豚袋でございます。
久しぶりの本編記事です。ここのところ急激に気温が下がって、今日あたりは雨も手伝い寒さを感じるくらいの一日となりました。よきかなよきかな。冬物衣料のご準備みなさまよろしくお願いします、国内アパレル業界救済のため!でもユニクロですませちゃいけませんよ。ファストファッションももういいでしょ。ジャパンブランドで楽しみましょう(笑)
さて、本日YouTubeをみていたらいつものロゴと違っているのに気付きました。コレです
何かと思えばジョン・レノン・ヴァージョンではございませんか。そう、今日はジョンの誕生日、生誕70周年の日だったのです。命日は鮮烈な体験でしたので忘れる事はないのですが、誕生日って忘れやすいですよね、特に私のようなマメさのない人間にとっては。そんなわけでジョン・レノンの記事を久々に書いてみようと思い「マインド・ゲームス」を取り上げることにしました。
John Lennon - Mind Games
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このアルバムは彼のソロとしては4枚目になります。比較的ジョンのソロの中では地味と言われ評価が分かれるようです。前作の「サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ」が極めて直接的に政治色の強い内容で、アグレッシヴなアルバムであったせいか、その反動的に「イマジン」に回帰するような音づくりを目指したようで、それが地味ととらえられるようですが、私は佳曲揃いで好きなアルバムです。特にこの一曲目のタイトル曲の美しさといったら、私にとってはイマジンやラブなどの美しい曲をさらに凌駕する素晴らしさだと思います。
このアルバムが出たころ、ジョンは精神的にかなり不安定な時期であったようです。前作があまりに政治的・極左的ともとらえられる内容で、その影響力を懸念したアメリカ政府はFBIに監視させたり、グリーンカードの取得を妨害したりしていたようです。また、他にも裁判等のトラブルも重なっていたらしく、ジョンはそうした一連にかなりストレスを感じ酒で荒れたり暴力をふるいヨーコに当たり散らしては翌日謝るという日々を送っていたようです。ヨーコに対しての申し訳ない気持ちを歌にしたのが次の曲です。
John Lennon - "Aisumasen (I'm Sorry)"
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ジョンの曲の中で唯一の日本語登場曲が謝罪の曲というのが情けないところですが、そもそもジョンの本質は一貫してその時その時のリアルタイムの自分を徹底的にさらけだして歌にするアーティストであると思いますので、彼らしい曲といえるのではないでしょうか。そうした気持ちも届かず、このアルバムが出る頃には後に「失われた週末」といわれる、18か月に及ぶヨーコとの別居生活に突入していく訳ですが。
いろいろ背景を深読みすることはできるのですが、このアルバムの一番の良さは「楽曲の良さ」ではないかと思います。ジョンはその尖鋭的とも言える活動やアルバムを残してきたせいもあり、特に「詩」が先行して語られるミュージシャンですが、これはその活動に疲れたかのように反動的に「メロディー」や「サウンド」が美しいアルバムになっているように思います。メロディーメーカーとしての技量も一流ですから当然といえば当然なのですが、「何かと闘う」イメージが先行してしまってそのあたりに聴く側が盲目的になっていたのではないでしょうか。
John Lennon - Out The Blue
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このアルバムのアナログ時代で言うところのB面は、本当に佳曲揃いだと思います。リラックス感漂うテンポの小粋な"Intuition"にはじまり、アコギの美しい旋律とどこかもの悲しさを帯びたジョンの声が印象的な "Out the Blue"。ジョンの大好きな軽快なロックンロール的音階が心地よい"Only People" 。まるでビートルズのアルバムに入っていてもおかしくないような "I Know (I Know)"。いずれもその美しく、安心して聴くことのできるメロディーの連続は素晴らしいと思います。このアルバムが地味だとか駄作だとかいう発言が出る事自体、私には理解できません。間違いなくタイトル曲とB面の楽曲群によってこの盤は私にとっては2番目に好きなジョンのアルバムとなりました。(一番はやっぱり「ジョンの魂」 です。こればかりは絶対です。)
「失われた週末」について私見を少し。「失われた週末」に関してはヨーコがジョンを追い出し、それが原因でジョンが荒れて酒に溺れ、暴力事件も引き起こしたどうしようもない彼の暗黒期的な位置付けになっています。ただ、このアルバムも次の「ウォールズ・アンド・ブリッジズ」もその暗黒期に作られたわけで、それがいずれも音楽的に優れたアルバムであるわけで、音楽的には充実期と言えるのではないかと思うのです。実際旧ビートルズメンバーとの交流や様々な一流のミュージシャンとのセッション、そしてプロデュース活動というのはこの時期に集中しており、そうした中で生み出された作品はやっぱりクオリティの高いものとなっていたのではないかと思います。
もちろんヨーコがいたからこそ、彼の創作活動が輝いた事は間違いないとは思いますが、私はもしそのままヨーコと別離したままだったらどうだったのだろう、と思ってしまいます。ジョン亡きあとタブーとなってしまっている、愛人メイ・パンとの生活でもあった「失われた週末」。おそらくジョンはメイ・パンを愛し、そのことで苦悩もしたのだろうと想像したりすると、神格化された存在とはうらはらの俗世的なひとりの男性としてのパーソナリティを感じ、何となくシンパシーを抱いたりします。きっとその生活は彼の音楽活動において刺激をもたらしたのではないでしょうか?まだメイ・パンの著書「Instamatic Karma」を読んでいませんが、ぜひ読んでみたいと思っています。
ファンなもので、ジョンの事はちょっと雄弁に語り過ぎました。このへんで。
それでは、また。
John Lennon - Bring On The Lucie Freda People
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