開局55周年特別番組松本清張スペシャル 「顔」 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

開局55周年
特別番組松本清張スペシャル
「顔」

昭和22年、戦後の九州。小暮涼子(松雪泰子)は、ア
リカ兵相手に大衆酒場で必死に働いていた。夢は
上京
て大女優になる事。そんな涼子に転機が訪れ
る。大
酒場で飯村恭三(坂口憲二)と出会う。涼子
は紳士
な飯村に惹かれ、2人は男女の関係に。その
後涼子は
飯村に夢を話すと飯村は、「有名な映画監
督と知り合い
だから紹介する」という。しかしそれには
お金が必要だ
という。夢をつかむ為に涼子は、必死
に働いて貯めた
お金を飯村に渡すのだった。涼子は
新しい未来が開
け始めたと喜んだのも束の間、飯村
は映画監督との
交友関係はなく、お金ほしさの嘘で
あった事がわかる。
自分の夢を打ち砕いた飯村に殺
意を抱いた涼子は、
飯村を温泉旅行へ誘い出し、包
丁で刺殺してしまう。すべて証拠を処分し完
全犯罪を
目論んだ涼子だったが、彼女には1つの不安が・・・

道中、飯村が昔から妹のようにかわいがっていた瀬
真奈美(田中麗奈)と遭遇していたのだ。上京して
年。年月が流れ事件の記憶も薄らいだ頃、涼子
映画で大女優の五十嵐晶子(稲森いずみ)らと共演
果たすなど女優として初めて脚光を浴び、ついに
はヒロ
インの話が舞い込んでくる。夢にまで見た大女
優への道
が開けたのだ。しかし、訪れたチャンスを前
に、再びた
った1つの不安が涼子の頭をよぎる。真奈
美の存在だ。
真奈美は涼子の顔を覚えているのだろ
うか。そして涼子はある決意を固める・・・。


**********

晶子) 私ね、引退するのよ。
    子供が出来たの。父親は一般の人。
    昔ね、かすって呼ばれてたの。みそっかすの
    かす。貧しくて、虐げられてて。いつも自分じゃ
    ない誰かになりたいって思っ
てた。女優になれ
    て嬉しかったわ。この顔一つで、いろんな人間
    になれるんだから。
でも、彼はありのままの私
    を愛してくれた。
だから、偽りの顔を演じるのは
    もうおしまい。元々、肌に合わない世界だった
    のよ。で
も、あなたは天性の女優かもね。

**********

涼子) 私たちは、少なからず心に闇を抱えて生きて
    います。大切なものを失った悲しみや、無力な
    自分への嫌悪感。理不尽に痛めつけられる現
    実に対する怒り。新作の「顔」は、そんな心に
    闇を抱えた貧しい女が、大女優へと成功を遂
    げる物語です。無力でも、貧しくても、輝ける
    未来を手に出来る時代がやって来たのだと思
    います。私も、何もないところから、ようやくこう
    やって、皆さんの前に立てるようになりました。
    嫌な思いもいっぱいしました。辛く、苦しい事や、
    泣き出したい事もたくさんありました。
    でも、この場に立つ事だけを夢見て、頑張って
    きたのです。ふと思ったんです。私は何の為
    に生きてるんだろうって。私は生きてる価値が
    ないんじゃないかって。証明したいんです。自
    分にも、価値があるって。そして私は今日、こ
    うやって、夢を叶えました。

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涼子) 昔、不可能が可能になる時代が来ると言った

    人がいました。その人にとっては、何でもない
    一言だったかもしれません。でも、
私にとって
    はその言葉が全てだった。
私の人生の全てを、
    その言葉にかけてきたのです。
    ずっと、
その言葉を信じて生きてきた。
    だから私は・・・後悔なんてしていません。
    皆さん。ありがとうございました。

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**********

松雪さんは貧乏で薄幸な女性役もぴったりはまる
し、ゴージャスな女優姿も見事にはまる。その落差
が素晴らしい。そして、坂口憲二の鬼畜ぶりがこれ
また素晴らしい。実に憎たらしい。殴りたくなる男で。
あれだけ嫌な男ぶりを見せつけられたら、迷うこと
なく、殺すしかないと、殺されても仕方がないと思う
だろう悪い男の厭らしさを存分に見せてくれました。
結構、典型的な騙しのパターンだったと思うけれど、
何で騙されちゃうかなあって思うけれど、自分だけ
は違うと思いたい女心がある限り、騙されてしまう
のか。お金の話が出てきたら、ダメフラグなのに!

1度チラっと見ただけの顔を憶えているかといえば、
たぶん、良くも悪くも印象の強い顔だった場合以外
はわからないんじゃないかと。芸能人でも、一度で
覚えられる人と、何度見ても覚えられない顔があっ
て、自分でも不思議なんだけど、結局は好みの顔
が覚えやすいのかも? 好みじゃなくても、面白い、
目が離せない顔っていうのもあるし、記憶できる顔
と記憶できない顔があるのが、自分でも謎ですが。

たぶん、その人の雰囲気というのも含まれるという
か、後ろ姿でもわかる人はわかるし、特徴的な仕
草というのも印象に残りやすい。それが涼子の場
合はタバコを吸う仕草だったのでしょう。煙草を吸
う仕草って、その人の美意識が見えるから、結構
特徴があるかもしれない。特に女性の場合は・・・。

不可能を可能にし、ヒロインになるために生きてき
た涼子。自分が生きてきた意味、自分の生きざま、
「顔」を、映画に、映像に残す事。その夢を叶えた
涼子。女の顔は1つじゃない。千の仮面を持つ女。
それが女優。仮面を持たない女なんていない・・・
ような気もするけれど、本当の顔を誰にも見せた
くないと思うのか、誰かに見つけてほしいと思うの
か・・・。女優に向いているのはどっちなんだろう?

たまたま再放送を観た、松本清張原作のドラマ、
「駅路」でも思ったけど、女優の顔の力は大きい。
物語に説得力を与え、映像を活かすのは、役者
の顔なんだなあと、二作続けて女優の「いい顔」
を観て思った。二人とも、記憶に残る、顔だった。
おかげで、どちらも、物語そのものよりも、そこか
ら連想する想いばかりの・・・感想となっています。


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松本清張生誕100年記念作品 「駅路」
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