「あまちゃん」第71回~アイドル目指し・・・旅立ちのとき | 日々のダダ漏れ

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「あまちゃん」 第71回(完全版)
第12週 「おら、東京さ行くだ!」
アイドル目指し・・・旅立ちのとき
 
 
<天野家>
夏) 許してけろ。
春子) お母さん…。
(春子に頭を下げる夏)
夏) (ため息)
 すっとした。やっと言えたべ。
春子) 私も、すっとした。
夏) そうかい。


**********
 
(2界の部屋でベッドに寝ているアキ)
(アキの手から、
 春子のデモテープが落ちる)
(それを拾う春子)
 
**********
<天野家・春子>
夏) いいか、春子。
 今なら、娘の気持ちも、母親の
 気持ちも分かるべ。アキにとって、
 どうすんのが一番いいのか、
 よ~く考えろ。
春子) うん、わかってる。
 
**********
 
<2解の部屋>
(引き出しから便箋を出す春子)
(ペンを手に考える)



アキ) ママ? ごめん寝ちゃった。
春子) もうちょっと寝てなさいよ。
アキ) でも水口さん…。
春子) 大丈夫。ママに任しといて。
 駅長も、組合長も、観光協会も、
 ママが説得してあげる。
アキ) …じぇ!? いいの!? 
 ママ、行っていいの!?
 えっ、いいの!? やった~!
春子) おっと! 痛い痛い! 
 痛いってもう…。
アキ) ガールズバーじゃねえんだよ。
 アイドルになるんだよ。いいの!?
春子) そのかわり、こんな大騒ぎして
 出ていくんだから、ちゃんと本気で
 やんなきゃ駄目だよ。アキ、
 ゼロか、10しかないからね。
アキ) うん、100頑張る!
春子) よし!



**********
 
<観光協会>
水口) それじゃあ、最終確認です。
 ユイちゃんのお父さん、アキちゃん
 のお母さん、大事な娘さんを弊社
 に、預けていただけるという事で、
 よろしいでしょうか?
春子) はい。
足立) よろしくお願いします。
水口) それじゃあ、
 ハンコの方をお願いします。



こうして、北鉄のユイちゃん、
海女のアキちゃんは、
東京へ行くことになりました。
北三陸のアイドルが、ふるさとを離れ、
日本の、アイドルを目指すのです。

長内) 水口! おらたちのアイドル
 頼んだぞ水口! 水口!
水口) はい、水口です。
吉田) 分かってんのか、水口! 
 駅長なんかショックでもう、しゃべ
 れる状態じゃねえんだぞ、水口!
菅原) んだぞ! 
 ほら、担任の先生もだぞ!
磯野) うっ…! 天野! ユイちゃん!


**********
 
<駅舎>
ユイ) 深夜バスにしない? 
 新幹線より安いし。
大吉) 駄目だ! ミス北鉄をバスなん
 かで送り出す訳にはいかねえ! 
 貸し切りだ。臨時便だすべ。
ユイ) え~!
大吉) 第三セクター、なめんなよ。
アキ) 大吉っつあん…。
大吉) わざわざ来たんだから、
 わざわざ北鉄さ乗って帰ればいい。




という訳で、三陸海岸を、
北鉄で下るルートになりました。

大吉) おっ、8時半発の宮古行きさ
 乗れば、仙台さ3時に着く。そっか
 ら新幹線で2時間だべ。
ユイ) 畑野は何時ですかね?
大吉) 9時20分だ。
ユイ) じゃあ私畑野から乗るから。
大吉) んで、新幹線の切符は、
 アキちゃんさ、2人分渡しておくべ。
アキ) あと2日か…。
 なんだか名残惜しいな。
大吉) だったら行かなきゃいいべ。
客) すいません、切符頂戴。
ユイ) とにかく1年、頑張ろうね。
 1年は、何があっても帰らない
 つもりで。ねっ?



アキ) うん。



(微笑むアキ)
(壁に貼ってあるお座敷列車の時の
 写真を見つめるアキ)



**********
 
<浜辺>
(袢纏姿のアキが、
 ハチマキをしめている)



**********

出発の前日、
アキはいつものように浜へ出て、
思う存分潜りました。

(拍手)
(ウニの入った網を下げ、
 海から上がるアキ)
(拍手)
(獲ったウニを網から出し、微笑む)
 
**********
 
(一人浜辺に立ち、海を見つめるアキ)



**********
 
<天野家>
アキ) ばっぱ! ほら!
夏) ああ!
春子) お帰り!
アキ) ただいま! ほら、見て。




夏) 何だや、随分獲ったな~!
アキ) 最後だからな。本気獲りだ!
春子) あ~いいから着替えておいで。
アキ) 分かった。


 

**********
 
<縁側>
(アキの袢纏を干す春子)
アキ) あ~あ、この景色も見納めか。
春子) 何? さみしいの?
アキ) うん。
春子) ふふ。
アキ) ねえ、ママは東京来ないの?
春子) え?
アキ) 来ればいいのに。…っていうか、
 おらが東京行ぐって言ったら、
 ママも一緒に来ると思ってた。
春子) そっか…そうだよね。
 去年まで東京で暮らしてたんだもんね。
 え~やだ、何で思いつかなかったんだ
 ろう。そうか、確かにそういう選択肢も、
 あるよね。
アキ) ごめん、早く言えばよかったね。
春子) そうだよ、早く言ってよ。
 ちょっと考えていい?
アキ) うん。
(作業をする夏を見る春子)
春子) やっぱいいや。



アキ) え?
春子) 面倒くせえ。こっちで暮らすわ。




春子) あんたはさ、
 一人で大丈夫だけどさ、
 夏さん、心配だしさ。
アキ) そっか。
春子) あんたなら何とかなるか
 もしんない。夏さんが言うように、
 あんたと私は違う。
 娘だけど全然違う。
 だから、アイドルになれる!
 …かもしんない。
頑張んな。




アキ) ありがとう。



**********
 
<足立家>
足立) あ~あ、明日から3人か。
 ハハハッ。
よしえ) 2人よ。
 ヒロシ君も帰り遅いもんね。
ヒロシ) お前、どうすんの? ご飯とか。
ユイ) 朝と夜は寮で食べれるみたい。
足立) 無理すんなよ。つらければ、
 帰ってくればいいんだから。まあ
 もっともねえ、ヒロシみたいに、
 2か月で帰ってこられても困る
 けどな。ハハハッ。
よしえ) もういいじゃない。
 頑張ってんだから。
足立) ごちそうさま。
よしえ) あら、もういいの?
足立) 何か頭痛くて。
ユイ) お父さん。お母さん。
 それからお兄ちゃん。
 長い間、お世話になりました。
(頭を下げるユイ)
ヒロシ) 頑張れよ。
よしえ) 無理しないでね。


 
(涙をこらえる足立)
足立) ハッハッハッ。



**********



アキとユイが、
東京へ発つ朝がやってきました。
 
<天野家>
アキ) おはよう!
春子) おはよう。
 すぐできるから座って待ってて。
アキ) は~い!
夏) アキ、ここさ座れ。
(夏の前に座るアキ)
夏) 餞別だ。


 
(「北の海女」の文字が入った手拭い)



夏) この先、つれえ事があったら、
 こいつで涙拭け。そんで、思い出せ。
 寒い朝、浜さ出て、潜った時の事。
 あれよりつれえ事はまずねえがら。
アキ) 夏ばっば…。





夏) 今でねえ、バカ。
 東京さ行ってからだ。
アキ) …ごめん。
夏) じいちゃんさ、線香あげろ。
(頷き、仏壇の前へ行くアキ)
(台所へ行く夏)
夏) ワカメがねえな。
春子) シジミじゃ駄目?
 冷蔵庫の奥の方に入ってるでしょ。
アキ) 見送り来てくれるよね?
春子) 大吉さんと一緒に、駅まで行く。
アキ) ばっばは?
春子) フフフッ、どうだろうな~。
 湿っぽいの嫌いだからね、夏さんは。
アキ) えっ、さっきまでいだのに。
春子) え? アハハッ、海だね。
(夏を探すアキ)



**********
 
(ホームへ向かうアキ、春子、大吉)
 
**********
 
<駅舎>



吉田) ほれ、仙台がら、新幹線の切符。
 ユイちゃんの分も。無くすなよ。
大吉) 帰りの切符も持ってくか?
アキ) 要らねえ。




大吉) 要らねえと吉田! 
 もうアキちゃんの心は、都会の
 絵の具に染まってるど! あ~!
春子) 何? うるさいね。
かつ枝) アキ~!
アキ) かつ枝さん!
春子) あ~来た来た!
アキ) 弥生さん、美寿々さん、
 花巻さん! いいの? 浜は?
美寿々) ちょっとぐれえいいべ。
 今日はアキちゃんの門出だ。




**********
 
(ホームへ向かうアキ、春子、大吉)
 
**********
 
弥生) 1年前と全然違う。
 おめえは、北の海女の精神ば
 受け継いだんだから! 
 胸張って、堂々とやれ!
 負けんなよアキ!
(アキを抱きしめる弥生)



アキ) う…痛っ! 弥生さん、痛え!
弥生) よし、ミサンガ、結んでやっからな!
アキ) 痛え痛え! 血が止まる! 痛えっ!




弥生) 力の加減などできねえべ。
アキ) 痛っ!

**********
 
(ホームへ向かうアキ、春子、大吉)



(階段の途中で足を止め、
 振り返るアキ)
(前を向き、小走りでホームへ行く)

**********
 
(岩場で海藻を取っている夏)



**********

春子の中にあった、長年のわだかまりが消えてし
まえば、昔アイドルを目指していた春子がアキを
応援しないはずもなく。自分とアキとの違いも認
めて、アキの可能性を信じようと思う春子でした。

アキと一緒に東京に行くよりも、夏と残ることを選
んだ春子。アキと春子と夏のスリーショットに、そ
れぞれにそれぞれを想う気持ちが感じられて・・・
いつだって、送り出すほうが、出て行くほうよりも、
少しだけ寂しいような。前を向いて出ていくものと、
残されて待つ側では、想いが違うものだから・・・

ユイパパの笑ってごまかしつつ、ユイの肩をポン
ポンする気持ちに、ちょっと泣けた。悲しい別れじ
ゃないけれど、別れはいつも、寂しいものだから。

親の気持ち、子どもの気持ち。歳を取ってわかる
いろんな気持ち。なんだかしんみりした朝でした。


2015年の再放送時の感想はこちら↓
あまちゃん日記(71)~第12週「おら、東京さ行くだ!」

 

2023年の再放送時の感想はこちら↓
第71回~第12週「おら、東京さ行くだ!」


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