リストの「リゴレット」による演奏会用パラフレーズ
分析をレッスンで行っています。

分析の方法は和声でもポピュラーでもどちらでもOKです。


原曲はヴェルディのオペラ「リゴレット」の中の
3幕の四重唱「美しい恋の乙女よ」のフレーズを
いかにもリスト的な超絶技巧で非常にピアニスティックにしたもので
原曲はヴェルディなのですが、多分にリストらしい和声的装飾が見られます。




スコアがDL出来ます。
リゴレット・パラフレーズのスコア
オペラ「リゴレット」のスコア


とうの昔に著作権が切れているので、
IMSPLでDL出来ますが、
オケ譜をPCの横長画面で見るのはかなり見にくいため
サブモニターを縦にして最近は見るようになりました。

こんな感じでモニターを使うとオケ譜も見やすいです。


自分ではこんな難しいの弾くのは出来ないけれど、
作曲的な見地からの分析であれば出来るので、
最近ピアニストの方から分析のレッスンを頼まれることが多いです。


ただ音符をそのまま弾くだけよりも和声的な側面、作曲的な側面を
きちんと理解していた方が良いのはよく言われることですが
演奏家さんにとってそれを理解しようと思うと
なかなか後期ロマン派ともなれば難しいらしく、
和声やポピュラーの理論をちょっと囓ったくらいだと
現実問題としてなかなか難しいかもしれません。


いつも感じることではありますが、
なかなか自分では触れない分野というものがあるので
今回も新たにリストに対して理解が深まって勉強になりました。


クラシックは曲があまりにも膨大なため、
どうしても守備範囲が誰でもある程度限定されてくるし、
個人の趣味にも偏りがちなので、
色々な曲に触れるのは私も楽しいです。


どうしても個人的には「作曲的な見地」から興味深いかどうか?が
対象になるので和声的には後期ロマン派であれば
ほとんど譜面を見ればわかるため、
どうしてもドビュッシー、ラヴェル、あるいは最近はメシアンや武満徹などに
偏ってしまいます。


実際にリゴレット・パラフレーズを分析し終わって、
思うのはこの時点(初演は1859年)で既に後の無調への
萠芽が既にたくさん見えること。


ドビュッシー的な平行和音(生まれるのは初演の3年後)、
スクリャービン(生まれるのは初演の23年後)を連想させるようなオルタードドミナントの和声、
そして極度の半音階と多彩な変位。
半音階的な和声はシェーンベルク(生まれるのは初演の25年後)に繋がっていくのでしょうか。


当時大活躍していたワーグナー(1813年生まれ)や
ブラームス(1833年生まれ)やフランク(1822年生まれ)たちの
和声法と見比べると、リスト(1811年生まれ)の行っていることは
極端に前衛的でもないけれど、
リストはこの中ではかなり無調に近い和声感を持っているように感じます。
(ワーグナーもそうですが)


リゴレット・パラフレーズがそうだというのではなくて、
彼のほかの作品も含めて見る作曲家としての全体的な和声感がそうだという意味ですが、
歴史上で最初に無調の曲を書いたのはリストだというのも頷ける和声感覚です。


要するにリストの頭の中はぶっ飛んでるという意味ですが、
これなら無調にたどり着くのも納得といった感じです。


あくまでリゴレット・パラフレーズに感じるは「無調の萠」であって、
曲は無調でもなんでもないですが、
リゴレット・パラフレーズを弾くピアニストさんにとって
理解しがたい部分があるのは大いに理解できますし、
普通に作曲が出来る人間にとってはどうということはないレベルであっても、
演奏家の方がちゃんと分析して、理解した上で演奏しようと思えば
古典和声では太刀打ち出来ないので困るのかもしれません。


こう色々とレッスンで分析をやっていると
最近はなんだかムクムクと自分の曲を作りたい気持ちが湧いてきて、
BGMとかポピュラーの歌ものではなく、
昔のようにもっとガチンコの芸術としての作曲がしたくなってきました。


なにか参考資料というかヒントにはならないものかと
久々にメシアンや武満徹のスコアを開いてみると、
「やっぱりこういうのがいいなぁ」と思うし、
やはりスコアを見ていて面白いです。


元々メシアン大好きだったのですが、
最近はさらに好きになってきました。


現代人として作曲をするのはどのような作品を作るべきなのか?
もちろん好きにやればいいのだろうけれど、
どうせやるなら過去の大家が自分の道を切り開いたように、
私も自分の技法を切り開いてみたいと感じます。


思うに作曲とは「これだけやったら十分」というものはなく、
多分一生修行なのかもしれません。


こういうのはお金にならないのは十分に承知しているけれど、
最も興味が湧くのは、自分がやってみたいと心の底から感じるのは
やっぱりメシアンや武満徹のような現代音楽だったりします。


もっと作曲しなければ。

せめて死ぬまでに1曲でもいいから
本当に心から納得できる曲を人生の総決算として作ってみたい。


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