「花子とアン」 第116回
第20週 「海にかかる虹」
僕がお母ちゃまを見つけたんだ。だから神様に頼んだの
歩と約束した花子でしたが…。
梶原) 大急ぎで翻訳してもらえないだろうか。
花子) はい。是非、やらせて下さい。
梶原) 本当に急ぎなんだ。
10日で仕上げてくれないか?
花子) 10日ですか…。
梶原) 何か用でもあるの?
花子) 大丈夫です。頑張ります。
次なる仕事が舞い込んでしまいました。
**********
歩) 出来た!
平祐) ほう~。上手に描けたねえ。
歩) お母ちゃまに見せてくる!
平祐) ああ、歩! お母さんは…。
**********
歩) お母ちゃまに見せてくる!
平祐) ああ、歩! お母さんは…。
**********
歩) お母ちゃま! 見て!
花子) 何? 歩ちゃん。
歩) ねえ~! 見てってば!
花子) 何? 歩ちゃん。
歩) ねえ~! 見てってば!
花子) まあ、海の絵を描いたのね
歩) うん! これが僕でね、こっちがお母ちゃま!
花子) うんうん上手上手。ねえ、日曜日に海に行け
るように、お母ちゃまお仕事頑張るからね。
るように、お母ちゃまお仕事頑張るからね。
平祐) 歩! ほら、あっちで遊ぶぞ。
花子) すいません、お義父様。
平祐) さあ、何して遊ぼうか。
平祐) さあ、何して遊ぼうか。
**********
歩) ♪こっちがマ~マのダアリング。
こっちがパ~パのダアリング♪
こっちがパ~パのダアリング♪
お母ちゃま、まだお仕事?
英治) 歩と海に行きたいから、こぴっと頑張ってるん
だよ。邪魔しないようにしような。
だよ。邪魔しないようにしような。
歩) わかった。♪こっちがパ~パのダアリング。
こっちがマ~マのダアリング♪
こっちがマ~マのダアリング♪
なんとか歩との約束を果たそうと、
寝る間も惜しんで翻訳をする花子でした。
**********
そして、日曜日がやってきました。
歩) お天気だよ!
英治) ん…。
歩) 起きて! 早く海に行こうよ!
英治) ん…。
歩) 起きて! 早く海に行こうよ!
英治) おお~よかったな、歩。
やっと海に行けるぞ~。
やっと海に行けるぞ~。
花子さんも、起きて。あれ?
**********
歩) お母ちゃま! お母ちゃま、起きて!
早く海に行こうよ。
花子) てっ! もう朝…。しまった! 寝ちまった!
歩) 早く! 海、海、海!
英治) どう? 行けそう?
花子) まだ、これだけ…。
**********
歩) 早く! 海、海、海!
英治) どう? 行けそう?
花子) まだ、これだけ…。
**********
歩) お母ちゃまの嘘つき。
花子) ごめんね、歩ちゃん。
お母ちゃま、お仕事が間に合わなくて、
今日はどうしても一緒に行けないの。
お母ちゃま、お仕事が間に合わなくて、
今日はどうしても一緒に行けないの。
平祐) さあ、歩。
お父さんと、おじいちゃんと海行こう。
花子) すいません。お義父様…。
歩) やだ! お母ちゃまも一緒じゃなきゃ、やだ!
英治) お仕事が終わらないと、困る人がいるんだよ。
歩) やだ、やだ、やだ!
お父さんと、おじいちゃんと海行こう。
花子) すいません。お義父様…。
歩) やだ! お母ちゃまも一緒じゃなきゃ、やだ!
英治) お仕事が終わらないと、困る人がいるんだよ。
歩) やだ、やだ、やだ!
花子) 歩…。
やっぱり、私も一緒に行った方がいいかしら。
やっぱり、私も一緒に行った方がいいかしら。
英治) ゆうべ、とんど寝てないんだろ?
無理するなよ。
無理するなよ。
**********
花子) 歩ちゃん。本当に海に行かないの?
おじぃちゃまとお父ちゃま、待ってるわよ。
本当にごめんね。
何してるの? 歩…。
(花子の辞書に落書きをする歩)
何してるの? 歩…。
(花子の辞書に落書きをする歩)
花子) やめて! やめなさい!
英治) どうしたの?
花子) 歩が…。
英治) ああ~…。こりゃあまた豪快にやったな。
花子) 歩が…。
英治) ああ~…。こりゃあまた豪快にやったな。
花子) どうしてこんな事するの? これはお父ちゃま
から貰った大切なご本なのよ。
歩、ごめんなさいは?
から貰った大切なご本なのよ。
歩、ごめんなさいは?
歩) お母ちゃま、お仕事しないで。
海に行くって、約束したのに!
花子) だからって…。
や、やっていい事と悪い事があるでしょう!
こんな悪い事する子はお尻ペンぺんですよ!
や、やっていい事と悪い事があるでしょう!
こんな悪い事する子はお尻ペンぺんですよ!
吉太郎) よっ、歩。
歩) あっ、吉太郎だ! 吉太郎。
花子) 吉太郎伯父さんでしょう?
吉太郎) 吉太郎でいいだよ。
はな、できん約束は最初っからするな。
はな、できん約束は最初っからするな。
よし、歩! 今日は俺と遊ぼうな。
英治) 歩の大好きな、
吉太郎さんが来てくれて良かったじゃないか。
これで、仕事に集中出来るだろ、仕事に。
吉太郎さんが来てくれて良かったじゃないか。
これで、仕事に集中出来るだろ、仕事に。
花子) そうね。
**********
吉太郎) 歩。すっげえ面白えもん持ってきたぞ。
一緒に作らんけ?
歩) 何?
吉太郎) ほりゃあ出来てっからのお楽しみだ。
すっげえびっくりするぞ。
よし。ほれじゃ、歩はこれを持っててくりょう。
歩) うん!
**********
(戸が開く音)
醍醐の声) ごめんください。
平祐) あれ? 今度は誰だ?
**********
吉太郎) 歩。すっげえ面白えもん持ってきたぞ。
一緒に作らんけ?
歩) 何?
吉太郎) ほりゃあ出来てっからのお楽しみだ。
すっげえびっくりするぞ。
よし。ほれじゃ、歩はこれを持っててくりょう。
歩) うん!
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(戸が開く音)
醍醐の声) ごめんください。
平祐) あれ? 今度は誰だ?
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花子) てっ…醍醐さん、びっくりした。
醍醐) ごきげんよう。かよさんから、はなさんが凄く
忙しいって聞いたから、お手伝いに来たの。
花子) ああ…ありがとう。
醍醐) 歩ちゃんと遊ぼうと思ったら、
吉太郎さんと夢中で何か作ってて。
吉太郎さんと夢中で何か作ってて。
花子) ああ…兄やん、歩と、妙に馬が合うらしいの。
醍醐) 吉太郎さんって、
見かけによらず、子供好きなのね。
あっ、お邪魔しないわ。お仕事続けて。
花子) ええ。
見かけによらず、子供好きなのね。
あっ、お邪魔しないわ。お仕事続けて。
花子) ええ。
**********
吉太郎) 歩のおかあは、歩くれえの頃っから、
三度の飯よりも本が大好きだっただ。
三度の飯よりも本が大好きだっただ。
歩) ふ~ん。
吉太郎) 歩は、仕事なんかしなんで、一緒に遊んで
くれるおかあの方がよかったけ。誰にも言い
つけんから、ふんとの事言っていいだぞ。
吉太郎) 歩は、仕事なんかしなんで、一緒に遊んで
くれるおかあの方がよかったけ。誰にも言い
つけんから、ふんとの事言っていいだぞ。
歩) 僕がお母ちゃまを見つけたんだ。
吉太郎) えっ?
歩) 神様と、雲の上から見てたんだ。
そしたら、お母ちゃまが見えたの。
そしたら、お母ちゃまが見えたの。
吉太郎) 雲の上から?
歩) うん。お母ちゃま、英語のご本を読んだり、紙に
お話を書いたり、忙しそうだったよ。でも、楽しそう
だった。だから神様に頼んだの。「僕はあの女の
人のところに行きたいです」って。
吉太郎) ふ~ん。
歩) だけど、今日は頭にきちゃったよ。
歩) うん。お母ちゃま、英語のご本を読んだり、紙に
お話を書いたり、忙しそうだったよ。でも、楽しそう
だった。だから神様に頼んだの。「僕はあの女の
人のところに行きたいです」って。
吉太郎) ふ~ん。
歩) だけど、今日は頭にきちゃったよ。
吉太郎) ふんとにおかあと海に行きたかっただな。
**********
醍醐) 今の歩ちゃんの、話、どう思います?
英治) 歩は花子に似て想像の翼が大きいんです。
醍醐) 私は信じますわ。素敵なお話ですもの。
お昼にしませんか?
お弁当持ってきたんです。
お昼にしませんか?
お弁当持ってきたんです。
**********
英治) う~ん。
平祐) こりゃうまい。
醍醐) 本当ですか?
英治) 凄いですね、醍醐さん。
醍醐) ありがとうございます。
平祐) ありがとう。
花子) てっ! これ、醍醐さんが作ったの?
醍醐) ええ。はなさんも召し上がれ。
花子) あ…ありがとう! 頂きます。
英治) う~ん。
平祐) こりゃうまい。
醍醐) 本当ですか?
英治) 凄いですね、醍醐さん。
醍醐) ありがとうございます。
平祐) ありがとう。
花子) てっ! これ、醍醐さんが作ったの?
醍醐) ええ。はなさんも召し上がれ。
花子) あ…ありがとう! 頂きます。
英治) どれも本当においしいです。
醍醐) お口に合ってよかったです。
花子) 兄やんも歩の機嫌直してくれてありがとうね。
吉太郎) いや。
醍醐) お口に合ってよかったです。
花子) 兄やんも歩の機嫌直してくれてありがとうね。
吉太郎) いや。
歩) お母ちゃま、ここから人の声が聞こえるよ。
花子) 凄い! これ、どうしたの?
英治) 鉱石ラジオを吉太郎さんが作ってくれたんだ。
醍醐) ラジオを作ってしまうなんて、吉太郎さんって、
機械にお強いんですね。
吉太郎) いえ。ごく簡単なものですから。
歩) お母ちゃまも聴いて!
ラジオ) 「ニュースであります。こちらは、JOAK…」。
英治) 鉱石ラジオを吉太郎さんが作ってくれたんだ。
醍醐) ラジオを作ってしまうなんて、吉太郎さんって、
機械にお強いんですね。
吉太郎) いえ。ごく簡単なものですから。
歩) お母ちゃまも聴いて!
ラジオ) 「ニュースであります。こちらは、JOAK…」。
花子) てっ! 本当に人の声が聞こえる。
一体どこから話してるのかしら?
歩) ずっと遠くだよ!
花子) へえ~ずっと遠く。
花子) へえ~ずっと遠く。
吉太郎) 歩、おかあに言う事あるずら。
歩) うん。お母ちゃま、
大切なご本にお絵描きしてごめんなさい。
大切なご本にお絵描きしてごめんなさい。
花子) 歩ちゃん…。お母ちゃまも、約束破ってごめ
んなさい。今やってる仕事が終わったら、
今度こそ、絶対に絶対に海に行こうね。
んなさい。今やってる仕事が終わったら、
今度こそ、絶対に絶対に海に行こうね。
歩) うん! お母ちゃま!
花子) 歩ちゃんは、お母ちゃまのダーリングボーイ。
**********
歩) あ~あ~JOAK東京放送局であります。
次は村岡歩先生のお歌であります。
♪こっちがマ~マのダアリング。
こっちがパ~パのダアリング。
パ~パ、マ~マのダアリング♪
鉱石ラジオを気に入った歩は、
毎日、ラジオごっこをして遊ぶようになりました。
**********
♪こっちがマ~マのダアリング。
こっちがパ~パのダアリング。
パ~パ、マ~マのダアリング♪
鉱石ラジオを気に入った歩は、
毎日、ラジオごっこをして遊ぶようになりました。
**********
英治) 締め切り、間に合いそう?
花子) ええ。今夜頑張れば何とか。
歩) お母ちゃま…。
花子) どうしたの? 歩ちゃん。
歩) 僕、お熱があるかもしれないよ。
花子) どうしたの? 歩ちゃん。
歩) 僕、お熱があるかもしれないよ。
花子) えっ?
本当だわ。随分高いお熱よ。
英治) 風邪ひいたのか。歩?
本当だわ。随分高いお熱よ。
英治) 風邪ひいたのか。歩?
花子) 歩ちゃん?
英治) 歩!?
平祐) 英治。早く医者を呼べ。
英治) はい。
花子) 歩ちゃん。
平祐) 歩。歩!
英治) 歩!?
平祐) 英治。早く医者を呼べ。
英治) はい。
花子) 歩ちゃん。
平祐) 歩。歩!
可愛いお宝の歩が熱を出してしまいました。
花子) 歩ちゃん…。
ごきげんよう。さようなら。
花子) 歩ちゃん…。
ごきげんよう。さようなら。
頑張ろうとして無理をしようとすると、居眠りしてしまう
という花子の悪癖(?)が、久しぶりに発動。頑張りま
すって時が危ないのよね~花子の場合。頭に来た歩
はとうとう辞書に落書きを。やっちゃいけない事だけど、
気持ちはすんごくわかるよ。後で吉太郎に言っていた
ように、本当はわかっているけれど、頭にきちゃうって
ことは大人だってあるし。物わかりがいいばかりでは
いられない時だってある。吉太郎の言うとおり、できな
い約束をされるのが、一番頭にきたりするものだから。
子供の頃親に出来ない約束をされて、頭にきた経験
は誰にでもあるだろうし。いや、大人になっても、でき
ないくせに口だけの約束ってのは嫌いなんだけど…。
仕事ばっかりのお母ちゃまに頭にきつつ、そんなお母
ちゃまを選んだのだと言う歩。マジ天使だわ、歩くん。
ここにきて、怒涛の親子シーンに、とってつけたような
と思う人もいるだろうけれど、やっぱり、ないよりはあっ
た方がいい。子供と目を合わさない母親を見せられる
より、ずっといい。ちゃんと子供を愛してる様子は伝わ
ってると思う。そして、それが、今後の展開が想像でき
るだけに辛い。明日が必ずやってくるものではないと、
知ってはいても、ついつい人は忘れちゃうんだよね…。
大切な人との時間を大切にしなければと、あらためて
思う。約束も…できない約束は、しないようにしようとw
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