「天皇の料理番」第11話~皇居編~最愛の人と最後の晩餐 | 日々のダダ漏れ

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「天皇の料理番」

天皇の料理番

第11話
皇居編~最愛の人と最後の晩餐


私は、幸せでした。
あの震災で家族全員無事を得るなど、
何という幸せ者なのだろうと。

私は、幸せでございました。


**********

一太郎) お母さん、ちょっといい?
俊子) あっ…うん。
一太郎) 作文で、将来の夢とか、なりたいものとか
     書けって言われたんだけど。お母さん?
俊子) あっ、ごめん。それで?
一太郎) いいなって思うのはいろいろあって。
     でも、決められなくて。
俊子) お父さんはね、あれになりたいこれになりたい
    って手をつけちゃ放り出してたのよ。お坊さんに
    なるって出家までしたのよ。
一太郎) ホント?
俊子) ホント。それで、周りの人にさんざん怒られて、
    お料理をやってみて、やっとこれが夢だったっ
    て分かったの。
一太郎) ふ~ん。
俊子) やってみないと、
    意外と分からないのかもしれないね。


**********

初江) もう、これお母さんやってよ。
俊子) 宿題じゃないの?
初江) 別にばれないわよ。
俊子) 初江は、お針嫌いなの?
初江) 好きな人なんていないでしょ。
俊子) 鯖江のおじいちゃんのお店でね、お母さん、
    小さい頃、はっぴや前掛けの繕いをよく
    やらされたの。みんなにとっても喜ばれて。
    お針は好きじゃなかったけど、
    役に立つのは嬉しかったな。
初江) そんなの何かヤダ。
    私、人の役に立つより、あなたの役に
    立ちたいって言われるようになりたい。
俊子) それもいいけど。
    役に立つって、ホントに嬉しいのよ。
    それを知らないなんて、損だと思うわよ。


**********

(俊子の痰を吸いだす篤蔵)
俊子) すいません。痰が、吐き出せなくって。
    私…迷惑しか、かけてないですね。
篤蔵) ほう思うんやったら、
    いい加減治ってくれんかのう。
俊子) はい。
篤蔵) 今日はこれから、そば打つから。
    みんなで食べような。
俊子) (頷く)
篤蔵) ほんなら、用意してくるから。

**********

周二郎) お母さん。お母さん、お母さん。
      お母さん…。

天皇の料理番(11)

周二郎) お母さん、何やってんの?
俊子) 周ちゃんの声が元気なかったから。


**********

(除夜の鐘が鳴り響く)

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

一太郎) お母さん(泣)。
     明けまして、おめでとうございます。
初江) おめでとう(泣)。お母さん。
周二郎) お母さん(泣)。お母さん…。
俊子) 明けまして、おめでとうございます。
篤蔵) お母さん。
俊子) はい。
篤蔵) 今年もよろしくお願いします。
俊子) はい。


**********

俊子) 心配させてしまっていましたね、あの子らに。
篤蔵) 心配するな言うんは、いくら何でも無理や。
俊子) きれい。
篤蔵) そば粉にほうれんそうと
    ニンジンを練り込んであるんや。

天皇の料理番(11)

俊子) 私は、幸せですね。陛下のお料理番に、
    こんな工夫までして頂いて。

天皇の料理番(11)

篤蔵) 何や、取れてしまったんか?
俊子) 何の鈴か分かりますか?
篤蔵) うん? 財布の鈴やろ。
俊子) 篤蔵さんが、
    昔くれたお守りについていた鈴です。
篤蔵) えっ? ほうやったんか。
俊子) どうしても捨てられなくって、ずっとつけて
    いて、もう、私の一部みたいなものです。
篤蔵) 財布の一部やろ。よし、いい具合になった。
俊子) 篤蔵さん。
    私、ひとつだけ心配なことがあるんです。
篤蔵) 食べてからでいいやろ。
俊子) 私…
    篤蔵さんが癇癪持ちなことが心配なんです。
    篤蔵さんの場合、お仕事上、それがとんでもな
    い事態につながることがあるかもしれません。
    ほやから、どうか、これから、この鈴をポケット
    にでも。鈴が鳴ったら、あいつがほんなこと言
    ってたなって思い出して。
篤蔵) いい加減食べえ。冷めるやろ!
    これ作るのどれだけ手間やと思ってるんや!
    あっ…
    ああ、これがいかんのやな。すいません。
俊子) こちらこそ。差し出がましくて、すみません。
篤蔵・俊子) (笑)
俊子) いただけますか?
篤蔵) はい。
俊子) あの…ジュテームって、何ですか?
    昔、お手紙に書いてあった…。

天皇の料理番(11)

篤蔵) 食う言うことや。

    今日も明日もあさっても、

天皇の料理番(11)

篤蔵) 私はあなたより長生きしますって、
    そういう意味や。

天皇の料理番(11)

俊子) はい…。

天皇の料理番(11)

俊子) はい~。

天皇の料理番(11)

**********

篤蔵) 亡くなったのは、妻ですが…。
滝川) これをと、仰せでした。


天皇の料理番(11)

**********

篤蔵) 何やってんだ?
初江) お帰りなさい。
    お父さん、明日から仕事でしょ?
    靴下穴開いてたから。役に立つと嬉しいよって、
    お母さん言ってたから。感謝してよ。

**********

篤蔵) 一太郎、お前何やって…。
一太郎) なりたいものはやってみないと
     分からないって、お母さん言ってたからさ。
     宇佐美さんに習ってるんだ。
宇佐美) 大した奥さんだな。
篤蔵) えっ?
宇佐美) 奥さんの真心は、この子たちの中で
     生きてる。ずっと、生き続ける。

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

周二郎) できてなかった?

天皇の料理番(11)

**********

(回想)
俊子) 篤蔵さんより、長生きします。
    ほやから、安堵してください。

寒い冬でした。
身も心もしばれるような。


篤蔵) どやっじゃあ…。

けれど、どこか温かい雪でした。

篤蔵) どやっじゃあ。

天皇の料理番(11)

**********

天皇の料理番(11)

天皇の料理番(11)

**********

篤蔵) あの…。あの人形は、残された子供を
    大切にしなさいってお心ですよね。
滝川) 私には、お心ははかりかねますが。
    よろしくお伝えください。


**********

皇后) そうですか。秋山はそう言って…。
滝川) はい。
皇后) そうですか。


**********

決意も新たに、時は昭和。
この男は、料理番として、
激動の時代を、包丁一本を武器に
戦っていく事になるのでございます。


**********

新太郎が描いた、秋山家の絵も良かったけれど、
ンザイ軒の主人、仙之介の絵もあったかい絵でした。

天皇の料理番(11)

どちらかというと、声が大きくて暑苦しい役(ごめんな
さいw)が多かった、新太郎の中の人でしたが、今回
は、飄々と、穏やかなキャラが、癇癪持ちの篤蔵にと
って、物語のちょうどいい緩衝材となってくれてました。

とにかくもう、俊子と篤蔵の2人の演技が素晴らしくて、
2人の流す涙が美しくて…。号泣する準備はできてい
たけれど、もうもう…思い出しても泣けてきてしまう…。

食う言うことや。
今日も明日もあさっても、
私はあなたより長生きします。
そういう意味や。

ジュテームの意味を、俊子にそう伝えた篤蔵。
先に「篤蔵さんより長生きします」と言った俊子は、
既に、篤蔵に「ジュテーム」と伝えていたわけです。
俊子の「ジュテーム」に「ジュテーム」と返した篤蔵。
篤蔵らしい言葉に翻訳された、ジュテーム。

私はあなたより長生きします。

夫婦として、これ以上の願い、祈りがあるだろうか。
私なら、ジュテームと言われるよりも、ずっと嬉しい。

俊子のまごころは子供たちの心の中に生き続ける。
まごころを抱いて、精一杯生きた美しい人の笑顔と
たらこ唇が、悲しいながらも、心にぬくもりを残してく
れました。こういうものを朝ドラにしてほしかった…。
そう思わずにはいられない、心に残るひと時でした。


●「天皇の料理番」HP

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第1話~時代を超える人間の愛と命の感動物語
第11話~皇居編~最愛の人と最後の晩餐
第12話~完結~敗戦の料理番がGHQに起こした愛の結末


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