庄造は猫のリリーに異常な愛情を抱いている。芦屋にある彼の家は小さな荒物屋だが、家中にリリーの匂いが充満、庄造の生活の大半もこの猫のために費されているといってよい位。庄造の母親おりんは、夫亡きあと女手一つで甲斐性なしの息子を育て上げた勝気な女、しかし世間の評判は芳しくない。庄造の前の女房品子を追い出したのも、おりんの仕業と噂されている。品子は確りした女で商売にも身を入れたが、おりんとは全くそりが合わなかった。庄造の叔父中島が娘福子を庄造にと言った時、一も二もなく承知して品子には子種がないからと追い出したのはおりん。菓子製造・販売で小金持の中島、福子は母親が死んでからグレ出し家出二回という浮気娘だが、左前の店にとって持参金付きは大きな魅力。だが庄造は福子が来てからも相変らずリリーに夢中である。品子は六甲の妹初子の許に身を寄せたが、妹の夫添山は良い顔をしない。ある日、仲人の木下から後釜に福子が来たとの知らせ。憤慨した品子は必ず庄造の許に戻ってみせると決心、手始めにリリーの引取りを考えて庄造に持ちかけるが、はねつけられる。次には手を変えて福子に向い「庄造は貴女よりリリーが大事なんだから早く離した方がいい」というが、策動に気づいたおりんのためオジャン。だが福子も遂にリリーに我慢できなくなり、揚句の果て、リリーは品子の許へ。庄造の落胆ぶりはひどく、争いの末福子と庄造は共々飛び出してしまう。一方、品子の家でもなつかぬリリーに弱る中、留守の間に逃げられてしまう。好物のかしわの水煮きを持って、品子の家近くでリリーを待つ庄造も、遂にしびれを切らして帰る。暫くしてリリーは品子の許に戻ってくる。添山は品子の部屋を友人友川に貸すから出てくれと迫るが、リリーに惹かれて庄造が来ると信じる品子は慌てない。福子は友人多美子に意見され戻ってきたが、庄造の留守に国粋堂の親爺が来て、かしわを買うと借りた金を請求。福子は庄造が品子の所へ行ったと察しヒステリックに当り散らす。様子をうかがい知った庄造は逃げ出し、又もやリリーのいる品子の許へ。品子の留守にリリーと会った庄造は、帰って来た品子に「人間は皆嫌いや、わての気持を知るのはリリーだけや」と叫び、外へ飛び出す。そこへやって来た福子は品子と睨み合い。二人を尻目に庄造はリリーを抱いて雨の中を行く。
、
監督は
豊田四郎
ですがね
とても
良い映画だったと思いますね
「夫婦善哉」
の次に
森繁さんの代表作ではないかと見ますがね
このころの森繁は
ずるさ
があったですがね
いつのころからか
「良いじいさん役」
が多くなりましたね
それが森繁という役者を
面白くなくしましたね