「んー終わった。どうだった?」

 

「ちょっとイマイチだったなって思います。独り生活はわかるんですが『A』がいなかったらただの独り言になっちゃいます。その辺が惜しいなって思いました」

 

「そうだね、この作品ってある特定の人しか認めないってとこあるからね。でも私は結構気に入ったけどね。こうしてDVD買ったりもしたんだし」

 

「裕美さんは能年玲奈のファンなんですか?」

 

「どうだろうね、好きって言えば好きだけど誰よりも好きって言われると弱っちゃううな。気になる存在だけどそれ以上の存在じゃないって感じかな?」

 

「そうですか、まぁ私もそうですね。好きだけど私だけの人じゃないって感じかな」

 

「そっか、似てるね私達。でもまだ時間あるな、どうしよう?」

 

「考えてなかったんですか?」

 

「うん、今日はしょうちゃんちでゆっくりしようと思ってたから」

 

「お母さんは何時頃帰ってきます?」

 

「多分7時位」

 

「ならあと1時間半か。裕美さん、もうテレビでも見てましょう」

 

「退屈だよ」

 

「大丈夫です。お母さんがお帰りになる前にただ一点伺いたいことがあります」

 

「何?」

 

「裕美さん!」

 

「はい、どうしたの、突然」

 

「裕美さん私のこと好きですか?」

 

「そりゃ好きだよ、好きじゃなきゃウチなんて呼ばないし」

 

「私もです。多分あの熱海で初めてお会いしたときから好きだったんだと思います」

 

「・・・あのね、しょうちゃんには悪い事したって思ってます、ごめんなさい」

 

「何のことでしょうか?」

 

「ほら、いつかの晩ウチで抱き合ったじゃない、あんな事よくできたものだなってね.、もう二度とあんなことはしないから許してください」

 

「でも、あれは裕美さんが私のこと好きだからそうしたんでしょ?今となっては確かに恥ずかしいことですけど、裕美さんと私の二人だけの秘密にすれば何も問題ないと思います。もうああいうことしないんですか?」

 

「しない、あんな事よくできたって思うわ。今じゃ恥ずかしくてとてもじゃないけどできない」

 

「何かあったんでしょうか?」

 

「あったらどうする?」

 

「わ、私が精一杯慰めてあげます。私の好きな裕美さんだし」

 

「ふ、あなたって子供ね」

 

「まぁ、子供でしょう。でも裕美さん、これからどうします?」

 

「そうだな、またDVDでも観るか」

 

「またですか、ちょっと残念」

 

「どうして?」

 

「だって、裕美さんだから変わったことしてくれると思ったから」

 

「私は私でしかないよ。どこにでもいるただの詰まらない女子ってだけ」

 

「すみません、失礼な事言って」

 

「いいよ、とにかく観よう」

 

「何観るんですか?」

祝!600回投稿記念!