前に作った【天使と妖精】の続きを作っているのですが、もっと高いオクターブが欲しいと最近よく思うようになりました。

 

 

 

 

前回の曲は出だしからして高い音で始まり、ピアノ最高音・最高のオクターブも頻繁に登場するわけですが、これでもまだ足りずもう2オクターブくらい上が欲しいです。

それくらいあれば、とりあえず作りたいと思える曲を当面作ることが出来ると感じています。

 

 

人間の可聴域は20,000Hzまでと言われていますが、実際はそこまで聞こえない人は多いものの、ピアノは88鍵盤で最高音はC88(4,186Hz)であり、まだまだ余裕があります。

 

 

つまり、あと2オクターブということは現行のピアノ最高音(C88)の1オクターブ上の8,372Hzや2オクターブ上の16,744Hzまで作ろうと思えば作れるわけで、鍵盤で言うとC112になり、現行のピアノ88鍵盤+24鍵盤で112鍵盤ピアノです。


20,000Hzまでもうちょっと余裕があるので、本当は2.5オクターブくらいは欲しいですが、シンセや音源では可能かもしれませんが、実際にそんなピアノが作れるのかどうかはコスト的にも、商品価値的にも、技術的にも疑問です。

 

 

 

余談ですが、ドビュッシーの海のスコアには下のような部分が出て来ます。

 

 

 

オーケストラをお作りになる方ならご存じの通り、グロッケンシュピールは記譜は実音の2オクターブ下なので、実際にはこの2オクターブ上の音が鳴ることになりピアノの最高音を超えてしまいます(このレ♭はピアノの最高音の半音上です)。

 

 

鉄琴はピアノの最高音のドからさらにレミファ(F93)まで出るタイプもあるのですが、それかと思ったらフランスではGlockenspielというと箱入りのいわゆる鍵盤付きグロッケンシュピールタイプを指すらしく、日本でいうGlockenspiel(いわゆる鉄琴)はjeu de timbresというらしいです。

 

 

 

鍵盤付きグロッケンシュピール

 

 

「箱入りのグロッケンシュピールってチェレスタとは違うのか?」と思われるかもしれませんが、バチの種類が違うので音はかなり違います。チェレスタはバチがフェルトなので丸みのある音ですが、鍵盤付きグロッケンシュピールは硬いバチ(金属や象牙など)で叩くので、音色もかなり硬くチェレスタというよりはほとんど音色はグロッケンシュピールと同じです。

 

 

チェレスタ

 

生の鍵盤付きグロッケンシュピールはまだ見たことがありません。動画の音も「それってただのグロッケンシュピールじゃん」という感じで、ブラインドで聞かされて「何の楽器が当ててみろ」と言われたらまず間違いなくグロッケンシュピールと答えます。

 

 

私の知る限り一番古い例ではモーツァルトの魔笛に鍵盤付きグロッケンシュピールが登場し(当時流行っていたそうですので、多分もっと古い曲があります)、その後一旦断絶?して、ドビュッシーやラヴェルの近代フランスの時代になると復活します。海やダフニスとクロエなどで使われていますが、日本で演奏される場合は果たしてチェレスタで代用するのか、グロッケンシュピールで代用するのか、それとも鍵盤付きグロッケンシュピールをなんとか手に入れるのか判断が分かれるのではないかと思います。

 

 

実際極端に珍しい楽器なので、プロオケでも魔笛をチェレスタで代用するという話を聞いたことがありますし、音的にはチェレスタよりもグロッケンシュピールのほうがずっと近いので、鉄琴で良いのではないかと思います。少なくともDTMでは普通のグロッケンシュピールでOKな気がします。

 

 

 

斉藤楽器 SG120

 

斉藤楽器のSG120のグロッケンシュピールはF93(ピアノの最高音の完全4度上)まで出ますので、記譜通り弾くならこの手のハイトーンが出るタイプで十分です。

 

 

音域が許せばチェレスタで代用するのもなしではないでしょう。古楽器を現代の楽器で代用したり、好みで使い分けたりすることもゼロではないですし、アマオケなら潤沢な資金を期待できない場合のほうが多いので、ありものの楽器でなんとかするというのが現実的なのではないと思います。

 

 

近代フランス音楽の作曲家たちが使っていたのは最高音がピアノの最高音の長3度上のE93まで出るタイプなので、譜面に出てくるGlockenspielは鍵盤付きグロッケンシュピールであって、チェレスタではないため、やはり前述の海では2オクターブ上で正しいということになります。


 

 

ちなみに海は表紙が思い切り葛飾北斎ですが、ドビュッシーは浮世絵や日本趣味があったらしく北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」から引用しています。

 

 

 

周波数のことを考えるとグロッケンシュピールは基音と4倍音が強く出るようにチューニングされていますので、ピアノのC88=最高音のド(4,186Hz)の4倍で16,744Hzが鳴っていることになります。

 

 

近代フランスで出てくる鍵盤付きE92は5,274Hz(基音)×4倍音=21,096Hz

F93タイプのグロッケンシュピールなら5,586Hz(基音)×4倍音=22,344Hzとなり倍音の方は可聴域を超えてることになりますが、こういう仕組みで楽器が作られているならピアノやその他の楽器も、もっと高い周波数を開拓してくれも良いのでは?と思います。

 

 

ちなみにModarttのpianoteqは通常の88鍵盤よりも下はオクターブ、上は完全4度まで鳴らせます(F93のグロッケンシュピールと同じ)。

 

 

 

 

88鍵盤以上の音域があるピアノを知っていますが、相当レアで一般に普及しているとはとても言い難く、作曲においても基本は88鍵盤内、拡張しても上はF93あたりまでというのが現代の限界なわけで、これを打破したいですし、打破すれば自分の作りたい音楽の一面を開拓出来ると考えています。

 

 

やろうと思えばWAVE化した後にピッチシフトでオクターブ上げたりするなど出来ないこともありませんので、色々挑戦中です。

 

 

鍵盤が88鍵より増えないのはそれ以上高い周波数が鳴っても現行の人類は音程を聞き分けられないという理由からですが、音程が欲しいというよりは(音程も欲しいですが)、もっと高い波長の透明感のある音色が欲しいというのが作曲上の要望です。表現したいものがそういうものに変わってくるにつれて必要となるオクターブや音色も少しずつ変わってきました。

 

 



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