- 社会を“モデル”でみる―数理社会学への招待/著者不明
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社会で起こる現象を数理モデルにして解説している数理社会学の本です。モデルの構築のされ方など理解できないものもけっこうありましたが、「こうするとこうなる」といった対応関係を社会や身近な関係から発見する試みは興味深いです。
ちょっと紹介しやすそうなモデルを一つ紹介しようと思います。
甲と乙の二人の生徒がいたとして、甲の方が乙より頭が良く、テストで良い点数をとれるとします。しかし、テストを一回だけでなく複数回受けると甲が乙に負ける可能性が少しあがってしまう、というモデルです。
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◆以下説明(わかりづらいうえ穴があったらごめんなさい)
甲が調子いいときの点数をA、悪いときをBとし、乙が調子いいときの点数をC、悪いときをDとします。
点数の大小はA>C>B>Dの順で、甲がいい点数Aを取る、乙がいい点数Cを取る確率はそれぞれ0.3とします。
・1回だけテストを受ける場合(甲の点数X、乙の点数Y)
甲がいい点数を取る確率 P(X=A) = 0.3
乙がいい点数を取る確率 P(Y=B) = 0.3
甲が悪い点数を取る確率 P(X=C) = 0.7
乙が悪い点数を取る確率 P(Y=D) = 0.7
甲が乙に勝つ → P(X>Y)になる確率は、
甲がいい点数を取った場合P(X=A)の確率0,3と、
甲が悪い点数を取ったけれども、乙も悪い点数を取った場合P(X=CかつY=D)の確率0.7*0.7を足したものになります。
0.3+0.7*0.7= 0.79で、1回だけテストを受ける場合、甲は0.79の確率で乙に勝ちます。
・2回テストを受ける場合(1回目の甲の点数をX1,二回目をX2、1回目の乙の点数Y1、二回目をY2)
甲が乙に勝つ確率は、
甲が一回目と二回目でどっちかはいい点数を取る場合 P(X1=A または X2=A) → つまり、
全体から二回とも悪い点数を取ってしまった場合を除いた場合 =1-P(X1=C かつ X2=C)になる確率1-0,7*0.7
= 0.51 と、
甲が一回目と二回目の両方とも悪い点数をとってしまったが、
乙も両方とも悪い点数をとった場合 P(X1=BかつX2=B)かつ(Y1=DかつY2=D)の確率0.7*0.7 * 0.7*0.7
= 0.2401 を足したものになります。
0.51+0.2401= 0.7501で、2回テストを受ける場合、甲は0.7501の確率で乙に勝ちます
比較すると、1回のみのテストだと甲は乙に0.79の確率で勝てたのに
2回テストを受けると甲が乙に勝てる確率は0.7501と少し落ちてしまいます。
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これはモデルに過ぎないとはいえ、複数回テストを行うと結果が変わってしまうことから、
受験などで複数回受験を受けることは公正かどうか、といった問いかけへと繋がっていくようですね。
memo:
・プロスペクト表記 - (p、p-1、事柄1、事柄2)
・ベッカー依存モデル たばこなど
→ 効用は少しずつ減ってく → 昨日より多く吸わないと同じ効用は得られない → 依存へ
→ 抜け出すには、昨日と比較せず今日の消費を絶対的に重視するとよい
・アカロフの中古車市場モデル - 売り手のほうが情報持ってる、いいものからなくなる
・信頼の条件 P > L /G+L 利益大きいほど信頼されやすい
・お互い好きなのに喧嘩してしまう条件
→ Xが穏やかかつ天邪鬼の好意を表現し、Yが同じくらい極端にかつ素直に好意を表現するとき
・クロフォード、ソーベル - 利害が一致してるほど情報が伝わりやすい、細かく分けて詳細に伝える
・老後の保障は子供でなく株・投資という手も → 子は減り、消費としての子育てのみする
・宗教組織 - 犠牲とスティグマによってフリーライダーを防止
・グループ内権力 - 情報を送受信しやすい位置にいると権力強い
・ボナチッチ 中心性指標 - 隣の中心性も考慮
・外人居住区 - 排他隔離政策を行わなくても、同属欲しい気持ちから自然に居住分離する
・昇進チャンスに恵まれた集団にいるの不満を感じるのは
→ 身近な人の昇進多く、期待が過剰、不満に - 相対的剥奪
・ブードン - 教育機会の平等 = 進学率上げる、ではない。 進学率上がっても階層の閉鎖性変わらない?
・一クラス30人の中で誰かと誕生日重なる確立 - 365/365*365-1/365*365-2/365......*365-29/365 = 0.2936
・軍拡、軍縮など対立する政党の政策が似通ってくる理由
有権者は自分の意見との差が小さいほうに投票すると考えると、
政党は中道に近い政策を採れば、ライバル政党寄りの有権者の支持をも得られる可能性が出てくる
→ 両政党は中間的な政策を採る 、 競合する企業は同じ特質の財を提供する(コカコーラとペプシなど)