The Gods / Genesis (1968) | 極私的洋楽生活
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ブログを休止していた5年間、音楽はたくさん聴いていました。特にツィッターのお友達からいろいろな音楽をご紹介いただき、相当な量の音楽に接した5年間でもありました。今でも毎日勉強させていただいてます。
 
 
自分が興味を持って温故知新をしてきたのはブラック系譜の音楽と、特に60年代後半のあまり有名になれなかったバンドが多かったような気がします。リマスターや復刻、廃盤再発などが大量にリリースされる現在はそうした音楽を発見するには本当に恵まれた入手環境にあると思いますね。リアルタイムで体験できなかった事が時代を超えて体験できる喜び。これは音楽を聴く楽しみの大きな要素となっています。
 
 
今回はそうした温故知新したバンドのひとつ、ザ・ゴッズのファーストを取り上げたいと思います。
 
 
ザ・ゴッズはその後に名を馳せたミュージシャンが多く在籍していたことでマニアの方々には有名らしいですね。結成は1965年と古く、このアルバムをリリースするまで3年もあるのですが、その間のメンバーが今から考えるとすごい。フロントマンのケン・ヘンズレーは後のユーライア・ヒープの全盛期のキーボード奏者。ドラムスは同じく後のユーライア・ヒープのメンバー、リー・カースレイク。ギターはなんと後にストーンズに加入するミック・テイラー。ベースは後のジェスロ・タルのメンバーとなるジョン・グラスコック、という面々。
 
 
ミック・テイラーはこのアルバムを出す前にジョン・メイオール&ブルース・ブレイカーズに行ってしまったのでギタリストは代わりましたが、後に大成するメンバーを多く排出したバンドでもありました。(短期間ではありましたがあのEL&Pのグレッグ・レイクも在籍していたようです。)
 
 
 
 
 
 
このアルバムのリリースは1968年。当時のイギリスの音楽シーンはそれまでの英国ビート・ポップが衰退し、1967年のビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の成功が誘引した、サイケデリック~アシッド・ロックを志向したバンドが数多く出てきた時期であったようです。ザ・ゴッズのファーストもそうした時代背景を色濃く反映したアルバムですね。

 

 
ハモンドオルガンとファズのかかったギターの音色ががもろにこの時代の音を象徴していますね。曲と曲の間には妙な効果音が入っていて、なんとなくそれでコンセプトアルバムっぽい雰囲気を出そうとした感。自分はこのあたりの時代の音楽は本当に肌に合うというのか、後追いして聴いていて楽しいのです。
 
 
「創世記」という大仰なアルバムタイトルも、若きヒプノシスによるジャケットも時代感満載で素敵♪重厚過ぎないコーラス的なボーカルワークも独特のムードを醸しだしています。
 
 
メインストリームではクリムゾンやツェッペリンが革新的な音を引っさげ強烈なデヴューを果たした年。その裏でこうしたヴァニラ・ファッジやステッペン・ウルフ類似的なB級感を醸し出しつつ、プログレ的な萌芽も感じさせるバンドであったことも興味深く感じます。このあたりの新しい音楽が生まれつつあり、相当な数のバンドが跋扈していた時代は、想像でしかありませんが、さぞかしエネルギーに満ちた混沌とした情況であったのじゃないかと思いを馳せてみたりします。
 

 


 
ザ・ゴッズはメンバーがその後流動的となり、翌年セカンドアルバム「To Samuel A Son」をリリース。たった2枚のアルバムを残して解散。その後各メンバーは前出のように次以降のバンドで成功を収めるようになります。結果としてこのバンドの持つメロディアスながら重厚な音世界は主にユーライア・ヒープに受け継がれて行くのですね。
 
 
60年代後半という時代だからこそ生まれ得た音楽。聴くたびにこの時代がまたひとつ愛おしくなります。
しかし自らを「神々」と名乗るセンス、これだけはちょっとヒキますね(笑)