アカデミー作品賞を獲ったからといって、その作品が面白いかどうか別だ。



ただ、映画関係者や映画好きが選ぶくらいだからやはり秀でているものがある作品が選ばれるのだろう。



どんなにヒットしようとパイレーツオブカリビアンが作品賞獲る事は無いのだ。



観たことないからパイレーツ~がどうなのかは知らないけれども。



ただ、アカデミー作品賞にノミネートされる作品は古今東西メッセージ性が強い。



いわゆる考えさせられる映画ってことだ。



つい最近観かえした「風と共に去りぬ」もアカデミー作品賞作品。70年以上も前から作品の選定基準は芸術性が問われるということなのかもしれない。



今週はそんなアカデミー作品賞3作をレンタルしてきた。



2004年の「ミリオンダラー・ベイビー」



2005年の「クラッシュ」



2007年の「ノーカントリー」



だ。



なんで2006年の「ディパーデット」が抜けているかと言うと単純に「ノーカントリー」の方が面白そうだったからというだけ。



しかし、改めてみると4年連続でアカデミー作品を見逃していたんだなぁと。






ということでまずは「ミリオンダラー・ベイビー」



前半と後半でまったく質が異なる。



演出方法も見事なもので後半部分のライティングなんてエグイ。観てて苦しくなるほどだ。



テーマは尊厳死というとても重たいものだが、イーストウッドなりに答えを出している。



アカデミーを獲ったというのもなんとなく分かる気もする。



あと何気に全編を通して音楽が素晴らしい。なんとなく「マディソン郡の橋」っぽい音楽だなぁと思ってクレジット見ていたら、今作の音楽はイーストウッドがやってた。



どんだけ多才なんだよ!






クリント・イーストウッド!



ハリウッドの重鎮だ。



僕が初めて彼の作品を観たのは前出の「マディソン郡の橋」



お恥ずかしながら、今から15~6年も前のことだが僕は高校2年生になるまでクリント・イーストウッドはもちろんロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリー、ジャック・ニコルソン、ダスティン・ホフマン誰それ?な子だった。



知ってる外国の俳優さんはシュワちゃん、スタローン、ジャッキー・チェンくらい。ホントに。ブルース・ウィリスもダイハードの人って感じ。



そんな僕が映画にハマりレンタルビデオ屋に通うようになった。その当時新作コーナー1面全部を埋め尽くしていたのが「マディソン郡の橋」だった。





映画駆け出しの頃はアクション映画が大好きで銃をバンバン撃って悪い奴らを倒していくというそんな作品ばかりみていた。



タランティーノ監督やロバート・ロドリゲス監督あたりの作品を純粋にカッコイイという理由だけで観ていたし、スコセッシ監督とデ・ニーロのマフィアモノの作品にもドップリとハマった。



そんな僕からしてみたら恋愛映画?そんなの借りるだけ金の無駄!という認識だったに違いない。



映画にハマって半年くらいだっただろうか、その頃の僕は開局したばかりのwowowにも加入してとりあえず放送している映画を片っ端からVHSの3倍速で録画して、1日に1本。休みの日は2~3本を深夜に観るという生活を送っていた。



今思うとスゲー無謀だなぁと思う反面、幸せな時代だったなと思う。



そして遂に「マディソン郡の橋」を観る日が来た。確か高2の冬だったと思う。



もう涙が止まらなかった。



高校生の僕が観て、全部を理解できるような内容では決してない。それでも涙が溢れてきたのだ。



その時に「映画ってこういうことなんだ」と感じたのを今でも憶えている。



今の映画観を形成するに至った1歩目だ。



そんなイーストウッドと笑点の歌丸さんは子供の頃に見ていたのがおじいちゃんだったのに今もおじいちゃんという偉大な人物だ。




いまさらながら「アバター」を観た。



ターミネーターシリーズやタイタニックなどで技術革新をもたらしヒット作品を次々に世に生み出してきたジェームズ・キャメロン監督。



大ヒットしたくらいだからファン層も相当広いと思う。



ただ僕個人としては、キャメロンもスピルバーグも金曜ロードショーか日曜洋画劇場で十分だ。



両監督とも有名でそれなりに面白い作品はあるけれども、他人に勧める映画は残念ながらない。



世の中にはもっと「これは観とかなきゃな!」って思える作品はいくらでもあるからね。



とはいえ。



金曜ロードショー、日曜洋画劇場のポストにスッポリとハマる作品を作れるというのも偉大だとは思う。



その枠でヴィム・ベンダースやそれこそゴダールとか放送してくれたほうが次の日の話題に困らなくて済みそうだと思ってしまっている僕としてはやはりキャメロン監督は苦手なのかもしれない。



さて。



今回の「アバター」は以前に金曜ロードショーで放送したものを録画したヤツだ。



HDDが撮り貯めた映画でパンパンになってきているので観てみた。吹き替えだけれどしょうがない。



んで内容。



もうベッタベタなストーリー。蠅取紙なみにベッタベタベタベタしてる。水洗いしてもなかなか落ちないベタベタ。



もうね、この手のストーリーはまとめて絵本にでもしたらいいんじゃないかと思う。



こいつ敵になるヤツね。こいつとは恋するんでしょ。最初イヤなヤツだけど仲間になったら良いヤツなんでしょ。意外性も、心躍る展開も皆無。小4、いや小3でも分かるレベルだ。



よくこんなんで2時間半以上作ったな。せいぜい1時間半だろ~と思うのが率直な感想。



良かった点としては開発責任者のパーカーのキャラ。



「原住民の死を報道するマスコミより、まじかに迫った決算の時の株主の方が恐ろしい」ってナイス過ぎるセリフ。



とても人間くさくていいね。



欲というものに縛られているという性質と、絶滅危惧種の生命体の存続を願いながらも家に出たゴキブリを無慈悲に叩き殺せるという性質を持つのが悲しき人間だ。





気になった点。



この映画は大航海時代の新大陸がモチーフなのだろう。



シャーマン崇拝の原住民VS侵略者という構図はアメリカ先住民VSスペインのコンキスタドールそのもの。



一発当てて大儲けを企んではるばる大西洋を越えてきたコンキスタドールは新大陸でやりたい放題。なにせ原住民は弓と槍。



それでも原住民達は立ち上がってコンキスタドールに立ち向かうも文明の差が歴然。結果、大量虐殺という悲劇になりました。インカ帝国や様々な部族がこの時に滅ぼされたのです。



あの有名なクリストファー・コロンブスも悪名が高いコンキスタドールの一人。数千人の原住民を殺しています。



アフリカでも同じです。



南部アフリカに栄えた偉大な戦士達が集うズールー。



彼らもまたイギリスと戦った際にはマスケット銃相手に弓と槍で応戦しました。そして数万人の死傷者を出した後に植民地にされました。



日本にも似た状況がありました。



幕末に黒船がきちゃったときですね。



最初は尊王攘夷だ~!なんつって息巻いていたけれど、薩摩藩や長州藩など実際に外国と戦ってみたら「無理無理。コレ無理だよ」ってことになって急遽、倒幕、開国。文明化で近代化になったんです。



間一髪で滅ぼされもせず、植民地にもならなかったのは正面から敵対することなかったからです。インカやズールーのように。



話を戻してアバター。



自然と共に生き、自然と共に死ぬ生活をしている原住民のナビィ達は大層ご立派。



しかし、もう後戻りできん状況にいるワケです。



圧倒的な力を持った異星人がベースキャンプを張って数年経つ状況。



気づかないといけない。今までと同じじゃいられないってことに。



「ウチらの星のことには構わんでくれ」っていうのは鎖国していた日本と同じでマイルール。



原住民にとっての世界は惑星1つでも、遥かに文明の進んだ者達にしてみれば世界とは限りなく広がる宇宙だ。



そして宇宙とはやはり自然の一部。



とするならば異性人がやってくるのも、家にシロアリが大量発生するのも、どちらも自然の成り行きだ。



そんな状況に英雄気取りの血気盛んな主人公が平和的解決ではなく武力行使による解決を煽る。



ま、結果勝てました。良かったコレでこの星から異星人はいなくなったぞ~い!で話は終わる。



しかしながら、主人公もナビィ達も分かっていない。人間の恐ろしさを。



人間は一度敗れて、それが危険を伴うと承知のうえでも欲のためにはそれを乗り越えられる。



そしてなによりもあの惑星に大量の儲け話が埋まっていることを忘れはしない。決して。



コンキスタドールもイギリスのマスケット兵も連戦連勝ではなかった。鉄の甲冑を着込んだスペイン兵が、射程範囲が遥かに違うイギリス兵が、弓と槍の戦士達に負けたこともあった。



しかし最終的に勝利を得たのだ。



そう考えると、この映画の結末はハッピーエンドなのだろうかと疑問を抱く。




世界的に大ヒットしたドラゴンボール。



僕も子供の頃に随分とハマったものだ。



ただ、僕のドラゴンボールは初代ピッコロまで。



それ以降も読んではいたが、たぶん僕の中でのピークは過ぎていた。



単行本もフリーザまでしか買わなかったので、セルやブウのあたりはジャンプで1度読んだだけだ。



そんな僕がブウ編を読んでみた。



電車の中や帰ってきてから読むこと2日・・・。



読み終わった感想としては面白い。



格闘マンガとしての要素は残しつつも初期の頃のようなギャグ要素もちりばめられていて笑える。



界王神のじいちゃんとか大好きだわ~。こんなキャラがいたことすっかり忘れてたし、久しぶりの閻魔様と老いた牛魔王が瓜二つなのもウケた。



しかしなによりもミスターサタン。



いいわぁ~。サタン。笑えるし何よりも泣ける。



ブウと子犬との話や、終盤に邪悪なブウに挑んで行ったりラストの元気玉の絡み。そして太っちょブウをかばって命を助けるところも。



さすが45口径のピストルを忍ばせてるだけのことはある。45口径ってことはマジだからね。拳銃の中でも最強クラスの銃です。それをあんだけ連射できるのだから相当な筋力だ。



さて。そんなサタン。



日ごろは名声にかこつけて若いネーチャンと遊びまくりらしい。そして見栄と虚勢だけは一人前。



そんな彼は非常に人間くさい。



どんなに情けない行動をしても自分のプライドを守り通す。そんなプライドを守り通すことができないくらいとんでもない状況に置かれて、はじめて彼は自分の愚かさを知る。



それが最後の元気玉だ。



世界の人々はブウを倒すための気を出すのを惜しむ。そんな人々に喝を入れるサタン。自分のことを差し置いて。



それが人間だ。都合の良し悪しで善人にも悪人にもなれるのだ。



そして大円団ではやはり天下一武倒会でのヤラセを示唆している。



なんていう魅力溢れる人物だろう。



レッド総帥、初代ピッコロに次ぐドラゴンボールキャラの上位に食い込むことは言うまでもない。