動物油と植物油と違いについて
エイジングケア化粧品技術者の大川明伸です。
化粧品や食品などに使用されている動物油と植物油の違い。
これらの生物系油脂といわれるものには、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が存在します。
上が、飽和脂肪酸のステアリン酸。
下が、不飽和脂肪酸のリノール酸。
リノール酸のほうは、ステアリン酸に比べ、真ん中あたりのC(炭素)が二重結合になって、H(水素)の数が少ないのが違いになります
飽和脂肪酸の「飽和」というのは、H(水素)がいっぱいに飽和していることをいいます。
大きな違いは、ごま油とラードのように、室温において液体か固体かということ。
動物油も植物油も、どちらも生きているときには、脂肪分は液体でなければなりません。
哺乳類は、恒温動物であるため、体温の37℃くらいで液体になれば問題ありません。
それに対し、植物は寒い時期でも生きていくために、低温でも液状に保つ、不飽和脂肪酸が適しているということになります。
ただし、動物でも魚だけは、体温は水温と同じであるため、不飽和脂肪酸が適しているということになります。
このことから、牛や豚の脂は加熱しないと、とろけないのに対し、マグロの大トロは、口に入れるだけでもとろけるわけです。
アブラは、液体を「油」、個体を「脂」と使い分けられており、両方合わせて「油脂」と呼ばれています。
口紅をはじめ、化粧品の室温で個体であっても、肌に触れたときに、なめらかに伸びる心地よい使用感。
これらは、「油脂」の溶ける温度の性質を活かしているわけですね。