「ただいまです」
「おかえりなさい。先にいただいてるよ、ゴメンね」
「いいえ、とんでもないです。あぁ、やっとご飯ですね、良かった」裕美さんの昼食見てみると、栗とかゴボウが入った混ぜご飯、鶏のから揚げ、レタス、ポテトサラダ、牛乳といった具合。美味しそう。「じゃ、私もお昼食べます。とんかつ弁当ですけど」ベッドの横にある椅子に座ってトレイ開けて食べる。うん、お弁当屋さんのお弁当も案外いける。美味しい。
「お腹空いてたのかな、美味しいです」
「良かったね。私もご飯噛みしめてる。ご飯て美味しいんだね。普段当たり前のように食べてたけどご飯ていいね」裕美さんしっかり噛みしめて食べてるようで食べるのも遅い。久しぶりのご飯なんだからゆっくり食べたらいい。でも、この状態だと小田島さんのブログ終わるのも今日中にできそうもない。確か200篇くらいあるもんね。やっと50篇終わったとこ。これだけで3時間かかった。とてもじゃないけどこのままだと深夜になってしまう。でも、私は帰らないといけない。明日は講義あるし。だったら途中で止める?そうならざるを得ないだろう。でも裕美さんそれで納得してくれるだろうか?また今日も泊まる?ううん、ダメだ。裕美さんも実際困ってるはず。一人がいいって思ってるに違いない。今日は帰ろう。そう思って裕美さん見ると裕美さんも食べ終わってた。お腹もいっぱいになっただろう。
「さて、そろそろ再開しましょうか。次の編」
「そうね、またこっちに来て寝て」裕美さんに言われるまま椅子を立ちベッドに横になる。次の食事は18時か。12時半だからあと5時間半。どこまで行けるだろうか?
「じゃ行くね」裕美さんスマホ取って出す。
「お願いします」
・第8編裕美の過去編51~54
その日は裕美さんのお母さんへの報告の日。今回は小田島さんの希望がまず出てる。①昔の彼氏のことと②家庭の不和の中身、の二つ。①はもうわかってる。この時点では小田島さんも裕美さんの過去は知らなかったんだ。小田島さん裕美さんのブログ見てる。けど空白の期間があったんだ。高1の8月あたりから高2の12月あたりまでの間。丁度あいつと付き合わされてた頃なんだろう。小田島さんは早めに裕美さんと豪徳寺駅で待ち合わせをし、駅そばのファミレスに入る。
二人でコーヒー頼む。裕美さんはなかなか喋ろうとしない。小田島さんが聞くと裕美さんはアメブロ始めたとのこと。丁度ご両親がしょっちゅう喧嘩してたのが苦痛だったらしい。苦痛を跳ね返すには自分が変わらないといけない、そう思った裕美さんはこれまでの内気な性格から勝ち気な何でも相談受け付けてく子に変わる。裕美さんのご家庭を戻すには裕美さん自身を変えていくしかないと思ったよう。お兄さんへの相談はなかったの?兄は就職活動中で家に帰ることもほとんどなかった。だから相談はせずに終わってる。そして一番の肝心なお父さんからのあいつと付き合えとの強要、というよりも命令。むりやりつき合わされたあいつとは、この時点では何もないままで終わったと言う裕美さん。流石に言えないよね、自分の彼氏には。そのまま裕美さん寝込んでしまう。うつ病の一種のよう。十姉妹とかセキセイインコのような存在だった裕美さん。誰にも相談できず心の重荷を背負いこんでしまい寝込んでしまう。とにかくそうしたことであいつとの付き合いもお父さんは断念したそう。お父さんとも会話がそれ以降なくなった。
『私のこと嫌いになった?』そんなこと訊いてくる裕美さんは今の私と同じよう。もっとも私からはそんな言葉出せないけど。
『ますます好きになった』小田島さんの返事。こんな優しい彼氏がいて良かったね、裕美さん。