新島八重の洋菓子 | 日々のダダ漏れ

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グレーテルのかまど (4月19日放送)
新島八重の洋菓子



使い込まれた、鉄製のワッフル・ベーカー。
焼き立てのワッフルの香りが、漂ってくる
うです。実はこれ、150年以上も前に生き
た、
ある女性の愛用品だったんです。その女性
とは、新島八重。
明治初期、アメリカ帰りの
夫・新島譲と共
に、時代の先端を行くライフ
スタイルを実践
した女性です。



西洋式の家、食事は洋食。そして、手作りの
洋菓子。甘党の譲は、八重の焼く、ジンジャ
ーブレッドがお気に入り。
生姜の香りが
ほんのり甘いケーキです。

そして、ワッフル。当時、日本では馴染みの
かったワッフルも、八重は手作りしていた
よう
です。新島八重は、どんな思いで洋菓
を作
っていたのでしょう。今日は、八重と
菓子の
関係をひもときます。

**********

新島八重が暮らした、京都の家に残る、ワッ
フル・ベーカー。この道具で、当時、日本で
は珍しいワッフルを焼いていたという八重。
一体どんな人だったのでしょう?

1845年、八重は、会津藩の武士の家に生まれ
ます。侍たちに交じって銃を操る男勝りな女性
でした。そんな八重を見初めた、一人の男が
いました。



後に、同志社大学の礎を築いた、新島譲。10
年間のアメリカ留学から帰国し、京都に、キリ
スト教主義の大学を作ろうとしていました。

譲は、知人への手紙に、
八重の印象をこう記しています。

彼女は見た目が決して美しくはありません。
ただ、生き方がハンサムなのです。
私にはそれで充分です。


明治9年、2人は結婚。京都で初めての、
プロテスタントによる挙式でした。



**********

新島夫妻が、結婚生活を送った家です。



譲が、自ら西洋の合理的なアイディアを盛り込
んで作った、和洋折衷の建築。今までの日本
家屋では、外にあった井戸を、室内に取り入れ、
流し、かまどと、一直線に並べました。



当時としては、画期的な台所でした。

新島家の食卓には、譲が好む洋食が、日々並
びました。好奇心旺盛な八重は、次から次へと、
レパートリーを増やしたといいます。

**********

新しもの好きの八重は、服装も奇抜でした。



着物に帽子と革靴。
時には、まわりから揶揄される事もありましたが、
本人は、至って平気。男女平等を旨とし、夫の事
を、アメリカ流に、「ジョー」と呼び捨て。女性は、
外では男性と口をきくことも慎めという時代。
なんとカッコいいんでしょう。

**********

新島譲の研究者であり、八重の人物像にも
詳しい山下智子さん。
山下さんは、八重の性格をこう分析します。

(新島学園短期大学 山下智子准教授)

夫を大切にする、と同時に、非常に男性とこう意
見を交わすことのできる方だったという風に私は
理解してるんですね。新島譲の理想というのが、
アメリカで出会った女性たちだったでしょうし、八
重さんはまさに、その、言われた事をハイハイと
いうばかりではない八重さんですから、
自分が、
こうアメリカで見てきたような、家庭を築ける相手、
と言う風に思ったと思うんですね。


**********

明治時代に、西洋の文化を根付かせようとした、
譲とその妻・八重。2人の関係をあらわすのが、
このワッフル・ベーカーでした。



当時、日本ではまだほとんど知られていなかった
ワッフル。その歴史は、中世ヨーロッパに遡ります。

教会で、ミサの時などに食べる
「ホスチア」と呼ばれる薄いパン。



それを焼いていた職人が、同様の鉄板で、
ワッフルの原形のようなものを作ったのが
始まりとされています。



17世紀になり、イギリス清教徒団によって、アメリ
カに伝えられたといいます。その後、ワッフルは、
アメリカ全土に広がり、次第に、家庭の定番メニ
ューになっていきました。

**********

ワッフルは、10年間アメリカで暮らした譲にとって、
慣れ親しんだ食べ物だったに、違いありません。

(新島学園短期大学 山下智子准教授)

きっと、新島譲からワッフルってこんなに美味しい
んだよおっていうところから、きっと八重さんは、じ
ゃあ私もそれが作ってみたいわとか作れるように
なりたいわと、思われたんでしょうし、2人でそれ
を食べる時に、きっとその新島譲の心には、その
アメリカでお世話になった暖かな家族の団欒が
あったでしょうし、また日本で、それに重なり合う
ような時を持つ時に、八重さんがそこにいたって
いうことではないかと思います。




ワッフルは、譲と八重が目指す、
進歩的で、暖かなアメリカの家庭を
象徴するスイーツだったのです。

**********

好奇心旺盛で、新しいものを、次から次へと
吸収
し、自分のものにしていった、新島八重。



2人の家には、外国人宣教師や学生達がよく集ま
っていました。そんな時、八重は、手作りの洋菓子
でもてなしました。その1つが、ジンジャーブレッド。
これは、甘党だったジョーの、大好物でした。



ジンジャーブレッドにまつわる、
こんなエピソードが残っています。

お客を招待するという前日の事。明日のためにと、
八重はジンジャーブレッドを焼いておきました。用
があって、外出しなくてはならなくなった八重。
しかし、どんな所へしまっておいても、菓子ならば、
探し出して食べてしまう譲。そのクセを知っている
八重は、ジンジャーブレッドを戸棚へしまって鍵を
かけておきました。

帰宅し、明日の準備は万端、と安心していた八重
に、譲はクスクス笑ってこう言います。
菓子は焼いたつもりなの?
まさか! 八重は、慌てて戸棚へ向かい、中を見
ると、なんと、菓子はすっかり無くなっていたので
す。譲は、力づくで扉を外して、お菓子を食べたと
白状したのでした。そのため、八重は、明日やっ
てくる客人のために、もう1つジンジャーブレッドを
焼いたんだそうです。譲の茶目っ気と、八重のや
さしさが伝わる、エピソードでした。

**********

八重さんの生きた時代の、
最先端の洋菓子をご紹介。

時は、明治16年頃。外国の偉ーいお客様達を
招いて、舞踏会などが開かれていた鹿鳴館。



ここで振る舞われていた洋菓子って、
一体どんなものだったのかしら?

●プラム・プディング



●パルフェ・フジヤマ



●フルーツポンチ



鹿鳴館のお菓子って、美しいってだけじゃなくて、
当時の菓子職人たちの技と心意気の塊だったん
じゃないかしら?

**********

八重さん流、
明治時代のワッフルとジンジャーブレッド。



素朴だけど、
憧れのアメリカに想いを馳せたワッフル。




そして、譲さんの大好物、ジンジャーブレッド。
生姜の香りがほんのり漂う、やさしい味わいです。

**********

明治23年1月、仕事先の大磯で病に臥した
譲から、手紙が届きます。

できるだけ早く あなたに来てほしい
宿で食べ物に大変困っている


八重手作りの洋食やお菓子は、譲にとって身体も
心も元気にしてくれるものだったのです。急いで、
夫の元に駆けつけた八重に、譲はこう言います。

今日ほど なんじを待ち 長き一日はなかりし

そして3日後、譲は、八重の左手を枕にしながら、
息を引き取りました。

譲の最後の言葉。
グッドバイ また会わん

わずか14年の結婚生活でした。
八重は、譲が亡くなった後も、夫との思い出の
つまった家に一人で暮らし、ワッフルベーカー
も、生涯手放すことはありませんでした。



新島八重の洋菓子。
それは夫婦のかけがえのない時間を彩り、
やすらぎを与えてくれたものでした。

**********


今でこそ、普通に見かけるワッフルを、明治時代に
家で焼いて食べていたなんて、何てハイカラな!!
ジンジャーブレッドは食べたことがないけど、これ
また何だかとっても西洋的な、ハイカラなイメージ。
新島譲は、よっぽどアメリカの食生活が合っていた
というか、好きだったんでしょうね。日本の食がまだ
貧しすぎて、日本食が恋しくなるよりは、アメリカの
食の豊かさに感動したのかも? なんて思いました。

八重と譲は、出会うべきして出会ったというか、譲
が求める西洋式の暮らし、精神を、あの時代に実
現できる日本女性は、八重しかいなかったのでは
ないかと思うし。八重の個性を活かせる、好ましく
思ってくれる男性も、譲が最適だったと思うし・・・。
強い意志を持った同士は、互いに惹きあうのかも
しれません。本当に生き方がハンサムだった2人。

譲の胃袋をガッチリつかんでいた八重さん。自分
の料理を心底待ち望んでくれる夫。譲さんも八重
さんも、幸せな夫婦生活だったことがわかります。
誰かに、「あなたのあれ」が食べたいと言ってもら
えるものが一つでもあれば、幸せだなあと思いつ
つ、美味しいものが作れるようになりたいと、切に
思った今回のグレーテルのかまどでありました♪


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