「てるてる家族」(再放送)第65回 | 日々のダダ漏れ

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「てるてる家族」 第65回

春子(紺野まひる)は元気のない夏子(上原多
香子)を励まそうと、歌声喫茶に連れて行く。一
方、梅田リンク店の照子(浅野ゆう子)のところ
に、斉藤(伊藤正之)が慌ててやってくる。東京
のレコード会社のディレクターが大阪に来てい
て、東京に帰るまでに一度夏子に会い、できれ
ば、歌も聞きたいと言っているというのだ。照子
は、冬子(石原さとみ)から夏子のいる歌声喫
茶の場所を聞き出し、斉藤らとともに向かう。

**********

ヨネ) あんたは、勝手に生きてきた訳と
    違いますね。これからも、勝手に
    生きる思たらバチ当たるで。


その日は、冬の訪れを感じる、
肌寒い日曜日でした。


弘子) あっ、春ちゃんも?
春子) うん。
冬子) はい。コーヒー1つ!
弘子) はい。
春子) 何や、冬ちゃんも手伝うてんのか。
冬子) 春子姉ちゃん、練習行かへんの?
春子) うん。日曜日は、リンクお客さんでいっ
    ぱいやろ? 練習にならへんねん。
冬子) それでも昔は行ってたやん。
春子) まあええやん! 何や、冬ちゃんが店
    手伝うてんのやったら、私は部屋の掃
    除でもしてくるわ。
冬子) あっ…あっ!
春子) うん? 何、何…?
冬子) 夏子姉ちゃん、どないしてる?
春子) 物干し台でボ~ッとしてたわ。
弘子) 大将…夏ちゃんの事
    まだ怒ってはんの?
春子) うん…別に怒ってへんねんけど、
    まだ東京行くこと許してへんみたい。
弘子) 夏ちゃん、かわいそう。
    「スターになる」て張り切ってんのに…。
冬子) お母ちゃんかて張り切ってんで。
弘子) そやから大将がなんぼ反対しても
    行くことになんのに…。
春子) 夏ちゃん、そやから余計つらいねん。
    お父ちゃんとケンカ別れみたいになん
    のが…。
弘子) 大将も、寂しいだけや、
    思うんねけどなあ。
春子) あっ、そや! 夏ちゃん、
    あそこ連れてったろか?
冬子) どこ?
春子) 歌声喫茶や!
冬子) ああ~! うんうん!
弘子) 春ちゃん、そんなとこ行ってんの?
春子) うん。
弘子) ええなあ。
    歌声喫茶てはやってんのやろ?
春子) もう人でいっぱいやよ。もうあそこで
    大声出して歌たら、夏ちゃんもふだん
    歌てる歌とは違て気分がスッとする
    かも分からへんわ!
冬子) そしたら私も行きたい!
春子) 行こか、行こか!
弘子) (せきばらい)
冬子) 分かった…。
春子) ほな夏ちゃん誘ってくるわ。
    じゃ、行ってくるわ。
弘子) 行ってらっしゃい。フフフ…。
冬子) ええなあ。ここかて喫茶店やで。
    ここで歌たら歌声喫茶になるやんか。
冬子) そんなん恥かしいわ。
弘子) そう? はやるかも分からへんで。
    (せきばらい)
冬子) えっ、ちょっと…。
弘子) ♪マメマメ
冬子) ちょっと待って! やめて…!
弘子) ♪ア~ア~ア~
冬子) お願い…。ちょっと…。
弘子) ♪おおブレネリ あなたの おうちは どこ


**********

夏子) 歌声喫茶?
春子) うん。そうや。田中コーチがな、歌唱
    指導してんねん。これがあかんねん。
    もう下手くそやねん。
夏子) フフフ!
春子) なっ? 面白いから行ってめえへん?
夏子) うん。行ってみたい。
春子) ほな、行こ!
夏子) うん!


**********

春子) 秋ちゃ~ん…。
秋子) どないしたん?
春子) 受験勉強忙しい?
秋子) うん。日曜日は集中できんねん。
春子) へえ~そうなんや…。
    秋ちゃんが今一番すごいな。
秋子) えっ?
春子) えっ? …まあ、ええやん! 秋ちゃん
    もたまにはどうかなて思てんけど、
    秋ちゃんには、マンボかてあるしな。
秋子) うん。
春子) じゃあまた!
夏子) またね。
秋子) うん。また…。何がやの?


**********

斉藤) 岩田さん!
照子) はい。はあ~! 斉藤さん!
    どないしはったんですか?
    また日曜日に…。
斉藤) 実はですね…。
照子) ええ、ええ。
斉藤) ちょっといいですか?
照子) は…はい?
斉藤) 東京から、レコード会社のディレクター
    が今大阪に来てるんですけどね…。
照子) 東京のレコード会社の偉い方ですか?
斉藤) そうです。もう何人もの、スターを世に
    送り出してるベテランのディレクターな
    んですが、今夜東京に戻る前にですね、
    突然この機会に、ぜひ夏子ちゃんに会
    っておきたいと言いだしまして。
照子) いや、そら、まあ!
斉藤) それで、できれば歌も聴きたいと。
照子) 歌?
斉藤) ええ。今、夏子ちゃんどこですか?
    家ですか?
照子) …そやと思います。
斉藤) 軽くでいいんです。伴奏もなくても、
    ちょっとだけその人に歌を聴かせて、
    認めてもらえれば、今からでも、夏子
    ちゃんを売り出す気になってくれるん
    じゃないかと…そう思うんです!
照子) ええ~…いや~…。
斉藤) 何より、この世界で太鼓判を
    押された事になりますよ!
照子) いや~…それやったらな、うちの、
    池田の店で歌いましょか? あの…
    ちょっと間やったら店閉めてても
    構いません!


**********

(歌声喫茶で歌っている夏子と春子)

**********

照子) 夏子! 夏子~!
    夏子、どこにいてんの?
冬子) あ…。
照子) 夏子よ!
冬子) 夏子姉ちゃんやったら
    春子姉ちゃんとちょっと…。
照子) えっ? 「ちょっと」ってどこ行ったん?
冬子) え~…。
照子) 早よう!
冬子) 歌声喫茶…。
照子) 歌声喫茶!?
冬子) 怒らんといて!
    田中コーチがそこで働いてんねん。
照子) えっ!? 何やの? 歌声喫茶て…。
弘子) あれ?
    おかみさん知りはりませんの?
    はやってますねん!
    歌を歌う喫茶店ですわ。
照子) 喫茶店で歌歌うんやったら
    ここで歌たらええやないの。
弘子) いや…私もそう思たんですけど、ここに
    来てはるお客さんには、迷惑みたいで。
    ハハハ…!
照子) それどこにあんの? どこにあんの?
    どこにあんのって聞いてんの!
    どこ? どこ?
斉藤) こちらです。
照子) あっ、斉藤さん。いらっしゃいませ。
弘子・冬子) いらっしゃいませ。
斉藤) お連れしました。西山さんです。
    岩田夏子さんのお母さんです。
西山) こんにちは。
照子) 初めまして。よろしゅうお願い致します。
西山) あ…彼女が夏子さん?
斉藤) いえ! 彼女は、違います!
    彼女は妹さんです。
西山) ああそう。どうりで写真で見た夏子さん
    に似てる訳だ。
照子) あ…。あの…それでですね、夏子は今、
    う…歌声…歌声喫茶いうとこに行ってる
    んです。
斉藤) 歌声喫茶?
西山) 大阪にもあるんだね。
斉藤) それ、どこにあるんですか?
照子) えっ…あの…。
弘子) 梅田です。
照子) 梅田です。
西山) ちょうどいいよ。そっちにも回ってみよう。
    ほら、歌も思う存分聴けるかもしれないし。
照子) そやけどあの…それ、夏子が
    一人で歌てんのと違うよね?
冬子) うん。
西山) お母さん。
照子) はい。
西山) 私は聴く方のプロですから。
照子) はあ…。
斉藤) それじゃ、行ってみますか!
照子) 分かりました。そしたら梅田のどこ…?
弘子) 梅田グランド劇場の裏手です。
照子) 分かった。ほなね。行ってきます!
斉藤) はいはいはい!
照子) 一緒行きましょう。
春男) 照子、どないしたんや?
弘子) あっ、いや、別に。フフフ…。
春男) 店、代わろか?
弘子) よろしですか? お願いします。
冬子) …あっ!


(回想)
田中) 誰かてここで、一つになって、
    歌歌たら、すぐ仲ようなれるんや。


冬子) …そや! お父ちゃん!
    お父ちゃんも行こ!
春男) な…何…? ど…どこや?
冬子) 何か好きな曲ある? 
    何でもええねんて! 一緒に行こ!
春男) いやいや…ど…どこへ!?
    何しに…うっ!
冬子) ええから! 夏子姉ちゃんと
    仲直りしに行くで!
弘子) え…ちょ…ちょっと!


**********

辰造) めっちゃおもろ…おい! おい!
恒夫) おかみさんや。
    今度はおかみさんが来はりましたん。
喜介) あかん! 恥かし…。
恒夫) 何で? 工場長まで…。
    別にええやないですか。
照子) 夏子!
春子) お母ちゃん!
照子) 何やの、春子まで…。
夏子) 斉藤さんまで…。
斉藤) やあ!
西山) ああ…確かにかわいいね。
照子) 夏子。こちら、西山さん。あんたの歌を、
    聴きに来てくれはったんや。
夏子) えっ!?
辰子) そしたらな、次は「スリコ」っていう歌歌
    いましょう。120ページに出てます。この
    歌は若い兵隊さんが、戦い終わって帰
    ってきたら、いとしいあの子の姿が見え
    へん。「どないしたんやろ? あの子はど
    こ行ったんやろ?」いうて、言うてる歌で
    す。「スリコ」いうのはちなみに女の子の
    名前です。「スジコ」とちゃうよ。
一同) ハハハ…!
辰子) さあ、みんなで世界中の平和を願って
    みんなで歌いましょう! さん、はい!
一同) ♪心も うつろに あてもなく さまよう
夏子) あの人の声、すてきやわ~。
照子) 夏子。あんたも歌い!
夏子) この歌、私分からへん。
照子) え~っ! 何か、辛気くさい歌やねえ。
田中) おかあさん、いらっしゃい!
照子) いや! 田中コーチ!
    いろんな事しはるんやねえ。
田中) アハハ…! あ…さっき、話聞きました。
    夏子ちゃん、東京に出るそうで。
照子) そうなんよ。それでね、こちらの方が、
    東京からわざわざ夏子の歌を聴きに
    来てくれはったん。
田中) 東京から!?
照子) そうや。そやから夏子が歌える歌を
    やってもらわな困んねん。


**********

(春男を引っ張っている冬子)
春男) 何や!? 冬子…!
冬子) お…お父ちゃん! もう!
春男) 何や? ここ…。
冬子) 歌声喫茶。
春男) 中学生がこんなとこ来たらあかんやろ!
冬子) ええから、早よ行こ!
春男) 何で!?

(店に入っていく冬子)
(拍手)
冬子) あっ、夏子姉ちゃん…。
田中) 皆さん! ちょっと聞いて下さい!
    ここで、素敵なお客さんをご紹介します。
    岩田夏子さんです。
客) かわいい!

(拍手と歓声)
田中) そうでしょう? 実は、この夏ちゃんは、
    僕の、スケートの教え子なんです。
    今は、梅田グランド劇場に出演して、
    歌を歌ったりしてる、プロのタレント
    さんなんですよ!
客) 何か歌てや!
客) そや。歌て、歌て!
喜介) どういう展開やねん? これは…。

(拍手)
田中) はいはい!
    分かりました。分かりました!
    ほな、夏ちゃんの好きな曲、
    選んでもらいます。はい。
辰子) 何でも好きな歌歌たらええねんで、
    夏ちゃん。
夏子) はい。

(夏子に手を振る冬子)
(冬子と春男の姿に気付く夏子)
夏子) そやったら…ジャズでもよろしですか?
辰子) ジャズ!? ジャズやて!
    みんなついてきてや!

(拍手と歓声)
夏子) ♪Gonna take a sentimental journey
         Gonna set my heart at ease
         Gonna make a sentimental journey
         To renew old memories……

(拍手)
西山) うん…いいね、あの子。
斉藤) はい!

(拍手)
(店を出て行く春男)

**********

冬子) お父ちゃん!?

寂しそうに去ってゆく、
お父ちゃんの背中に、
私は声をかけることが
できませんでした。


**********

そっかあ…。あの時の、あの曲がこうつながる
のか…。赤ちゃんの夏子が、肺炎で死にそうに
なり、何とか助かった病室で、照子が「センチメ
ンタルジャーニー」を歌いながら踊り出すという
何とも不思議なシーンがあったのだけれど…。
ダンサーのようにグイッとのけぞる照子に春男
が、「背骨折れるで。何や…そないな歌、覚え
てしもたんか?」と言い、照子が答えたセリフ↓

夏子が大きなったら教えてあげるねん。
「夏子が死にかけた時、世の中にはこん
な歌が流れてた」って…。ええ時代にな
っていくんやろな、きっと…。この子らに
は…自由に生きてほしいねん。

その思いは、ヨネさんから夏子に伝えられ…。
父・春男の姿を見つけた夏子は、その思い出
の曲である「センチメンタルジャーニー」を歌い
出す。死にかけた夏子が、こんなに大きくなっ
て、こんなにたくさんの人の前で堂々と歌って、
元気で、魅力あふれる女の子に、育っている。
夏子の歌声を聴いた照子、春男の気持ちにな
って胸が苦しくなる。嬉しさと切なさと寂しさと。
お父ちゃんの気持ちが分かり過ぎて胸が痛い。
親としてどうあるべきかは分かっている。子供
に対してどうしてやるべきかも…。でもね、割り
切れない愛情ゆえの葛藤を、しばし背中を向
けざるを得ないお父ちゃんの気持ちも、あと少
しだけ許してやってほしいと思わせる…何とも
切ない後ろ姿だった。お父ちゃんは辛いね…。

Doris Day - Sentimental Journey (remastered)



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