ノンフィクションスタッフ紹介ブログその20 ~上筒井の唄~ 最終話 | PIGCのブログ

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<前回の続き>前回はこちら→ http://ameblo.jp/pigc/entry-11278747599.html




どうしても神戸で暮らしたかった松元さん一家は、お父様が退職したことをきっかけに家族みんなで上筒井の地に戻ってきました。中学二年生のときに神戸を離れてから長い年月が経過していましたが、改めてこの地は松元さんにとって最もしっくりする場所であるように感じられました。おさまるべきスペースにおさまったジグソーパズルのピースのように、つま先から頭の先まで違和感なくこの地にフィットしました。

上筒井に吹く風は、松元さんの帰郷を祝福してくれているようでした。





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神戸でおこなわれた37回目のお見合いで結婚を決めたあと、脱サラしたお兄さんの立ち上げるお店を手伝うことになったのですが、これが私もよく知る、かつて神戸ナンバーワンの呼び声が高かったラーメン店、「三馬力」の創業のころの話であると知り、驚きました。



古くからの神戸のラーメン通の方であればたいていご存知のことと思われますが、昔サンチカにあったそのお店はたいへんな人気を博していて、多くの地元メディアから絶賛されていました。今はもう存在していませんが、「神戸」「三馬力」とインターネットで並べて検索してみると、名店の復活を熱望する書き込みをたくさん見つけることが出来ます。



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きくと「三馬力」の名は、松元さんのお兄さんと・兄嫁さんと・松元さんの三人で力を合わて頑張ってゆこうという気持ちで付けたそうです。



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松元さんがお店で着ていたTシャツ



三馬力はオープン当初、某メーカーの営業所長として博多に赴任していたころにお兄さんが足繁く通ったお店の味をそのまま再現してお客様に提供していました。けれども当時の神戸には現在のように博多ラーメンのお店がたくさんあったわけではなかったので、味は濃いが馴染みの薄い、個性的なとんこつスープの味はなかなか受け入れてもらえませんでした。

仕込みを担当していた松元さんは、このスープを何とかして神戸に住む人の口に合うものに変えたいと調理場で試行錯誤を繰り返します。休みの日には外出して、ラーメンに限らず地元に数ある評判の高い飲食店を積極的に訪れ、かたっぱしから味わってゆきました。



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「あのときは食べまくった」と現在も食べまくっている松元さん




気づいたことはすぐにお店の味にフィードバックするなどして日々の改良を重ねた結果、三馬力にやってくるお客様の数は徐々に増え、最終的に毎日開店からクローズまでお客様で溢れかえるまでになりました。売上は右肩あがりで、冷蔵庫をあけると札束が落ちてくるほど繁盛したそうです。




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しかし・・・それも永遠に続くわけではありませんでした。評判が評判を呼んで毎日目が回るほどお客様は来てくれましたが、惜しむらくは「儲けすぎ」ました。儲かれば儲かるほど、兄さんの体調不良のほか様々な災いも束となって訪れ、結局お店は好調のまま暖簾を下ろすことになったのです。

オープンから11年が経過した平成十年、三馬力はお店をたたみました。絶頂期のキャンディーズのように突然普通の女の子に戻った松元さんは今回もまた、お金の恐ろしさを思い知るのでした。



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店を閉めたそのあとも、松元さんは様々な活躍をみせました。



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ご主人に勧められて「何気なく」参加した神戸市緑化協会主催のフラワーコンテストでは優秀賞をとり、阪急王子公園駅の近くにフラワーショップ「リムフラワー」をオープン。阪神大震災の経験を生かして独自に開発した「神戸バスケット」は東急ハンズでバカ売れし、グッドデザイン賞の最終選考まで残って東京の決勝会場まで行きましたが、商用として広く供給できていないという理由であえなく落選しました。


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落下しても割れない「神戸バスケット」を開発



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松元さんの活躍はまだまだございますが、冒頭にも述べさせていただいたとおり、すべて盛り込むと時間がかかって仕方ないのでこのあたりで終わりたいと思います。




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最後に、


松元さんがPIGCの早朝スタッフとして元気に活躍してくださっていること、PIGCの全てのトイレにボランティアで素敵なお花を生けてくれていること、松元さんの生けたお花のわきに、誰からともなく手書きメッセージを添える習慣が始まって、それが今でも続いていること、心から感謝しています。



ありがとう、松元さん。


ありがとう、スタッフの皆さん。


ありがとう、上筒井ぃ~!




おわり


おまけ → http://www.youtube.com/watch?v=V_UTtDYOy40&feature=youtube_gdata