「あさが来た」第153回~旦那様より大事なもんなんか、あるはずあらしまへん | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「あさが来た」 第153回
第26週 「柔らかい心
旦那様より大事なもんなんか、あるはずあらしまへん


あさ) はれ。
    まだそない大きなってまへんのやなぁ。
新次郎) まだ植えたばっかりやがな。
     あ…ちょっと。
あさ) ん?
新次郎) ほれこれ。ちょっと見てみ。これなぁ、
     まだ小さいけど、つぼみだすわ。
あさ) はぁ、ほんまや。こない小さいのに、
    ちゃんと花咲いてくれますやろか?
新次郎) う~ん、どやろなぁ?
     そやけどまさか、梅の木ぃ選ぶてな。
     てっきりあさは、縁起担いで、「お金借り
     ん」のカリンか、「難を転じて、福となす」
     の、ナンテンの木ぃか思いましたわ。
あさ) 梅は、うちのパチパチはんと
    おんなじだすさかい。
新次郎) おお、あれが梅の木ぃやて
     知ってましたんか。
あさ) へぇ。お母はんが珍しい木使てるて。
新次郎) あらなぁ、あさがパチパチはん
     振って踊ってたんを忘れられへん
     かったよってなぁ。


(回想)
あさ) ♪うさぎ うさぎ なにみて はねる
新次郎) ありゃ踊ってんのかいな?

新次郎) 思う存分、遊んでもらお思て、ええ
     音がなる雲州で作りましたのや。
あさ) それでええ音しましたんやなぁ。
新次郎) わてはなぁ、そろばん使てるあさが、
     好きなんだす。わての事で、隠居する
     言うねやったら、そらお門違いだっせ。
あさ) もう何言うてはりますの。
    うちは、もうようけ働きました。人の、
    2倍か3倍働いた思いますわ。
    そろそろ商い忘れて、旦那様とゆっくり
    したかてええのと違いますやろか。
新次郎) そら、あさが…誰よりも、お商売の
     好きなこの白岡あさが、お商売よりも、
     わてのほうが大事、ゆうことだすか?
あさ) そうだす。
    旦那様より大事なもんなんか、
    あるはずあらしまへん。
新次郎) そうか。
あさ) へぇ。
新次郎) まあ、それやったらしゃあないなぁ。
あさ) へぇ。
    うちにもゆっくり奥さんさしとくなはれ。
新次郎) あさ。おおきにな。
うめ) 新次郎様。
    お医者様がおいでになりはりました。
新次郎) へぇ。今、行くさかい。
あさ) (泣)


**********

亀助) 奥さん。
あさ) あ…堪忍だす。
    亀助さんはうちが辞めるさかいいうて、
    辞めたりせんといとくなはれや。
亀助) は? いや、わては…。
    ああ、それより、すんまへん。
    今、お客さんだす。
あさ) お客さん?
亀助) へぇ。それが、どないやら、例の、
    学生さんみたいだすのや。
    あの、手紙の。


**********

明) 私、日の出女子大学校1年の
  平塚明と申します。
ゆか) 高橋ゆかでございます。
のり) 斉藤のりでございます。
あさ) 何べんか講義でお会いしましたなぁ。
    外は寒おましたやろ。
    来てくれはっておおきにな。
明) 3年生の田村宜さんから、「文句がある
  なら堂々と言え。陰で言うのは卑怯者の
  する事だ」、というあなた様のお言葉を聞
  きまして、「卑怯者とは何事か」、という、
  ふんまんやるかたない心持ちで、
  大阪まで参りました。
あさ) あれま。
明) それでは堂々申し上げます。
  大阪の銀行家がどれだけ偉い事かは分か
  りませんけど、私はあなたを、女子教育の
  恩人として、はたまた、女の先輩として、一
  つも尊敬したり、感謝したりする気になれま
  せん。私は成澤先生のご本を読み、大学校
  に入る事を心待ちにしておりました。しかし、
  設立の貢献者とかいう、財界人や、政界の
  大物が何かにつけて学校に来ては、偉そう
  に講釈を垂れたり、したり顔で成澤先生や、
  学生のもてなしを受けている姿には、つくづ
  く嫌気がさします。
あさ) ほ~う。
明) あなた様の弁舌も、「自分は学もないのに、
  こんなに素晴らしい成功者になった。その素
  晴らしい私が、あなた達に熱心に教えてや
  っているのだ。なのになぜ、もっと感謝し、も
  っと立派な学生になろうとしないのか」、とい
  う傲慢な気持ちが見え透いております。
  不愉快でたまりません。白岡あさ女史が、
  いけ好かない老婦人というのは、
  我々の間では、既に一致した見方です。
あさ) そうだすか。言いたい事は、それだけだ
    すか? ほんならうちからも、言わしても
    らいまひょ。あんさんみたいな、おなごは
    んが出てくるやてなぁ。まあ、まだ未熟で
    偏ったとこもようけありますけど、それで
    も、ここまで自分の意思持って、きちんと
    ものが言えるいうのは、こらなかなか大
    したもんだす。平塚明さん。あんさん、何
    やひとかどのおなごはんに、なりはるか
    も分からしまへんなぁ。
明) え? えっと、私は…。
あさ) 頑張ってな。どうか存分に学んで下さい。
    せや。秋の運動会ででもお会いしまひょ。
    今年はうちも、あんさん方と一緒に、自転
    車乗り、参加さしてもらいますよってなぁ。


**********

ゆか) 面白いお方だったわね。
のり) 本当ね。
明) どこがですの!? あ~腹が立つ。
  本当、傲慢な女。
千代) まあ、傲慢ゆうか、大ざっぱいうか…。
    けど、そないなお人が、道なき道切り開
    いてくれたからこそ、今そうやって、女も
    自由に、ものが言えてるのかも分からし
    まへんな。江戸の昔やったら、あなたな
    んて、座敷ろうに入れられてはったわ。
明) 江戸の昔なんて知らんこっちゃですわ。
千代) まあ、そうだすなぁ。
明) でも…お会いできてよかったです。
   私、あの方を超える
   新しい女になってみせます。


この女学生、後の平塚らいてうは、
この後に、雑誌「青鞜」を創刊。
「元始、女性は太陽であった」
と高らかに宣言し、
数々の婦人運動にまい進します。


**********

千代) 何が新しい女や。ほんま、
    感謝、ゆう言葉知らんのやろか?
うめ) フフッ。お千代様がそれ言うやてなぁ。
千代) へ? お母ちゃん?
あさ) 何や、今度ばっかりは、
    ちょっと立ち直られへん。
千代) はれ、ほんまは、
    気落ちしたはりましたんか。
あさ) これからのおなごのためにて、ず~っと
    ず~っと頑張ってきたつもりやのに、人
    望どころか、あない嫌われてしもてたや
    てなぁ。
千代) フフッ…フフ。
あさ) ん?
千代) お母ちゃんが、そないな事で傷つくや
    なんて、そっちの方がびっくりだすわ。
    嫌われようが、何されようが、言いたい
    事は言う。信念は曲げられへん。
    それでこそ、お母ちゃんだすがな。
    胸張って、堂々としてはったらよろし。
あさ) せやな。お父ちゃん以外の誰に好かれ
    てもしょうがあれへん。これがうちだす。
    見返りなんかいらん。これからの頑張る
    おなごの、小さい小さい踏み台にでもな
    れてたら、それでよろしのやなぁ。
千代) せやせや。


**********

あさは、それからすっぱり、
仕事と縁を切ると、
ただただ、新次郎と共に、
時を過ごすようになりました。


**********

あさ) 近頃美和さん、ようこないなお菓子、
    旦那様に持ってきてくれはりますなぁ。
新次郎) まあ、専ら喜んでるのは
     千代だすけどな。
あさ) アハッ。そうだすなぁ。やっぱり美和
    さんは、今でもどっか旦那様の事…。
新次郎) あさは、ほんま鈍いなぁ。
あさ) へ? 鈍い?
新次郎) うん。こないだ、
     美和さんが来てくれた時もなぁ。


(回想)
平十郎) ああ、美和さん!
美和) シ~。
    もういい加減、美和言うとくれやす。
平十郎) へぇ?
美和) それ、取っとくれやす。
平十郎) へぇ。
美和) もう、「へぇ」言うのもやめとくれやす。
平十郎) へぇ…いや。ほな、何て呼んだら
     よろしいんですか?
美和) 「何やお前」言わはったらよろしいねん。
平十郎) あ…何やお前。
美和) へぇ。ほな行きまひょ。お前様。
平十郎) へぇ…!
(のぞき見している新次郎)
新次郎) ほほ~う。

あさ) やぁ! ほんまだすか? いつの間に…。
新次郎) ハッハッハッハ…。
あさ) ちょっとでええさかい食べとくなはれ。
新次郎) あ…そや。千代は、このごろ、
     お菓子のせぇか、ちょっと肥えた
     んやあらしまへんのか?
あさ) ああ、それが…2人目できたみたいで。
新次郎) はぁ、ほんまか? うれしいなぁ。
     今日は、具合もええさかい…へへ。
     何や、ちょっと、遊びたいなぁ。
あさ) ほんならお散歩でもしまひょか?
新次郎) あ…せや。ハハッ。
     あれ、どないだす?
あさ) そうだすな。お持ちしまひょ。


**********

あさが選んだ木は、お金借りん、のカリンでも、
難を転じて福となすのナンテンでもなく…新次
郎にもらったパチパチはんに由来する梅の木。
お金借りんのカリンて…久しぶりに、新次郎の
ダジャレというか、品のいいオヤジギャグを聞
いたような…。今となっては、ホントなつかしい。

新次郎) そら、あさが…誰よりも、お商売の
     好きなこの白岡あさが、お商売よりも、
     わてのほうが大事、ゆうことだすか?
あさ) そうだす。
    旦那様より大事なもんなんか、
    あるはずあらしまへん。

あさの言葉を、新次郎になったような心持ちで
聞いて、心底うれしく思ってしまった。あさが新
次郎を大切に思う気持ちは、ちゃんと新次郎に
も伝わっていたとは思うけれども、こうして言葉
にして言ってもらえると、それはそれは格別に、
うれしいことだなぁと。「あさが来た」の一番いい
ところは、ヒロインが「堪忍」と「おおきに」を素直
に言えるところ。ごめんなさいとありがとうを、言
えない、言わないヒロインは、好きになれなくて。

日々のあいさつ、声をかけあう気持ちよさを、毎
日感じさせてくれた、本当に朝にふさわしいドラ
マだったと思う。とはいえ、愛情表現に関しては、
あさよりも新次郎のほうが豊かだったと思われ。
新次郎がいつも、あさの気持ちを汲んで、理解
して、親鳥がひなどりを見守るような大きな愛情
で包み込んでいて。だから、新次郎の時間が残
り少なくなって、あさが言葉と行動で、分かりや
すく新次郎への愛情を見せるようになったのが、
何ともうれしくて…。やっぱり、言葉にすることは、
愛情を分かりやすく伝えることは、本当に、大事
だなぁと、しみじみと思ってしまった。おおきに~。

後の平塚らいてうの「若気の至り」な発言は、ま
あ、今でもありがちな頭でっかちで、ああいう風
に言いたいお年頃、な感じ。想定内といえば想
定内。明の中の人は、無難にこなしたかなって。

自分が母親に反抗するのはいいけれど、他人
にされると腹が立つんだろうなあと、千代の反
応が面白く、さりげないうめのツッコミに笑った。

胸を張って堂々とて…昔梨江さんが言ってくれ
た事を、今度は娘に言われるてなぁ…。何だか
とても感慨深かった。千代の成長も感じられた
し、母と娘の関係がいい感じになってきていて。

お父ちゃん以外の誰に好かれて
しょうがあれへん。これがうちだす。
見返りなんかいらん。
これからの頑張る
おなごの、
小さい小さい踏み台にでも
れてたら、
それでよろしのやなぁ。

ほんにほんに。ああ、かのさんの生「ほんにほ
んに」が聞きたくなるよ。あの合いの手は、なん
ともあたたかい肯定の呪文だったんだなぁ…て。

ここにきて何気にへぇさんと美和さんの恋バナ
を匂わせてきたということは、うめと雁助のファ
イナル恋バナ、もうひと泣かせもあるのかも…。
今週は毎日ジワジワ泣けてきて…ホント、困る。


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「あさが来た」関連ブログリスト

●「あさが来た」HP


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