『もしもしお母さん?』
『翔子、今どこにいるの?』
『裕美さんの家』
『豪徳寺ね。様子はどう?』
『裕美さんがハンバーグ作るっていうからスーパーで買い物してきた。今裕美さん調理中』
『ハンバーグか、良かったわね。それで今日はどうするの?』
『裕美さんが家に泊まれって言うから泊まろうと思ってる。お金も使わずに済みそうだから返す』
『泊まるっていっても向こうのお母さんも一緒よね?』
『裕美さんの友達って言えば問題ないって思う。あと、お父さんは・・・まだだよね』
『そりゃ来るのは晩だからね。翔子がいないと知ったら悲しむでしょうね』
『仕方ないよ。裕美さんとお父さんどっちも同じ日に来るなんて驚いたもんね。お父さんとはまた会えるから気にしない。それよか裕美さんもうウチには来ないって言ってる』
『いきなり帰したから?お父さんも明日の日曜には帰るだろうから月曜にでも来てほしいね』
『言ってみるけど、多分来ないと思う』
『あの子には悪いことしちゃったね。まぁまたいつか来てくれる日があるかもしれないから長い目で見てるわ』
『それでいいと思う。あと、私このまま裕美さんの家でお世話になるかもしれない』
『いつまで?』
『多分30日まで。31日は夏休み最後の日だから一度家に帰る』
『慌ただしいわね。でもそうしないとあんたの生活が疎かになるか』
『うん、ま、そんなとこ。裕美さんにはウチ来てくれって言うけど期待しないでね』
『わかったわ』
『じゃこれで失礼します。お父さんにはよろしく伝えといてね』
『あぁ、わかった、じゃね』そんな感じで切れた。ふー、これでいいのかな?
家に入るともう裕美さんはハンバーグの調理終わってた。生ハンバーグ冷蔵庫に入れてた。早いな。これからどうしよう?外は雨が降り始めている。雨ってのも珍しいなって思う。私が動いてる時間はほぼ晴れだったから。
リビングに戻ると裕美さんはソファに座ってた。
「ただいまです」
「電話長かったね、さぞかし私の悪口言ってたんでしょ?」
「そ、そんなことありません!母も裕美さんがウチに来るの待ってるって言いました」
「ホント?」
「もちろんです、裕美さんがウチに来るの楽しみにしてますから」
「・・・わかった。とにかくしょうちゃん、座って」
「はい」そうして私もソファに座る。
「母が帰ってくるの遅いから夕食はまだ作れない。3時半だもん」
「そうですね、時間余りますね。これからどうします?」
「いろいろと考えたんだ。そしたらDVDでも観ようって思ったの」
「DVDですか?」
「そう、翔ちゃん知らないかもしれないけど能年玲奈、今はのんか、その作品観るの」
「能年玲奈は知ってますよ。でも、『海月姫』とか『あまちゃん』は観てるんで止めてください」
「『私をくいとめて』って作品よ」
「知らないですね、玲奈ちゃんもいろいろ出るようになったんだ」
「お母さんが帰る頃には終わるでしょう。2時間ちょいかな。じゃ今から観るよ」