フィクションです。
続きの4回めです。
1回めは↓
今回も、BGMを聴きながら、お読みいただければ嬉しいです。
cranberries when you're gone
やがて季節は本格的な冬を迎える。
ボクは、あいかわらずの生活を送っていた。
バイト帰り、久しぶりにヒロキの店に寄ってみた。
まだ、夜が始まったばかりなのに
ヒロキは店をかたづけていた。
「やぁ」
振り向いたヒロキは、様子がおかしかった。
顔色が悪い。
「どうしたの。
まだ8時ちょっと過ぎなのに…。
もう今日は、閉めちゃうの?」
「うん。
それどころじゃなくなった。
さっき、ユキちゃんの学校の友だちだっていう女性が来たんだけど…」
嫌な気がした。
「悪いニュースをもってきた。
ユキちゃん、故郷(くに)で
交通事故に巻き込まれたらしい」
「えっ、それで、
それで、ユキちゃんは、どう?」
「うん…。
あのな…」
ヒロキは怒ったような顔をした。
「ダメだった…らしい」
いったい何を言っているんだろう、ヒロキは。
ボクには、理解できなかった。
ダメだった…。
どういうこと?
徐々に意味が、頭の中で形になっていく。
うそだろ。
ユキちゃんが、交通事故にあった。
そして…。
ヒロキの辛そうな表情。
何も言わない。
ホントにそうなのか。
うそだろ。
ボクは信じたくなかった。
信じない、絶対に、信じない。
信じない。
そんなコトがあるはずがない。
ヒロキから、その話を聞いたあと、
ボクはどうしたのか、まるで、憶えていない。

約束した卒業式の日、
ボクはユキちゃんの学校に行ってみた。
校門の前で、ボクは、彼女を待つ。
卒業式が終わったみたいだ。
たくさんの人たちが
校門から出てくる。
幸せそうな顔
幸せそうな顔
幸せそうな顔、顔、顔…。
でも、その中に
ユキちゃんを見つけることはできなかった。
校門から出てくる人数がまばらになっていき
ついに途絶えた。
最後にユキちゃんが
ひとりで出てくるかもしれない。
そう、笑いながら…。
胸が痛い。
そんなコト、ありえない。
それでも、離れられなかった。
なぁ、ユキちゃん
母さんのこと
1人にしないつもりだったんじゃないのか。
なぁ、ユキちゃん
大切な人には、会えてないんだろ
…まだ。
月明かりの下
海に飲まれた瓶のことが頭をよぎった。
あの瓶は、海を越え、アメリカに行き、
そして、何が書いてあるのか決して理解できない人に拾われなくてはならない。
そうすれば、ユキちゃんの願いがかなう。
大切な人に会える。
それは
ボクでは
決して
ないんだけど…
そこで、ふと思った。
もしかすると、大切な人って…。
でも…
そんなコトは、どうでもいい。
ユキちゃんはもういない。
「ねぇ
また、会えるよね」
ユキちゃんの声が聞こえた気がした。
鼻の奥がツンとなった。
ボクは、駅へと歩き出す。
もうすぐ、冬は終わる。
〔to be continued〕
まだ、終わらないのです。
続きます。
最後までお読みいただけると嬉しいです。


