「掟上今日子の備忘録」第5話~忘却探偵が秋の絶景小旅行 | 日々のダダ漏れ

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「掟上今日子の備忘録」

掟上今日子の忘備録

第5話
忘却探偵が秋の絶景小旅行・・・
軽井沢でライバル刑事と推理合戦
 

その朝、ある者は、体のメモを見つけ…

掟上) やった~~~!! っしゃ~!!

らしからぬ奇声を上げた。

ある者は、
情報収集に余念がなく…

ある者は、
ひそかな野望を胸に秘め…

ある者は、
いつものようにコーヒーを入れる。

そしてある者は、
ついにこの日が来たと、
臨戦態勢で家を出た。

その前日、彼らを迎える館の主は、
休日を彩るための準備を、完成させた。
彼は二度と、
この家に戻ることはなかったが、

その人生は、多くの人に楽しみを与え、
時に、幸せな記憶を刻み付けた。

一日で記憶をなくしてしまう、
彼女の心にも。
 
**********
 
掟上) これ、起動までに10分近くかかります。
遠浅) そんなにか。
掟上) あと10分、ワクワクしていられるって事ですね。
    私にとって須永昼兵衛は、そんな存在でした。
    須永先生って、刊行ペースが速いんです。年に
    2冊、多い時には3冊。学生時代って、今思うと
    つまらない事でも、悩んだりつらくなったりする
    じゃないですか。私もご多分に漏れず、そういう
    時代もありまして。でも…あと1か月で、須永先
    生の新作が読める。あのシリーズの続き…ずっ
    と気になってた続きが、もう少しで読めるって思
    うと…。未来が楽しみになりました。私の時間は
    途中で止まってしまったけど…。須永先生は99
    冊分、たくさんの人をワクワクさせて来たんです
    よね。


**********

掟上) キレイ。最後までいい日。
厄介) 須永先生のこと、
    今日のどこから気づいてました?

(回想)
掟上) テレビを見て初めて。
厄介) 僕が隠してることに気が付いて、逆に気を遣
    って、気付いてないふりをしてくれたんじゃ?
掟上) いいえ、全然。隠しておいてくれてよかった
    です。厄介さんのおかげで、思う存分、楽し
    めました。ありがとうございました。惜しむら
    くは、須永先生の新作原稿を読めなかった
    ことです。ホントは早く見つけて1人でこっそ
    り読もうと思ってたのに。まさかあんな形で
    保存してあるなんて。
厄介) 出版予定は来年の2月だそうです。
    出版されたら、プレゼントします。
    あっ…家に本、置かないんでしたっけ?
掟上) はい。日記もつけません。明日になれば、
    楽しい今日のことも、すべて、リセットです。
    ですが、こんなのはどうでしょう?
    私にプレゼントする代わりに、サンドグラスの
    書棚に置いておく。面白いと思いませんか?
厄介) はい。楽しみです。
掟上) 私も。想像するとワクワクします。


その日が来たら、僕は、
須永先生の最後の新刊を買う。

サンドグラスの書棚に、
そっと差し込んでおく。

今日子さんは気付くかもしれないし、
気付かないかもしれない。

でもある時、ふと気付いて、
大好きな作家の死を、
初めて知ることとして受け止める。
彼女が悲しい気持ちになったら、伝えよう。


厄介) お茶でもしませんか?
掟上) それで、どうなったんですか?
厄介) 画面に、「ハズレ」。
掟上) ん?
厄介) 「なんちゃって」。


この原稿を捜した日が、どれだけ楽しかったか、
今日子さんの楽しい日は確かにそこにあって、
これからも続いて行くんだという事を、伝えよう。

今日子さんと初めて交わした、
未来への約束。

その約束を果たす前に僕らは、
ある疑惑に巻き込まれ、
須永先生の遺稿を読むことになる。

その一件は、僕と今日子さんの関係を
大きく変えることになるが、
この時はまだ、誰も知らない。


**********

今日子さんが忘れてしまった一日。とても楽しかった
その一日を、たとえ彼女が忘れてしまっても、その日
をずっと覚えていてくれる人がいてくれたとしたら…。

今回、厄介が初めて今日子さんと交わした未来への
約束。もしかしたら、そんな風に、彼女を何度でも楽
しませる事ができるんじゃないかって…毎回リセット
されてしまう彼女に、何度でもサプライズをプレゼン
トする事もできるんじゃないかって…。もちろん、同じ
1日にはならないし、すべては日々、新しい1日では
あるのだけれど…。何となく、忘れられてしまうといっ
ても、記憶がリセットされるといっても、何かが少しず
つ蓄積されていくのではないか…と思わせるヒントが、
見えてきたような気がして。厄介の、今日子さんへの
思いも、報われないこともないような気がしてきて…。

ほとんど厄介の気持ちになって観ている今日この頃。
彼が、今日子さんに出会えた幸運は、厄介の類まれ
なる「厄」を持っていたおかげにも思えてきたりして…。
彼にささやかな幸せがありますようにと、願うばかりw

 
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●「掟上今日子の備忘録」HP


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