
豚袋でございます。
何となく秋めいてまいりましたね。夜は結構涼しく、半袖では寒くなるほどです。9月はイメージ的には秋ですが、実は気温の上では7月とあまり変わりないんです。アパレルの世界に身をおく営業といたしましては、8月後半からすでに秋物のスーツを着ているもので、涼しくなると本当にありがたく思います。このまま順調に涼しくなっていただきたいものです。
何となく秋めいてまいりましたね。夜は結構涼しく、半袖では寒くなるほどです。9月はイメージ的には秋ですが、実は気温の上では7月とあまり変わりないんです。アパレルの世界に身をおく営業といたしましては、8月後半からすでに秋物のスーツを着ているもので、涼しくなると本当にありがたく思います。このまま順調に涼しくなっていただきたいものです。
しかし最近は新譜というものを聴いておりません。何かきっかけがあれば今の音楽シーンにも目が行くのでしょうが、どうも新しい音楽的刺激を受ける事が最近はないです。自分的には春先のパンクな気分がひと段落したら、そのまま時代を遡ってしまい1960年代後半~70年代前半あたりの音を温故知新する日々です。しかしながらやっぱりこのあたりの時代はロックが一番カッコよかった時代。再発見に再発見を重ねることがまた楽しくもあります。そんな中で、いままで自分が記事にしていなかった大御所がおりました。今更記事にするのもどうかな、という思いもありますがお付き合い下さいませ。ディープ・パープルの「ライブ・イン・ジャパン」を取り上げたいと思います。
パープルに対しての自分のスタンスは、「ファンというわけではないけれど、結果としてその多くを聴いている」というかなり曖昧模糊としたものです。正直かなり好きだと思いますが、素直になれません。今の若い方にはばかばかしくて信じられないかもしれませんが、私達の世代のロック好きには「ツェッペリンVSパープル」のどっちが優れているかという、今から思うに全く不毛な論争があったりしたもので、当然ZEPP好きのチュウボウだったワタクシとしてはパープルはZEPPの素晴らしさをアピールするための踏み台的な対象でありました。
また、多くの方々の例にもれず渋谷陽一氏のオピニオンを妄信していた事もあり、さんざん「様式美から逸脱できない」とか「知性や品格がない」とか「早弾きだけでグルーヴ感がない、ワンパターン」とかわかったようなわからんような、明らかに自分の言葉ではない事をほざきながら、パープル好きの友人の「ペイジはギターがヘタ、ピッキングがなってない」「ヘタなくせに冗長すぎるソロ」とかいう意見と戦い、それこそ結論の出ない議論を楽しんでいたような気がします。でも議論をするからにはパープルを聞かなければ批評できないわけで、したがってパープルもよく聴いたものでした。非常に捻じ曲がった聴き方をしていた訳ですね(笑)
そんなわけで最初に聴いたアルバムは「イン・ロック」で次に「マシン・ヘッド」。イン・ロックはさほどな感動はなかったのですが、マシン・ヘッドはやっぱり名曲「ハイウェイ・スター」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」があるがゆえ、相当なバイブを感じたものでした。でもやっぱりZEPPに比べて非常によくまとまりすぎているような感があり、奥深さとか意外性に乏しいような錯覚を覚えたように思います。その後にこの「ライブ・イン・ジャパン」を聴いたという順番でした。
正直、ぶっとびました。スタジオ盤以上に凄まじい疾走感、緊張感。そして何より臨場感がはんぱなく思えました。これがライブなのか、というくらいに楽器のおのおのがはっきりとした音で、観客の歓声すら鮮明で驚きました。「様式美」だなんてとんでもない、極度の緊張感あふれるインプロビゼーションは「型」にはまりきれないほどの迫力を醸し出しておりました。
疾走の余韻も冷めやらぬまま、突如として動から静へ。エモーショナルな導入部から、ギランの凄まじいハイトーン・パートが炸裂。明らかに彼の全盛期だからこそこの奇跡のオクターブが聞けたと思える。血管が破裂しそうなまでの搾り出される咆哮は二度と聞くことはできないほどの悲痛なまでの美しさに溢れている。途中の動的アグレッシヴなインプロもキング・クリムゾンも真っ青の凄まじいせめぎあいを感じる。
そして世界一有名なギター・リフの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」へ。音をはずしたイントロ部でさえカッコ良過ぎる。幾千幾万ものギター・キッズがこの「はずし」までコピーしたことだろう。リッチーのソロはメロディアスで実際に演奏時間が長くてもだれたりせず、躍動感にあふれたフレーズを重ね続ける。ロードも負けじと割って入る。ラスト間際のギターとキーボードの掛け合いがまたカッコよくて痺れます。フリーキーで一瞬ジェフ・ベックのクロスオーバー時代かと思うような「ミュール」からイアン・ペイスのドラムソロへ。ボンゾのへヴィネスとは違って、タイトかつ疾走感溢れるドラミングもまた味わいがあっていい。そして個人的に好きな曲、「ストレンジ・カインド・オヴ・ウーマン」への流れも最高。
ブルーノート・スケールを自由自在に駆け巡るリッチーのギター。ハード・ブギとでもいうようなノリのよいリズム。ギランのボーカルも余裕というか遊びが感じられ、笑いがこぼれるほどのリラックス感。後半のリッチーのギターとギランのボーカルの掛け合いも素晴らしい。観客の拍手も鮮明に聞こえるのも感動的。観客との掛け合いを挟んで「レイジー」へ。スペイシーかつ轟音な導入が今一度のスペクタクルな緊張感を再度演出する。ジョン・ロードの独断場と言える世界。途中でお遊びのようなフレーズまで飛び出し、かなり余裕を感じさせるパフォーマンスが続く。そしてラストは圧巻のサウンドトリップ「スペース・トラッキン」へ。
この曲はパープルのなかで一番好きな曲かも知れません。ここまで聴いて誰がパープルは様式美で型重視のバンドだと言うのでしょうか。凄まじいテンションと各々の楽器が競い合いながら、掛け合いながら、別次元への高みに昇華していく展開は奇跡的ですらあります。ジャズ的インプロ主体でありながら途中ホルストの惑星をおりまぜたり、そのクラッシック由来性あるいはバロック的なフレーバーは彼らの音楽的背景の奥深さをも象徴しているかのようです。ひたすら圧巻の音楽絵巻は20分超の長さを感じさせません。演奏が終わって誰一人拍手をしない沈黙があります。その沈黙が誰もが忘我の境地に誘われたパフォーマンスの圧巻性を象徴しているかのようです。我にかえったかのように割れんばかりの拍手と歓声が、このアルバムの演奏の素晴らしさの証です。
後に3日分の全コンサートをほぼノーカット収録した3枚組の「完全版」が発売されています。(この記事に貼った音源の多くはそこから引用されているようです。)自分はやはりアナログで聴いた曲目と演奏日のものしか知らないので、その原体験に忠実な「ライブ・イン・ジャパン」しか眼中にはありません。曲順を編集したものであろうとも、やっぱり厳選されたベストテイクであったに違いないと思うからです。またアルバムジャケットは「MADE IN JAPAN」ではなく、この後ろからの俯瞰カットの「日本盤」でなくてはならない気がします。(1985年の再結成を武道館で見ましたが、席が微妙で2階席のややこのアングルに近いところから見たのを思い出します^^)
ディープ・パープルに関してははこのブログを読まれる方の多くが、きっと私よりもお詳しいことでしょう。ひとかたならぬ思い入れもある方も多いと思います。私はファンではありませんが、このライブ盤だけは別次元の音塊だと思います。「第2期」という最高のメンバーと「72年」という最高の黄金期と「日本」というオーディエンス環境という条件だからこそ生まれえた「奇跡」!!ロック史に残る名盤に間違いありません。海賊盤含め豊富なライブ音源を聴いてこられた方の耳にはどう聞こえるのかわかりませんが、少なくとも私の狭量なライブ盤体験のなかではナンバー1の素晴らしいアルバムです。
本日はこの辺で…それでは、また。