ…。次、カツオ。

カツオ) はい。

    その前に、コーヒーを飲ませて下さい。

 

最年少だが、怪獣エリートと呼ばれる男。

 

ジョー) 相変わらず、じらしやがる。

カツオ) いいですか。ご存じのとおり、実相寺

    監督と金城さん、2人の作風はまるで

    違います。監督自身もインタビューで、

    「金城さんが直球を投げてくれるから

    自分は変化球が投げられる」と語って

    います。

リョウタ) 確かに、2人の作風はまるで違う。

    娯楽の金城に対し、シニカルな実相寺。

カツオ) それ故に、

    ここまで一度も組まなかった…。

    いや、組めなかった。そんな彼らが   

    禁断のコンビを組み、そして…。

    実相寺監督がラストにナレーションを

    勝手に書き足し、物語のテーマを自分

    好みに逆転させてしまったとしたら…。

シンゴ) 大事件ですよ、これは!

ユウスケ) もめなかったんですかね!?

カツオ) それは今となっては分かりません。

    だが、そこにこそこの物語の本質が

    あるんじゃないでしょうか。

キャップ) 監督と脚本家…2人の間にはある

    種の信頼感があった。同じ怪獣愛に

    あふれる、人間同士の信頼感。

リョウタ) まさに、

    「狙われた街」のテーマそのもの。

ジョー) 「狙われた街」は、実相寺監督と脚本

    金城さん、2人の信頼感の物語でもあ

    ったかもしれない。という訳だな!

カツオ) はい!

一同) おお~!

ユウスケ) 深いテーマですね。

シンゴ) よく思いついたな、カツオ!

カツオ) いえ、信頼感のことを考えていたら、

    いつしか皆さんの事を考えていました。

    時にはかみ合わず戦うこともある。

    だけど僕たちの間には確実な信頼感

    がある。だからこそ存分にイデオロギ

    ーをぶつけ戦うことができる。そう思っ

    たんです。

キャップ) さすが怪獣エリート!

カツオ) ありがとうございます。

(拍手)

 

**********

 

リョウタ) (メトロン星人に) なんだよ…。

    「狙われた街」で、君がウルトラセブンと

    戦ったのも、こんな夕焼けの中だったな。

    そうだよな…。

    君は命懸けで教えてくれたんだ。

    信頼関係の大切さを…。

    ありがとう…。

 

**********

 

リョウタ) ユリコさんの誕生日より、優先させる話

    って、何なんだって話なんですけど…。

    周りから見たら幼稚って思われるかもし

    れないけど…。僕にとっては、本当に大

    切なことというか…。いつか…いつかユ

    リコさんが、本当に信頼してくれる時が来

    たら話します。とにかく、今日だけは行か

    なくちゃ、僕が僕じゃなくなっちゃうから…。

    本当にごめんなさい!

 

**********

 

キャップ) で?

リョウタ) 僕の評論は、「メトロン星人が壊そうとし

    た、人間同士の信頼関係」についてです。

 

**********

 

ジョー) カツオの、「メトロン星の宇宙船

    について」も興味深い。

カツオ) ユウスケさんの表紙も、

    いつも以上に気合い入ってますね。

ユウスケ) まあね。なんてったって、あの

     「狙われた街」がテーマだ。

     気合いも入るよ。

キャップ) リョウタ。よく書けていたぞ。

リョウタ) ありがとうございます。

 

メトロン星人。

君のおかげで、僕は、

「人間の信頼関係」の大切さを

少しだけ分かった気がするよ。

ありがとう。

 

**********

 

「怪獣倶楽部」。

彼らの作ったこの同人誌が、

後の怪獣ファンに多大な影響を与えた…

かどうかは、まだ分かりません。

 

**********

 

期待通りの面白さ。特撮や怪獣に興味があるわけ

ではないけれど、それらを熱く語り合う人たちには

かなり興味がある。素直にすごいなって思う訳で。

 

実は、「ウルトラセブン」の印象は「暗い」&「怖い」。

ウルトラマンは面白いと思っていたけれど、セブン

は何だか怖かったんだよね~。今回「狙われた街」

を見てみたのだけれど、映像が映画っぽいという

印象と、古いアパートがパックリ割れて、宇宙船が

出てくるシーンにたまげたw いろいろとシュールで、

ドラマの中で語られたウンチクを思い出しながら…

これは子供向けじゃないよな~としみじみ思ったよ。

 

ちなみに、実はウルトラセブン・モロボシダン役の

森次晃嗣さんのお店に行ったことがある。運がい

いことに、本人がお店にいたのだけれど…何か、

ものすご~く濃厚な芸能人オーラを感じたっけ…。

 

ダン(森次晃嗣さん)のお店はこちら↓ 

●「ジョリーシャポー」HP

 

●「怪獣倶楽部~空想特撮青春記~」HP

 

2017「ドラマ」関連ブログリスト

 

 

ランキングに参加しています。
ポチっとしていただけると、嬉しいです♪
にほんブログ村 テレビブログ テレビドラマへ
にほんブログ村
にほんブログ村 テレビブログへ
にほんブログ村