「マッサン」 第47回
第８週 「絵に描いた餅」
第８週 「絵に描いた餅」
マッサン・・・私、ずっとここで暮らしてもいいよ
エリー） お姉さん、おめでとう。
千加子） ありがと。
すみれ） お母ちゃん、入るよ。
早苗） うん。
すみれ） わあ！ お姉ちゃん。
すみれ） わあ！ お姉ちゃん。
徹） お前ら、こけぇ座れ。
千加子、ようやったのう！
千加子） うん。
寛子） お母ちゃん。千加子） あんたらの弟じゃ。
勝） やった～！
寛子） 初めまして。お姉ちゃんよ。
政春） すみれ、どかんか。わ～！
姉ちゃん、よう頑張ったのう。
エリー） 男の子。
政春） エリーもご苦労さん！
島爺） おめでとうがんす。
政志） 男の子かいのう。
すみれ） あれ？ お父ちゃん、腰は？
政志） ん？ うれしゅうて治ってしもうたわ。
（笑い声）
エリー） お姉さん、赤ちゃん、抱いてもいいですか？
千加子） 抱いてやって。
早苗） ええか？
（赤ん坊をエリーに渡す早苗）
早苗） 疲れたわ。寝る。
エリー） 初めまして。エリーです。
政春） かわいいのう。
エリー） Peekaboo. Peekaboo.
すみれ） 何？ それ。
エリー） 「Peekaboo」？ あっ…。
すみれ） 「いないいないばあ」みたいなもん？
政志） ハハハッ…。
島爺） ピカプー。
（笑い声）
島爺） ピカプー。
エリー） 「Peekaboo」、できる？
寛子） ピカプー。
エリー） お～上手！ 上手！
寛子） 勝は？
勝） ピカブー。
エリー） そうそう…。
政志） うまい、うまい。
島爺） ピカプー。
その時、マッサンの胸に、
小さな不安が芽生えたのです。
（赤ちゃんの泣き声）
エリー） 可愛いね。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
俊夫） おう！
エリー） ご苦労さまです！
俊夫） あっ、エリーさん。あっ…エリーさん。
お産の時、わしらの「もとすりの唄」で、
千加子お嬢さん励ましたそうですの？
エリー） はい。あの歌、大好き。
俊夫） ほう～ハハッ。あっ、ほうじゃ。エリーさん、
一遍、この水飲んでみてつかぁさい。
エリー） はい。
俊夫） あっ、ああ…。
エリー） うん？ どっちが…。おいしい！
俊夫） このお水のうまさ分かるんですか？
エリー） もう一杯、もらってもいいですか？
俊夫） は…はい！
あっ、ああ…座ってつかぁさい。はい。
エリー） ありがと。うん…おいしい！
俊夫） こがなうまい水でも、酒造りには、やおすぎて、
難儀じゃったんでさ。じゃけど、旦那様は、この
広島の水で、この広島の土地に合うた酒を造
りたい言うて、こだわりんさった。この蔵の酒に
は、そがな、信念が込められとる！ わしも早よ
杜氏になって、そがなこだわりの酒、造りたい
思うとります！
エリー） 俊夫さん、素敵です。
俊夫） あっ…。おっ…ハハッ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
千加子） 政春。ちょっとええ？ 政春。
政春） ん？
千加子） この家に帰ってきた方がええんじゃない？
エリーさんと２人で。
政春） 何で姉ちゃんまでそがな事を…。
千加子） あんたらだって考えとるんじゃろ。自分らに
もし子供が生まれたらいうて。普通の子でさ
え子育ては骨が折れる。いろんな人に支え
てもらわんにゃやっていけん。まして、あんた
とエリーさんの子は…。この家におりゃ、うち
もすぐ近くにおるし、すみれも島爺も、みんな
で助けてあげられる。あんたらだけじゃどうに
もならん事が起きても、みんなの知恵と力が
あったら何とかなる。
政春） じゃけど、お母ちゃんには、そがな事は…。
千加子） 子供が生まれたら絶対大事にしてくれる。
何じゃかんじゃ言うて孫は可愛いんよ。それ
に、結婚は認めん、親子の縁を切る言ようて
も、大阪の社長さんに、米送ったり、嘘の電
報出して、あんた呼び戻したりしたんも、お母
ちゃんが、あんたの幸せを願うとるけん。あ
んたの事が心配でしょうがないけんよ。ウイ
スキーの事はきっぱり諦めて、この酒蔵継ぐ
って言うたら、エリーさんとの事もきっと許し
てもらえる。あんたのためだけじゃないんよ。
エリーさんのためにも、これから生まれてくる
子供のためにも、絶対その方がええって。エ
リーさん、ええ人じゃ。いつでも一生懸命で、
あんたの事１番に考えて。あがなええ嫁さん
他にゃおらんて。じゃけん、うち、エリーさん
には幸せになってもらいたいんじゃ。この家
に帰ってくるんが一番ええ。うちはそう思う。
政春） ちいと…考えてみるけん。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
政春） 姉ちゃんの子供を抱いたエリー、幸せそうじ
ゃった。わしらにも早よ、子供が欲しいいうて、
心底思うたわ。そのこたぁ、結婚したときから、
ず～っと考えよる。それこそ、野球チームが作
れるぐらい、大家族にしたいと思うとった。じゃ
けど…姉ちゃんの言う事も、もっともじゃ。
わしとエリーは、自分らの考えで、生き方を決
めた。じゃけど…生まれてくる子供は、そがな
事は関係なしに、な～んも知らんと生まれてく
る。言うてみりゃ…わしらの勝手な都合で生ま
れてきて…髪の毛の色や…肌の色が違ういう
事で、いじめられる。差別もされる。
スコットランドに留学したわしも、野蛮な東洋人
じゃいうて、よう陰口たたかれた。
悔しい思いした事も、何べんも何べんもある。
エリーじゃってほうじゃろ？
わし以上に…エリーも分かるんじゃろう。
エリー） 分かる…分かるよ。
マッサン…私、ずっとここで暮らしてもいいよ。
マッサンが、それでいいなら、私はついていく。
じゃ…。（マッサンのおでこにキスするエリー）
まだ、女中の仕事、残ってるから。
エリーはもちろん、
マッサンにウイスキー造りを
諦めてほしくはありませんでした。
でも、将来生まれてくる子供を思い、
揺れ動くマッサンを前に、
返す言葉が見つかりませんでした。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
政志） うん…悪ないのう。
俊夫） でしょう？ わしゃ、広島産の米でも、今までの
備前米に負けん、うまい酒が出来る思います！
政志） ああ…。
ほいで、政春、しっかりやっとるんかいの？
俊夫） ありゃいけまへん。日本酒作りをなめとんで
しょう。まったくやる気がありまへん。おおかた、
旦那様の腰が仮病じゃいう事が分かってああ
いう態度…。
政志） 何じゃ？
俊夫） いや…いやいや、あの…とにかく、
お坊ちゃまに、蔵を継がせる事は諦めん
さって、早う蔵に戻ってきてつかぁさい。
政志） 誰が政春に継がせる言った？
俊夫） えっ！？
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（回想）
俊夫） 絵に描いた餅ですのう！
千加子） あんたのためだけじゃないんよ。
エリーさんのためにも、これから生まれてくる
子供のためにも。
エリー） 私、ずっとここで暮らしてもいいよ。
この夜、マッサンも、そしてエリーも、
ある決意を固めたのです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
スコットランドの「いないいないばあ」は、「Peekaboo」
って言うんですね～。「ピカチュウ～」でも良さそうなｗ
そういう文化の違いやら、お産の時に、まわりにたくさ
ん人がいる状況やら、赤ちゃんを抱いたエリーの姿と、
さすがのマッサンも、未来を想像せざるを得なくなり…。
ちなみに、この「いないいないばあ」、フランス語では、
「cache-cache coocou (カッシュ カッシュ クックー)」。
韓国語では、「オプタ オプタ チャン～カックン」だそう。
金も力もない男がウイスキーを造るには、ウイスキー
を造ろうとしている会社を、社長を見つけるしかない。
つまらない意地で、鴨居に頭を下げられないのなら、
居酒屋で文句をいいつつ皿を洗っているよりは、家
に帰って、お坊ちゃま然として生きていくほうがマシｗ
先週今週と、継母と子供の問題、国際結婚した夫婦
の子供が抱えるだろう問題点を提示することで、この
先にある物語の伏線としているのは分かるのだけれ
ど…。実在の人物をモデルにして、面白くお話を作る
のは、やっぱり難しいのでしょうか？ 実在の人物の
場合、視聴者が見たいものと、制作側が視聴者に見
せたいものに、大きな誤解というか勘違いがあるよう
な気がしてなりません。「カーネーション」は、そこのと
ころが上手かったと思うけど、「花子とアン」、そして、
「マッサン」の描き方には疑問が…。時間配分を考え
ると、またも、見たいところが駆け足になりそうで…。
とはいえ、お姉さんとマッサン、マッサンとエリーが話
す場面にはしんみりしたし、泣けたのだけれど…。伏
線をはりまくり、仕掛けをほどこす我慢の時なのだろ
うけど…元気に動き出すマッサンが早く見たいです。
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