6月16日、小泉農林水産大臣が作況指数の廃止、報道ベースでは公表の廃止となっているところもあるし、翌17日の大臣記者会見における質疑の中では、記者と大臣の双方の発言として公表廃止と作況指数自体の廃止の両方が出てくるのでいずれとするのか分からないが、一般国民が作況指数を目にすることがなくなる、その年の作況指数が報道されることはなくなることは確かなようだ。
しかし、この作況指数の廃止又は公表の廃止は大臣の一存でそんな簡単にできることなのだろうか?(小泉大臣は農水省の統計部門の意見を踏まえて判断したとしているが。)ことは官庁統計の話なので、総務省で官庁統計の制度を所管している部門の経験者として、少々解説を加えておきたい。
まず、この作況指数、統計法に基づき重要な統計等として総務大臣の指定を受けた基幹統計である作物統計を作成することを目的として実施される作物統計調査を構成する調査の一部である。具体的には、同調査を構成する調査のうち作況調査の予想収穫量調査及び収穫量調査において把握されることとされている。したがって、作況指数の廃止とは予想収穫量調査及び収穫量調査の変更、つまりは基幹統計調査である作物統計調査の変更ということになる。
この場合、統計法第11条に基づき総務大臣の承認を受けなければならないこととされている。要するに、小泉農林水産大臣の独断で勝手に作況指数を廃止することは出来ないということである。
これが、調査は変更しないが公表のみを廃止するという場合はどうであろうか?基幹統計は、これを作成した場合には速やかに適切な方法で公表しなければならないことが統計法第8条において規定されている。すなわち、基幹統計の公表は統計法に基づく義務ということである。したがって、こちらも小泉農林水産大臣が勝手に公表しないと決定することは出来ないということである。仮に勝手にそうした場合は、罰則の適用こそないが、統計法違反となるということは疑う余地はない。
つまり、報道情報や大臣会見の文字起こし情報からすれば、小泉農林水産大臣は意味不明なことを発言したということになるが、そもそも小泉大臣自身がこうした話を理解していない、そもそも統計法なんて知らないし読んだこともない、そんなところだろう。
総務省統計制度政策統括官付の方々、既にやっているとは思いますが、農水省の担当部局を呼んでことの真意を確認した方がいいですよ。大臣のスタンドプレーだとしたら農水省の大臣官房統計部の方々も尻拭いご苦労様です・・・