「私は後でいい。あなたも飲む?ウィスキーだけど」
「喜んで!喉乾いてましたから」
「ふーん、裕美、この子にもウィスキーロックでお願い、あとこの子のご飯も後ね」
「じゃ私も飲むわ」裕美さんハンバーグの調理止めてコップに氷入れ始めてウィスキーの用意してる。逆に飲酒用の料理始めた。何ができるんだろう?ハンバーグ以外は何も買ってないのにな。裕美さんはキュウリとシーチキンの和え物作った。それを食卓に、ウィスキー入ったコップ3つとともに。
「美味しそうね、あんたって料理は問題ない」
「味は今日買ったポン酢味、けど、キュウリのお代わりはもうない」
「いいわいいわ、さぁ、小山内さん、あなたもここに座って、3人で楽しくいただきましょう」
「はぁ」どことなくおかしいなって思うんだ。帰っていきなりお酒飲むなんてね。この人どこかズレてるなって思った。おまけに普通知らない奴が来てたらお酒も遠慮するだろうにな。まいっか、この人が気持ちよく酔ってくれたら問題ないし。荒れてるなと思ったけど。
「裕美、あんたがお酒なんて珍しいわね」
「飲みたい気分だから仕様がない」
「飲みたいってね、まぁいいわ。じゃいただきます」
「いただきます」私にとって初めてのウィスキー、アルコールの濃さがわかるどんよりした色合い、匂い嗅いでみた。強そうだな、飲めるんだろうか?ええい、ままよ、飲むんだ。ゴクリと飲んだ。うわっ、苦い!この苦さは想像できないな。でも美味しい。飲んだら腹にストンと落ちてく感じっていうのかな、いいお酒って思った。あと、冷たいのが良かった。氷がいい。
「美味しいですね、ウィスキーも」
「そう、良かったわね」
「実はウィスキー初めてなんです」
「どうだった?」
「イケるなって思いました」
「そうなんだ、裕美、このキュウリ美味しいわ」
「そう、良かった」
「小山内さん、あなたどこの人かしら?」
「三鷹です」
「三鷹か、昔から住んでるの?」
「はい、あの、横山さんはずっと豪徳寺にお住まいなんですか?」
「そうね、もう15年くらいかな。結構古いか」
「そうですか、15年は長いですね」
「裕美、あんたも美味しい?」
「キュウリは美味しい、お酒は苦いだけ」
「あんたらしいわね。小山内さんはまだ行けそう?」
「少しでしたら行けそうです」
「そっか、強いんだ。あなたのご家族は?」
「両親と姉がいます」
「4人家族か、ウチと一緒ね。お父さんは?」
「父は会社員です。母は専業主婦、姉は学生です」
「そうなんだ。あなたに横山っていう親戚いる?」
「いえ、そういう人はいません」
「いや、あなたの顔が裕美そっくりだから、もしかして親戚かなって思ったの」
「残念ながらそういう人はいません。あの、横山さんは今の毎日どうですか?」