テルマエ・ロマエの“フルーツ牛乳” | 日々のダダ漏れ

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グレーテルのかまど (5月24日放送)
テルマエ・ロマエの
“フルーツ牛乳”




広ーい空間に、雄大な富士山の絵。大きな湯船に
つかれば、身も心も安まる、銭湯。湯上りのほてっ
た体でグイっと1本。
つい手にとりたくなるのが、冷
たーいビン入りの飲み物。
その中の1つ、フルーツ
牛乳が、
あるマンガに登場します。



ラテン語で、ローマの公衆浴場と
いう意味の、テル
マエ・ロマエ。古代ローマの
浴場設計技師が日本
にタイムスリップすると
いう奇想天外なストーリー。



主人公のルシウスは、銭湯でフルーツ牛乳を
口にして、感動するのです。

このフルーツ牛乳には、実は、作者、ヤマザキ・
マリさんの子供時代の思い出が、たっぷりつま
っていました。



(ヤマザキ・マリ)
フルーツ牛乳って、もう私にとってはホントに
銭湯ともう完全につながってる飲み物で、
やっぱり優しさを
感じる味。

飲めば気分爽快。そして、ちょっと懐かしい気持ち
なる、フルーツ牛乳の魅力に迫ります。

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テルマエ・ロマエは、2010年マンガ大賞、手塚治虫
文化賞・短編賞を受賞。2012年には、映画も公開
され、
大きな話題となりました。

作者のヤマザキ・マリさん。10代の頃から海外で
暮らし、現在は、アメリカシカゴ在住。日本に戻る
と、銭湯が楽しみだそうで。

この日は、
映画の撮影が行われた銭湯を訪ねました。



子供の頃から銭湯が大好きだったヤマザキさん。



(ヤマザキ・マリ)
これがもう、これ大好き。家に一台欲しいな、これ。

山崎さんの、銭湯への愛着から生まれ出たのが、
「テルマエ・ロマエ」でした。

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時は古代ローマ。主人公のルシウスは、自らが
設計した公衆浴場のアイディアを受け入れても
らえず、
風呂の中で悩んでいました。

その時、排水溝に吸い込まれてしまい、湯から
顔を出すと、日本の銭湯にタイムスリップして
いた
のです。見たこともない、日本の公衆浴場
の文化に、
圧倒されるルシウス。



そんな彼に老人が、差し出したのが、フルーツ
乳。美味いっ!! しかも、冷たくて甘い!!
ルシウスは、湯上りの体に染み入る味に、感動
覚えるのです。

実は、山崎さんもフルーツ牛乳がお好き。
ということは、あのルシウスは・・・?

(ヤマザキ・マリ)
それはもう、あれは私ですよね。あたし。あの美味
いって顔はホントに自分の中でも
シュミレーション
何度もして、フルーツ
牛乳飲んだ時のこの感じ~
ってのが、染み
出してっる感じで。

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昭和の日本を舞台にした、ヤマザキさんの
自伝的
マンガ「ルミとマヤのその周辺」にも、フルーツ牛乳
が登場します。



父を早くに亡くした姉妹、ルミとマヤ。母は
忙しく、
人はお留守番ばかり。そんな時に、姉妹はよく
銭湯
に通っていました、そこでよく飲んでいたの
が、フル
ーツ牛乳。



実際に、ヤマザキさんも、妹と2人だけで銭湯に
かけていたといいます。風呂から上がると、番
台の
おばあちゃんが手渡してくれたのが、フルー
ツ牛乳
でした。


(ヤマザキ・マリ)
フルーツ牛乳をポンと渡されて、で、それを飲むの
習慣みたいになって。そのおばあちゃんも、うち
がすごく忙しくて大変で、その父も亡くなって、
女手一つででね、子供二人を育ててるってわかっ
てるんですよ。わかってるから、もうホントに、なん
だろうね、
ひたむきにすごく私達をサポートしてく
れてた。すごくやっぱり、
救われてる部分があった
と思います。銭湯に。
フルーツ牛乳ってのも私に
とっては、ホントに
銭湯ともう完全につながってる
飲み物で、
やっぱり優しさを感じる味。ホッとする
味。
ここにいたら、寂しく思わなくてもいいのよ、と
か、安心して好きなだけお風呂につかればいいじ
ゃない、
っていうような気持ちにちょっとさせられる。
それがちょっとつながる感じの、うん、味覚かな。


寂しかった心を、そっと暖めてくれた銭湯、そして、
フルーツ牛乳。それは、人の優しさ、
そして人情を
思い出させてくれる味だったのです。



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古代ローマ人が、日本の風呂に驚き、学ぶ姿を
描いた、テルマエ・ロマエ。それは、海外に長く
暮らしていたヤマザキさんだからこそ、描くこと
のできた作品でした。



昭和59年、ヤマザキさんは17歳で画家をめざし、
イタリアへ留学。以来、チリや、ポルトガル、アメリ
カなどを30年近く海外を拠点に暮らしてきました。



日本に戻るたび、目に入ってきたのは、急速に変
化していく風景。昔はあったはずの、ご近所との
付き合いや、会話が失われている事を感じました。


(ヤマザキ・マリ)
あの、少なからず誰かと必ず喋る機会いうのはあ
ったはずなので。お店だって、スーパーマーケット
になる前は、入って何が欲しいか伝えなきゃいけ
ないじゃないですか。そのためには必ずこんにち
はって言ってありがとうございましたって世間話を
してって世界が成立してた。今はホントにそういう
地域が少なくなってきちゃって。


人と人が触れ合う場所、昔、銭湯はその象徴で
した。知らない人同士でも、湯につかり、自然と
声を掛けあう。それが、ヤマザキさんが見て来た、
当たり前の風景だったのです。


(ヤマザキ・マリ)
スッポンポンで入るんだから、なにやってる人か
わかんないじゃないですか。その人が。だけども
それでもみんなが無防備な状態で、一緒の湯船
の中につかるっていう、もの凄い、コミュニケーシ
ョンの場じゃないですか、それって。そこにきて、
やっぱり人っていうものに対する信頼感とか、帰
属するっていうのじゃないけれど、人としてのこう、
ホントに大事なアイデンティティをその場で確か
められる。


テルマエ・ロマエの第一話。
ルシウスがタイムスリップしたのは、ヤマザキさん
が過ごした昭和40年代の日本でした。




(ヤマザキ・マリ)
フルーツ牛乳飲めとか、服がないって大騒ぎして
いる時にサポートしてくれるあのおじちゃんたち? 
あれがね、凄い書きたかった。やっぱりそういっ
た部分を忘れてほしくないっていうのと、あと、忘
れてしまったわけじゃなくて、やっぱり今の日本
人の中にもあるものなんですよ、それって。凄く
強く感じるから。やっぱそこをずっと引っ張り出し
て、象徴的に見せたほうがまたみんな自覚する
かなあとか。



マンガ、テルマエ・ロマエには、古き良き日本人
の心が詰まっていました。

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(ヤマザキ・マリ)
あの、ヘンゼルさんとかまどさんにお願いがござ
います。あたし、フルーツ牛乳は大好きなんです
けど、実は、酸味のある果物が一切食べれませ
ん。なので、酸っぱくない果物、たとえばパパイ
ヤとかマンゴーとかそのへんをつかった何かこう
風呂上がりに感動を覚えられるような、そんな飲
み物を作っていただけないでしょうか。よろしくお
願いします。



生の果物を贅沢に使った、手作りのフルーツ牛
乳。ビンに入れて一気に飲み干したい。そして、
マンゴーやパパイヤの食感を残した、トロピカル
タイプ。ココナツミルクの香りも豊か。よーく冷や
して、お風呂上がりに飲めば、まさに極楽。心も
身体もリフレッシュすること、間違いなしね。



**********

お風呂上がりの一杯を飲んで感じる、
銭湯の醍醐味って、何でしょう?

(ヤマザキ・マリ)
街中の、普通の暮らしの中で許されている、異
空間じゃないですか、銭湯って。わーって外に
行けばみんな新しく日常生活がある中で、ここ
でみんな素っ裸になってお湯につかって、時間
を忘れて、出てきて、こんな大地の滋養の果物
牛乳を飲み、癒される。これね、絶対ね、あると
ないじゃ人生違いますよ。と思うよ、私は。いや
だから日本人に生まれてよかったと思いますよ。
日本人に生まれなかったら、たぶん、こんなマ
ンガも描いてないし、お風呂に対する興味だっ
てそんなに湧いてたかどうかもわからないしね。
よかった。




日々の忙しさを、体の芯から癒してくれる銭湯。
そして、風呂上がりの体に、染み入るようなフ
ルーツ牛乳。それは、ヤマザキさんの人生に、
なくてはならない、大切な味でした。



**********

「テルマエ・ロマエ」は、映画もアニメも観ている、
大好きな漫画です。大人になった今は、娯楽と
いうか、癒しを求めて温泉やスーパー銭湯によ
く行くようになりましたが、子供の頃はお風呂に
入るのがそれほど好きではなかったかも・・・。
ましてや、銭湯のような、共同のお風呂に入る
のは、さらに苦手だったような気が。古き良き時
代的な銭湯に憧れる気持ちはあるんですけど。

それが劇的に変化したのは、海外で暮らした経
験が大きくて、日本的なものはもちろん、何より
お風呂が恋しくて恋しくて。湯船にゆったりつか
る日本の風呂文化は、素晴らしいとホント思う。
だから、ヤマザキさんの海外暮らしの長さ故の
風呂に対する熱い想いがもの凄くよくわかって。

でも、実は私、フルーツ牛乳というものを飲ん
だことがないことに気が付きました! コーヒ
牛乳やいちご牛乳を飲んだことはあっても、
ぜかフルーツ牛乳を飲んでない! なので、
猛烈にフルーツ牛乳を飲んでみたくてしょう
ないわけなのです。それも、ちゃんとお風呂
がりに。手作りのフルーツ牛乳も興味深い
ど、まずは市販のフルーツ牛乳を味わって
たい!そんな野望を胸に抱いた物語でした。