新宿から小田急に乗り換えて豪徳寺着いた。ふぅー、三鷹からでも近いな、豪徳寺って。1時間もかからなかったし。裕美さんの豪邸に入る。お母さんはいない。出かけてるんだろう。

さて、今2時。まだハンバーグ作るには早い。どうしよう?裕美さんに任せるか。

 

「失礼します、裕美さん、これからどうします?」

 

「とりあえず、買い出しに行こう」

 

「わかりました」裕美さんの家に入ってすぐ出るのか、私の家と同じだなと思った。きちんと釈明しないといけないなと思いながら、「お店はどこにあるんですか?」と訊くと、

 

「一駅戻らないといけないの、でも300mもないくらいの距離だから大丈夫よね?」

 

「そんなに近いんですか、大丈夫です、行きましょう」そんな感じで都心に向けて歩いて行った。

 

「ハンバーグ代は出しますから」

 

「アリガト、じゃお願いします。あと、しょうちゃんお酒欲しい?」

 

「勝手なことばかりですみませんがいただきたいです」

 

「私の家でも?」

 

「はい、裕美さんお家での飲酒もいいものだろうなって思います」

 

「母も飲むよ」

 

「そうですか、あのくらいの年なら誰でも飲むでしょうね」

 

「家にある秘蔵のウイスキーが大好物なんだ。私もビール位なら付き合うからビールも買ってよ」

 

「わかりました、業務スーパーなら安いでしょうからいいですよ」

 

「うん、よかった、ウチに来てくれて助かるよ。でもどうして急に私のこと爪はじきにしたんだろ?」ようやく裕美さんもウチのこと言いだした。ここは気を付けて言おう。

 

「今日のことは本当にすみませんでした。母も裕美さん来るの楽しみにしていて松本でごちそうになった松本料理「山賊焼き」・「やたら」」作って待ってたんです。でも、父が突然事故に遭ったと聞いて出かけることになってしまったんです。家を不在にしたのは誰かがいると不安になるからです。言い方が変ですけど誰もいない家の方が安心できるんです。おかしいでしょうけど・・・。あと、私が父の病院に行かなかったのは裕美さんを悲しまさせたくなかったから、だからここまで来てしまいました」

「ごちそう作って待っててくれたのはありがたいことだなって思うよ。でも、急に誰もいない家にするのは良くないなって思うな。しょうちゃんと私で連絡待ちでもしてた方がよっぽど普通に思うんだけどな」

 

「確かに裕美さんの言う通りでしょう。本当は私は病院に行きたかったんですけど、それでも裕美さんが来てくれたのに勝手はできない、だから我慢してここまで来ました」

 

「しょうちゃんとお父さんの関係は知らないけど、多分仲いいんでしょうね。だったら私のことなんてほっといて病院行けばよかったのに」

 

「いいえ、もう賽は振られてます。ここまで来た以上あとは裕美さんと仲良く過ごすんです、で、明後日は是非ウチに来てください」

 

「考えとくけど、多分もう行かないと思う。私は嫌われてるんだろうなって思うし」

 

「そんなことありません、母も姉も楽しみにしてたんです」

 

「じゃしょうちゃんのお父さんが私を嫌ってたのかもね。会ったことないけどおそらく私の存在自体が嫌だったんでしょ?私としょうちゃんが瓜二つだから」

 

「そ、そんなことありません!裕美さんのことまだ話してないけど、間違いなく裕美さんのこと気に行ってくれるはずです!」

 

「凄いな、そこまで言うなんて。しょうちゃんとお父さんとは切っても切れない仲なんだね、よくわかるよ。私の父とは全然違うな」

 

「いつか近いうちに父と会っていただきます。父のことはそれでいいでしょ?」

 

「あ、うん、着いたよ、業務スーパー」梅ヶ丘駅着いた。