【肩透かし】
1 相撲のきまり手のひとつ
2 意気込んで向かってくる相手の勢いをうまくそらすこと
ビッグネームで知られたバンドには
誰もが認める個性と認知がつきまとう
成功のイメージは肥大化し
良くも悪くも
各メンバーは「バンドとしての」個性と認知を
背負っていかざるを得なくなりがちだ
だからビッグネームのバンドほど
そのイメージを変えていく事は
とても難しいことなのだと思う
成功したバンドの各メンバーのソロ活動は
そうしたバンド活動で抑制された
本来自分が持つミュージシャンエゴを発散させる
カタルシスの手段であるのだろう
とりわけ解散したバンドのメンバーが
他のミュージシャン達と手を組み
新しい化学反応という名の刺激を求める
よくあることだ
それは押しなべて「スーパーグループ」という
称号をつけられ、リリースされる音源に
ファンは過度な期待を寄せる
古くはクラプトン×ベイカー×ウィンウッドの
「ブラインド・フェイス」
メンバー名そのままの
「ベック、ボガート&アピス」
ウェットン×ブラッフォード×
ホールズワース×ジョブソンの「U.K.」
ロバートパーマー×デュラン・デュランの
「パワー・ステーション」
レイジ・アゲインスト×サウンドガーデンの
「オーディオスレイヴ」
などなど思い浮かぶだけでも結構ある
多くは短命で一瞬の花火で終わることが多い
所詮エゴのぶつかり合いなのと
各々が元いたバンドに寄せられる
イメージと期待を超越できるほどのものが
生み出せていない、ということなのか
中でもとりわけ異質なのがこの
ハニードリッパーズではないだろうか
ロバート・プラント ジミー・ペイジ
ジェフ・ベック ナイル・ロジャース
どう考えてもヤードバーズ~ツェッペリンに
80年代牽引プロデューサーの組み合わせは
凄まじいケミストリーを生むと
誰もが予感したに違いない
が、期待と音源のギャップは凄まじかった
歴々のスーパー・グループは
それでも「延長線上」という
範疇の中にあったような気がする
それがハナからこのグループにはない
しかも3大ギタリストと呼ばれるうちの
ふたりを集める理由がない
ベックである必要、ペイジである必要が
まったくない音…
脳天気でおおらかな、古き良き時代の象徴
50年代へのオマージュ
ベックもペイジも個性を出さない
徹底したバックアップ
ナイル・ロジャースのカッティングは何処へ…
むしろ個性を抑制することを
楽しんでいるかのようにさえ思える
何という贅沢な起用なのだろう
逆の意味で、商業的な期待を敵に回してでも
このメンバーにしてこの音を世に送り出した
その勇気と潔さに拍手を送りたいくらいだ
恐らくロック史上、最大の
「肩透かし」として語り継がれるべきと思う
もちろん、賞賛の言葉として
残念ながらVOLUME.2は出なかったけど
from album
[Volume One]
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20191022/12/pigbag3rd/fb/fe/j/o0500049814621001399.jpg?caw=800)