坂上忍さん脚本・演出の舞台「PAIN」を観てきました。
お目当ては、言わずもがなの佐藤寛子さん。
物語はワルになり切れない男達と、
そんな男を愛する女達の愛憎劇を縦糸に、
母と子の関係を横糸に織りなされています。
男と、女の関係はまあ、分かる。
問題は母子関係です。
特に、母と娘。
女になり始めた娘(かなり擦れている、子役歴の長い坂上さんならではの描写か?)と、
大好きな父親を奪った母親との確執。
詳しくは説明されませんが、きっとあれはそうなんじゃないだろうか。
娘は、事故死した父親のことは「パパ」と呼び、
残された母親のことは「おかあさん」と呼ぶ。
バリヤの外で、立ち尽くす母親は、夫を死なせた男に靡いてゆく。
彼女たちの痛みは、どこまで続くのか?
まあ、こんなところかな?
佐藤寛子さんは、この母親を演じています。
非常に難しい役。
劇中で、彼女が演じる佐野さんが、
痛みに苦しむ全ての登場人物にそっと触れ、
まるで聖母マリアのように振る舞うシーンがあります。
だが、あのラストは、神はいらないという坂上さんの今と言うことなのかな?
舞台の上で複数の物語が文字通り同時進行し、
初見ではかなり混乱すると思われます。
坂上さんも、一番批判をされかねない、とご自身で仰ってますが。
確かに、観るものの集中を妨げ、共感を払いのけるような作りかなあと。
しかし、それは分かった上での作品と思われます。
佐藤寛子さんですが、
本当に苦しんでおられる印象。
何を考えているのか分かりにくい多面的なキャラクター、
分かりやすい見せ場も用意されていない。
演じる側が相当の力量を持っていないと、
これを魅力的に表現は出来ないでしょう。
流石の彼女も苦戦しているという印象です。
存分に苦しんで頂きたい、それが今の私の気持ちでしょうか。