FLAMING LIPS / SOFT BULLETIN (1999) | 極私的洋楽生活

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豚袋でございます。

なかなか記事が書けないまま、最近の記事を読み返していてふと思いました…「記事がクドイ!」何となく流れで気持ちを入れて書きすぎるせいか、結構冗長でダラダラした内容である事に気がつきました。これはイカン!いつの間にか本編記事は長く書かなきゃいけない、みたいな気持ちになっていたのでしょう。もともとは起承転結の様式美に収めるつもりで書き始めた本編でありましたが、いつの間にか違う形になっており、肥大化した記事は次の記事のアップする気力の阻害要素と化しているように思いました。今後は少しスケールダウンして書いていこうと思います。

さて秋らしくなったのはよいのですが雨が多くて困ります。台風も近づいているとか…天候は思い通りにならないものの代表ですね、思い通りにならない事がいいことでもあるのですが。秋は何となく切なさ、もの悲しさを想起する季節。この辺りの季節になると何となく手にしてしまうアルバム、フレイミング・リップスの「ソフト・ブレティン」を取り上げたいと思います。(フレイミング・リップスについては前に記事にしました。ついでに読んで頂けると嬉しいです。→FLAMING LIPS / AT WAR WITH THE MYSTICS (2006)

「燃えるような唇」という洒落た名前のこのバンド、豚は非常に好きであるのですが、最初に聴いたアルバムがこのアルバムでした。一曲目のこの曲でファンになったといってもいいでしょう。


ドタドタとした必要以上に歪んだドラムがまず印象的でした。チープながら温もりを感じさせるシンセの音。そして音程が不安定で危なっかしいハイトーン気味のボーカル。そして何よりも儚く甘酸っぱい美しいメロディー!たとえようもなくリリカルで切なくなりました。でも前向きなサウンドというか、肯定的な元気の出るようなリズムが気持ちを奮い立たせます。アマチュアバンドの危なっかしさのような、それでいて微妙に計算されたようなバランス感。音はいろいろ重ねに重ねているのでしょうが、厚みを感じないすっきりとした音。非常に「前に開かれた」音楽を感じました。

しかしながら歌詞世界をのぞくと、かなりシリアスな内容。死や戦争、核の脅威、絶望と孤独。そうしたかなりヘヴィーなキーワードが並びます。アルバムタイトルの意味はよくわかりませんが、直訳すると「柔らかい掲示板」。しかしながら「BULLETIN」の暗喩的な韻の踏みとしての「BULLET(弾丸)」が感じられたりして、相当に痛みの伴う内容なのでしょう。サウンドとのギャップは明白です。

ただ彼らが凡百のバンドと違うのは、これだけ重くて悲痛なテーマを取り扱う表現としては、普通は破壊的な音や怒りを伴う感情をもってするところを、全く対極にある「優しさ」「明るさ」「美しさ」という表現方法をとっているところなのでしょう。美しい表現であるがゆえ、圧倒的にテーマが浮き彫りになる。逆説的な手法ではありますが、それがこのバンドの独創性になっているような気がします。

このアルバムを全編に渡って支配するオプティミスティックとも言える肯定的な雰囲気は、本当に美しいサウンド絵巻となって聴く者を魅了し続けるのでありました。最高にポップで美しいアルバムだと思います。


本日はこの辺で。それでは、また。