極私的洋楽生活 -12ページ目

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豚袋でございます。


すっかり秋も深まり、ようやく暦と季節が一致したかのような気候となりました。鍋がおいしい季節になりますね。


そんな秋の一日、ツイッターに目をやるとこんなツイートがありました。「The Slitsのアリ・アップが亡くなったようです。ジョン・ライドンHPにも追悼の言葉が…」とあり、そのあとにジョン・ライドンのHPのアドレスが貼ってありました。そのツイートに皆反応し、驚きを隠せない様子で追悼の言葉が溢れておりました。享年48歳。2006年頃よりまた活動を活発化し、昨年はなんと28年ぶりのサード・アルバムをリリースし健在をアピールするなど、今後がまた期待される矢先だったのに。さぞかし残念であったと思います…ご冥福をお祈りします。

 

 

私は正直なところファンという程の事はありませんでした。実際に聴いたのも、リアルタイムではなくデビューから6~7年くらいたった頃であったと思います。ロンドンパンクというには後発でしたし、ガールズバンドのイメージは何となくとっつきにくく思っており、後手に回った事が大きかったと思います。しかし聴けば聴くほど独特のサウンドに魅せられ、結局このファーストアルバム「カット」はよく聴くアルバムの仲間入りを果たしたのでした。今のところあまり彼女の死がニュースとして取り上げられていないので、自分なりの供養の気持ちを込めて今回記事にしようと思った次第です。
 


The Slits - So Tough



 
もうすでにこのアルバムが出たころはパンクが終焉しつつあり、ポストパンクの音に移行しつつあった頃。最初に聴いた時は「これはパンクの系譜の音なのだろうか?」というのが素直な感想でした。一番不思議な感覚だったのが、リズムでした。色々な音を聴いた今であればそのソースはレゲエ、アフロ、ファンク、ダブ等と、それを言い表す言葉が見つかるのですが、当時はそれを形容する言葉がなく、何とも言いようのないサウンドでありました。イコールそれは形容の仕様がない先進的な音であったことの証でもありましょう。
 

 

密度が少ない、スカスカ手前の音。縦横無尽に歌い、時に声を裏返らせ時に音をはずすかのようなアリのボーカル。脱力感を催すようなコーラス。一定かと思えばトリッキーに変化するリズム。あらゆる制約がない、解放感漂うフリーキーなサウンドフォームは、紛れもなくアヴァンギャルドでした。しかし不思議と神経をとがらせる必要のない、むしろ心地よさを感じるのがまたよかった。「ヘタウマ」などと形容される事もありましたが、誰でもできそうで決して出来ない音でもあったと思います。


The Slits - New Town


 
ちょうどスリッツがこのアルバムを出した頃、ポップグループもオーバーグラウンドに出て来た頃でした。ポップグループの音のソースもレゲエ、ダブ、ファンクという要素を抱えており、スリッツとそうした部分で共通項があったように思いますが、両者の音はまったく異なっています。いわば陰と陽の関係のように、ポップグループのどこまでも沈鬱で攻撃的で分断解体的な音に対し、おふざけのような明るさと脱力感が対照的だったのも面白かったのではないでしょうか。(事実のちほどレーベルが一緒になったり、スプリットシングルを共同でリリースしたり両者にいろいろ関係はあったようです。)
 

 

触れるのが後になってしまいましたが、このジャケットはやはり衝撃だったと思います。ふんどし一丁に泥まみれの裸族風ショット。裸でありながらエロティシズムとはまったく無縁の、プリミティヴな回帰性すら感じさせるアーティスティックな名ジャケットだと思います。尖鋭的で先進的な新しい音を欲していた時代の、まさに象徴的なビジュアルであったのではないでしょうか。そしてそのバンド名「割れ目」。女性である事を極限に象徴しアイコンとしてしまった潔さはまたひとつのアートフォームであったのかも知れません。またそうしたアティテュードはまぎれもなく「パンク」でありました。
 
 
スリッツはこの後、セカンドアルバム「大地の音」をリリースしてわずか2枚のスタジオアルバムを残して解散。アリ・アップはニュー・エイジ・ステッパーズでのユニット的活動を続けながらジャマイカに傾倒し、さらにレゲエとダブに深化した活動をしていたようですが、2006年にスリッツを再結成。2009年にアルバムリリースした所でした。
 

 

ご存じの方も多いと思いますが、アリ・アップの母親はジョン・ライドンと再婚したので、アリにとってはジョン・ライドンが義父にあたります。今回の訃報がジョン・ライドン経由でリリースされたのは何とも不思議な気がします。「アリは重い病気を患っており10月20日に亡くなった」としかそこには書いておらず、詳しいことは発表されておりません。パンクの象徴よりも後塵が先に亡くなってしまうという何とも言えない悲劇。今はアリの安らかなる眠りを祈るのみです。
 
Rest In Peace…


The Slits - Typical Girls


 
それでは、また。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 
 
 
フランク・ザッパってちょっとなじみにくい
間違いなく、天才的で独創的な人だと思う。
そしてきっと偏執狂的に音楽と対峙したのだろう
天才なのだろうが、多作で多彩過ぎて
入口がわからない
だからいまいち世界に入り込めないでいる
 
 
1982年、高校3年生だった
部活も引退し、勉強らしい勉強もせず
ただラジオばかり聴く怠惰な毎日
そんな自分の耳に入ってきたこの曲に驚いた
男の決して綺麗とは言えない声のコーラスに
ヘビーかつ軽快にブンブン唸るリズム
そして何と言ってもビッチな匂いというか
バカ女丸出し口調モノローグが
相当な存在感でかぶさる
新鮮なマッチングにすっかりハマってしまった
 
 
このモノログっていたビッチな女性が
ザッパの当時14歳の愛娘であることを
後ほど知りさらに驚いたのは言うまでもない
 
 
ザッパ世界はいつか開拓しようと思っているが
いつもその膨大な量に萎縮してしまう
老後の楽しみにでもとっておくか(笑)
 
 
 
 
 
from album 
[Ship Arriving Too Late to Save a Drowning Witch]
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ホットレッグスという10ccの前身バンド

ご存じだろうか?

10ccというバンドは有名だがメンバーは
下積みの長いスタジオミュージシャンだった
オリジナルメンバーである4人のうち3人が
たまたまお遊びで録音し
ホットレッグス名義で出した曲
それがこの「ネアンデルタール・マン」だった

 

 
何のまちがいかこの曲が全英2位、
ヨーロッパ各国でも大ヒット
もうまぎれもなくスターダムへの道まっしぐら
、のハズだった
しかし信じられない事に
急激なヒットに怖じ気づき、
何と3人は避暑地へ逃亡してしまったのだった
 
 
それでも思い直したか周囲が勝手に動いたか
アルバムの制作にこじつけた
ムーディーブルースのツアーにも帯同
しかしブレイクからすでに9ヶ月も経っていた
ブームの終わったバンドは
当然アルバムもツアーも惨敗
スターへの道は幻と化し
チャンスは自ら棒にふった

 

 

そんな逸話を知って
いったいどんな曲なんだろうとずっと思っていた
そして、たまたま最近見つけた訳だ
ドタドタしたリズムと、遠くに聞こえるボーカルが
ホントにデモみたいな曲で、生々しい
10ccのブレイクは
この曲から3年を待たねばならない

 

 
 

 

from album
 [Thinks: School Stinks]
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