魔法の呪文をふりかけて…ポンポコ コンコン -15ページ目
どもです。Kiriです。

フィクションです。
続きの4回めです。
1回めは↓


今回も、BGMを聴きながら、お読みいただければ嬉しいです。
cranberries when you're gone


やがて季節は本格的な冬を迎える。
ボクは、あいかわらずの生活を送っていた。

バイト帰り、久しぶりにヒロキの店に寄ってみた。
まだ、夜が始まったばかりなのに
ヒロキは店をかたづけていた。

「やぁ」

振り向いたヒロキは、様子がおかしかった。
顔色が悪い。

「どうしたの。
まだ8時ちょっと過ぎなのに…。
もう今日は、閉めちゃうの?」

「うん。
それどころじゃなくなった。
さっき、ユキちゃんの学校の友だちだっていう女性が来たんだけど…」

嫌な気がした。

「悪いニュースをもってきた。
ユキちゃん、故郷(くに)で
交通事故に巻き込まれたらしい」

「えっ、それで、
それで、ユキちゃんは、どう?」

「うん…。
あのな…」

ヒロキは怒ったような顔をした。

「ダメだった…らしい」

いったい何を言っているんだろう、ヒロキは。
ボクには、理解できなかった。

ダメだった…。
どういうこと?

徐々に意味が、頭の中で形になっていく。

うそだろ。
ユキちゃんが、交通事故にあった。
そして…。

ヒロキの辛そうな表情。
何も言わない。
ホントにそうなのか。
うそだろ。

ボクは信じたくなかった。
信じない、絶対に、信じない。
信じない。
そんなコトがあるはずがない。

ヒロキから、その話を聞いたあと、
ボクはどうしたのか、まるで、憶えていない。



約束した卒業式の日、
ボクはユキちゃんの学校に行ってみた。
校門の前で、ボクは、彼女を待つ。

卒業式が終わったみたいだ。
たくさんの人たちが
校門から出てくる。

幸せそうな顔
幸せそうな顔
幸せそうな顔、顔、顔…。

でも、その中に
ユキちゃんを見つけることはできなかった。

校門から出てくる人数がまばらになっていき
ついに途絶えた。

最後にユキちゃんが
ひとりで出てくるかもしれない。
そう、笑いながら…。

胸が痛い。
そんなコト、ありえない。
それでも、離れられなかった。

なぁ、ユキちゃん
母さんのこと
1人にしないつもりだったんじゃないのか。

なぁ、ユキちゃん
大切な人には、会えてないんだろ
…まだ。

月明かりの下
海に飲まれた瓶のことが頭をよぎった。
あの瓶は、海を越え、アメリカに行き、
そして、何が書いてあるのか決して理解できない人に拾われなくてはならない。
そうすれば、ユキちゃんの願いがかなう。
大切な人に会える。

それは
ボクでは
決して
ないんだけど…

そこで、ふと思った。
もしかすると、大切な人って…。

でも…

そんなコトは、どうでもいい。
ユキちゃんはもういない。

「ねぇ
また、会えるよね」
ユキちゃんの声が聞こえた気がした。

鼻の奥がツンとなった。
ボクは、駅へと歩き出す。
もうすぐ、冬は終わる。

〔to be continued〕

まだ、終わらないのです。
続きます。
最後までお読みいただけると嬉しいです。

こんばんは、kiriです。

さぁ、続き物、3回め。
この話、実は去年、アップしてるんだけど
読み直すと、粗かった。
なので、さっきまで、
必死に書き直してた。

さぁ、フィクションです。
行きます。

前回の話は、こちらからどうぞ。



でもって、BGM スタート

suzy bogguss  someday soon


ヒロキの車で、みんなで海に行ったのは秋。
まだ夏の匂いは少しだけ残ってた。
季節は、移ろっていく。

冷たい風が吹き始め
街は、灰色に姿を変えていく。

学校の授業はほどほどに。
ボクは、あいかわらず、バイトに追われていた。
バイトから戻り
部屋の鍵を開けてるとき
電話が鳴りだした。
慌てた。
急いで部屋に入り電話に出た。

「鈍感なアイダくんは、いますかぁ」

明るく、とぼけた声がした。

「はい」
慌てていたので、思わず、答えてしまった。

「おお、ハイだってさ…アハハハ
アタシよ、アタシ、ハハハハ、
アタシのこと、誰だかわかる」

声を聴けばもちろん解る。
でも予想してなかったので
ボクはすぐ反応できなかった。

「あぁ、わかんないンだ。
やっぱりアイダくんは鈍感だぁ。
自分で、今、しっかりと返事したぞぉ…。
鈍感なアイダくんって言ったら、ハイって、言ったぞぉ」

そこを突いてくるのか…。

「わかってるよ、もちろん。
もちろんさ。
ユキちゃんだろ」

今夜のユキちゃん、やたらテンションが高い。

「ユキちゃんさ、酔ってんだろ。
なんか、呂律が回ってないかも」

「うん…。
呂律回ってないか。
ちょっと、酔ってるかも」

ちょっとじゃないと思う。

「なんか、素直だな。
どした、どした。
で、誰と飲んでんだ」

素直なユキちゃんは、かわいい。
素直じゃなくてもなんだけど。
そして、やっぱり気になる。
誰と飲んでるんだろ。

「今ね、職場の同僚と飲んでる。
でね、つまんないんだ。
それで、ちょっと抜けて
アイダくんに電話した」

「え~、職場の同僚って?
いつ就職したんだよ、ユキちゃん。
で、いいのか、戻らなくて?」

「いいよ、いいよ、全然問題ないよ。
ミンナ、酔ってるんだ。
私1人、いなくなっても、わかんないよ、きっと。
トイレ行ってくるっていって、外へ出てきた」

電話の後ろに街の喧騒が聞こえた。
ユキちゃん、魅力的だモンなぁ。
なかなか戻らないって
気にしてるヤツが間違いなくいるにちがいない。

まぁ、いい。
それから、ボクは、彼女の事情を聞きだした。

ユキちゃんは、来年卒業。
イメージと違って以外と真面目なんだなぁ。
単位は、ほとんど去年のうちに取ってしまったらしい。
ボクとまるでちがう。

彼女は
故郷のとある会社に就職が決まった。
今、その会社で、
先行してバイトしてるらしい。

「ユキちゃん、いなかに帰っちゃうのか?」

「うん、母1人子1人だから…。
母さんのこと、ほっとけないよ」

「そうか…」

季節は移ろっていく。

ユキちゃんの自由な季節は、そろそろ終わりを迎える。
ボクは、そのことをしっかりと理解してる。

ユキちゃんより、ボクは1つ年下。
一足先に、彼女が、社会へと出ていく。

「ねぇ~。アイダくん、何しんみりしてんのさ。
卒業式は、アタシ、出るよ。
そのときはさ、東京に行く。

また、会おうね。
ね、ね、アイダくん…」

「解った。
絶対にそうしような…」

「うん、絶対に、絶対に
そうしよう」

それから、ボクたちは、なぜか黙ってしまった。
ユキちゃんの鼻をすする音。
ユキちゃんの街はここより寒いんだろうか。

「アイダくん、ゴメン。
最後の100円玉。
そろそろ切れちゃうかも。

ねぇ
また、会えるよね」

受話器の向こうから頼りない声。

「うん」

「またね。ねっ」

「また…」

プツッ
ツー ツー ツー

ボクは、しばらく、信号音を聞いていた。
人は、ずっと同じ場所にいられない。
さびしかった。

冬が終わるころ…
また、ユキちゃんと会う。
でも
その日は、
来ることはなかった。

〔to be continued〕



平和な日が世界にもどりますように。

祈り tanuki & kitsune project featuring reiko tajima
photo by Sara



どもです。kiriです。
フィクション、2幕の2回め
今回はいきなりスタートです。

で前回は↓



BGMスタート。
できましたら、聴きながら読んでください。
この曲、多分テーマ…なのかも。

j.d.souther you are only lonely


真夜中の海。
波間に浮かぶ月に向かって、ボクたちは歩いた。
けど、歩いても、決して月まで、たどり着けない。
月は、距離を縮めてくれない。

「ねぇ、アイダ君。もういいよ、このへんで。
月までは、無理みたい」

ヒロキたちの声はもう聞こえない。
ずいぶんと歩いてしまった。

「うん…。

聞きたいコトがある。
あのさ、大事そうに抱えてるのなんだ?
ユキちゃん、何をもってるの?」

「アレ、アイダ君、知ってたの?」

「そりゃ、わかるよ、
しっかりと大事そうに、もってるんだもん」

「アハハハ、ばれてたか。
隠してたんだけどさ」

隠せてなんかまったくない。
Tシャツの下が
しっかりと膨らんでたじゃん。
そして、宝物みたいに、しっかりと。

「まぁ、いいよ。教えてあげる。
ワインの瓶」

「そんなモンどうするの」

「うん、
中に手紙が入ってる。
海に向かって投げる。
そしたら、ドンブラコ、ドンブラコ、この瓶は旅をする。
そして、遠い遠い、アメリカまでたどりつく。
たどり着いてさ、
誰かに拾われたら、
アタシの願いがかなう」

「なに、お伽噺みたいなコト、言ってんのさ」
「アハハハハ…」
「子どもみたいなヤツだな」

「悪かったな、アイダ~、オマエに言われる筋合いはないぞ」

ユキちゃんは、
ちょっと怒ったように、
おどけて、乱暴にそう言いはなった。

「手紙入ってるのか」
「うん」
「何書いたの?
願いって何?」
「うん…」

「アメリカ人、読めるのか?」
「うん、読めないと思う。日本語で書いた」
「じゃあさ、意味ないじゃん」

「うん、でも、いいの、読めない方がいい。
恥かしいこと書いちゃった」

そう言って、ユキちゃんは、黙っちゃった。

どうしちゃったんだろう、ボクは。
なんか、ユキちゃんがまぶしい。
青い月がユキちゃんを照らす。

「何書いたんだか、教えてくれない」

知りたかった。

「やだ。ナイショ」

世界は波の音だけ。

「アイダ君さ、投げてくれない、この瓶。
アイダ君が、投げたらさ、
きっと
きっと、
アメリカに着くような気がする」

「何書いたんだか、教えてくれたら、投げてもいい」

「あ~、アイダ~、
なんだぁ、オマエ、交換条件を出すかぁ…。

まぁ、いいか…。
でも、なんか、恥かしいな。
でも、いいよ。
教えてあげる。

また、大切な人に会えますようにって…」

「あっ、ユキちゃん、失恋でもしたか?
で、また、その彼に会いたいって…」

ボクは嫉妬してるなぁ…。
多分。
いや、きっと。
誰だ、大切な人って。

ボクは、哀しくなった。

真夜中の月、
なぁ、月よ、かなえてくれ。
狼男が羨ましい。
でも、ボクは、
絶対に、狼男になれない。

「こら、アイダぁ~、茶化すなぁ~。
だから、だからさ、アイダぁ~。
オマエはダメなんだ。

鈍感、このヤロー。
やっぱり、アイダは、鈍感なヤツだ」

ユキちゃんは、
またまた、乱暴な口調でそう言うと、
どういう訳か、だまってしまった。
なんとなく、バツが悪くて…。

彼女が大切そうに抱えてた瓶を、
ボクは乱暴に剥ぎ取り、

「わかった。投げる」

コルクの栓は、うん、ダイジョブ。
これなら、海の波にもまれても、外れないだろう。

思い切り、
海に向かって投げた。
瓶と一緒に大切なモノを、
ボクは投げてしまった気がした。
投げずに自分でしっかり、もってればな…。

でも、投げちゃった。

〔to be continued〕

どもです。kiriです。

さぁ、改めてのアップ。
コメント欄で
続きを読みたい、とのコメント。
嬉しかったなぁ。

多分、それから8か月後の話になるのかと。

ヘタクソなフィクションですが
前回のブログの続きです。

よろしかった読んでいただけると嬉しいです。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

今夜は、遠い遠い日の話…。

その前にさ…、ちょっとした秘密をばらす。

ナイショなんだけど、さ。
実はさ、オイラ、
超能力者なんだ。

つい先日、オイラは魔女に会った。
その魔女は、決して恐くなく
チャーミングな女性だったんだけど、さ。

で、
オイラは、
その日から超能力者になっちまった。

シー。
聞こえたらまずい。
バレたら、狙われる。

えっ、誰にかって?

もちろん
世界征服をたくらむ組織にさ。
超能力者は、
あまりこの世に存在しないから、
彼らは、なんとしても、超能力者を手に入れたくて仕方がない。

ヤバイ、ヤバイ。

と、
今日は、
チトさ、オイラをやめて、ボクで書かせてもらおうと思う。

えっ、似合ってないって?
そんなコト言うなって。
オイラにだってさ、そんな日々があった。
ホントだぞ。

で、BGM。
今回は悩んだ。
ワンパターンだけど、オイラは、これにしようと思う。

よかったら、聴きながらお読みください。
トップローダー ダンシング イン ザ ムーンライト



あの遠い日は秋。
秋から冬に移行する時期に、チョットだけ顔を見せる穏やかな日々。

ボクらは
サイコーに自由だった。
ホントに…
自由だった。

あの街にあったヒロキのお店。
路上の、フェルト布の上の小さなアクセサリーショップ。

22時半。
バイト帰りに、よってみた。

「やぁ、アイちゃん。
今夜、ミンナで、海へ行くからイッショに行かないか」

そして、23時、彼は店をたたみ
ボクらは、海へと向かった。
ヒロキのオンボロワゴンで…ミンナで。

「今日は誰が、隠れる」
「ジャンケンだぞ」
「恨みっこなしなぁ」

「ジャンケンポン!」
「アハハハ、一発で決まったジャン」

「ちぇ~、アタシかぁ…」

ユキちゃんだった。
あっけなく決まった。

今となれば、もうすでに時効の話。
4人がけの後部座席に5人。
定員オーバー。
1人だけ、足元に丸くなり隠れる。
外から見えないように。

「今日はアイダ君ントコ…」
その日、彼女は、
どういうわけか、ボクを選び、
ボクの目の前で丸まって、

「ネコだぞぉ~」
おどけて見せた。

ネコより全然かわいい、ボクは、あのとき、そう思った。
言葉になんて、もちろん、出せなかったけど、
でも、心からそう思った。

「ユキちゃん、まだ、速いよ。
ヒロキがさ、隠れろって言ってからでいいよ」

「そうなの、速かったのかな」
それから、ユキちゃんは
ボクの顔をみて、笑った。

若かったよな、あの頃、
今思い出す、チョット痛みをもって。

疲れなんて知らなかったし…。

真夜中から朝まで…
朝日が昇るまで
浜辺で、
仲間たちと、酒を飲み、騒ぎ、たわいのない話をする。

ホント、困った日々だった。
でも、自由だった。

あのころの、ボクらの名誉のために余計なコトだけど、
書いておく。
帰りの運転は、
酒を全然飲まない、イワちゃんがした。
余計なコトだけどさ、ホント。

湘南の海。
みんなのマトメ役だったジュンの温厚な笑顔。
「さぁ、焚き火しようか」
懐かしいよ、ヤツは、優しいヤツだった。
ジュンの笑顔。サイコーだった。

それからボクたちは、砂浜の一角を陣取って、
酒を飲みはじめた。
ヒロキのギターであの頃流行っていた歌を大声で歌った。

波の音を聴きながら…
空には、青い月。

酔ってほてった頬に、
海からの風が気持ちいい。

ふと、気づくとユキちゃんが、トナリにいた。
耳元で、小さな声で、
「ねぇ、アイダ君、
ちょっと、アタシにつきあって…。
波打ち際に行こうよ」

そう囁いた。

「うん…」

けど、ミンナ、盛り上がってるのに、
2人だけで、行きづらい…。

「ちょっと、波と戦ってくるよ。
悪い、ちょっとだけ、行ってくる。
おい、ユキちゃん、チト、つきあえ」

ボクはそう、なるべくさりげなく、仲間たちに告げると、
ユキちゃんと2人、波打ち際を目指した。

「ねぇ、ちょっと遠いけど、あそこまで行こうよ」

ユキちゃんは、月明かりの海を指差した。

空には、青い月。
歩くほど、仲間たちの声は、遠くに
そうミンナの、笑い声が聞こえて…
そして波の音だけ。

歩いても、歩いても、
ユキちゃんが指差した月明かりの海は逃げていく。

あの遠い日は秋。
秋から冬に移行する時期に、チョットだけ顔を見せる穏やかな日々。

ボクらは…
サイコーに自由だった。
ホントに自由だった。

でも、自由な日々、そんな日々は長く続かない。
かりそめ。

たとえ、かりそめであっても、輝いてた日々。

〔to be continue〕

ここまで、読んでいただき
ありがとうございます。
どもです。Kiriです。

どうしたことか
9回めまで来ちゃった。
書いてるうちに、
ダンダンダン
長くなり
でもって、
ダンダン段々と
照れくさくなってきた。

行くぞぉ~、最終回。
照れくささ、MAXのまま。

↓こちらから続いてます。





いつものように
音楽、聴きながら、お読みいただけると嬉しいです。

と、オイラが、読ませてもらってるブログの大切な仲間の
弟さんが、コロナになっちゃったみたいだ。
メッセでエールを送ったんだけど
メールバックとか気を使わないでほしい。
オイラのコトなんか、気にしないで
自分の時間、大切に使ってほしい。
心から思います。

さぁ、BGMスタート。
本来なら、
山下達郎の「クリスマスイブ」なんだろうけど
まぁ、いいや。

j.d.souther you're only lonely


ホームから2階の改札口に階段をのぼる。
さぁ、どっちに降りようか。
南口に行くか、北口に行くか。

北口は、アパートへ。
南口は、遠回りになるけど、コンビニがある。

傘、買うか。

ポケットに手を入れ、財布に触れる。
触れた瞬間、すぐにわかった。
明日の交通費…。
危ないな。

選択枝はない。
北口だ。

北口へ降りる階段を下りた。
そして、屋根がある北口の出口で立ち止まった。

終電、案外、人がいるな。
傘をさして、颯爽と歩きだす人たち。
カバンを頭にかざし、雨の中を急ぎ足で立ち去る人たち。
様々だ。

どうしようか。
考えてるうちに、取り残された。
しばらくすると、階段を下りてくる足音。

「悪いねぇ。時間なんで、シャッターを閉めるよ。
まだ、そこで、雨宿りしてていいから」
駅員さんに声をかけられた。

「ありがとうございます」

シャッターがおり、ホンの少し突き出た屋根の下。
小さな小さなスペースにボクは立って雨を見ていた。
雨に手をかざす。

冷て。

これは、明日の朝には、雪になるかもしれない。

左前にある小さな神社が目に入った。
今日は、厄日だなぁ。

バイトで、ヘトヘトに疲れ
ユキちゃんを自分勝手に待って…
最後は冷たい雨に降られて。
そして今夜はあまり眠れない。

このくらいの雨なら
多分、コートが濡れるだけだ。
きっと下まで、雨は沁みてこない。

行こうか。

その前に、神社に行って手を合わそう。
真夜中だけど、かまいやしない。
鈴を鳴らさなければ。

冷たい雨…。

ボクは誰もいない神社に入り手を合わす。
明日は、ついてますように。

それから、歩きだす。
冷たいなぁ。
顔に、雨が落ちる。
容赦ない。
ボクはポケットに手を突っ込み
ゆっくりと歩き始めた。

このくらいの雨、なんてことない。
そうだ、胸を張って歩こう。

冷たい雨の中、
アパートまで歩いた。
何も胸を張らなくてもいいのかな、
猫背気味のほうが濡れないかも。
そんなコトを考えながら。

明日の朝には、きっと雪になってるにちがいない。



あの頃…
雨が降っても、傘をささないで平気だった。
びしょ濡れ、流石に冬はきつかったけど。
よく雨の中、傘もささずに、歩いたっけ。

そして、あてもなく
人を待った記憶。
バカなコトと言えば、バカなコトなんだけど。
ストーカーに近いのかも、そうも思うけど。

ボクがこれまで生きてきて
たった2回だけ。

1回めは、この日のユキちゃん。

それから…
2回めも、ユキちゃん。
彼女が卒業する日だった。

絶対に来ないというのはわかってたんだけど
ボクは、どうしても、待ちたかった。
来るかもしれない。

ないな、それは、絶対に。
わかってた。
でも、待ちたかった。

遠い遠い、輝いてた日々。
ユキちゃんはもういない。
そして、ボクも変わってしまった。

〔end〕

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

「ニッポンで一番冷たい雨の歌」
そうタイトルをつけ、
山下達郎のクリスマスイブに落とそうと思って書き始めたんだけど
風呂敷を広げすぎちゃった。

まとめが、どうしても
うまく落ちない。
どうしよう。思い切り悩んだ。

そうか、物語みたいなの、やっちゃうか。
目先を変えて。

で、物語みたいなのを書き始めた。
そして、書いてるうちに気づいた。

これって、去年、ブログに載せた
「あの夜の彼女の瓶は、海の涙となって」
のプロローグになるじゃんて…。

去年、読んでいただいた方もたくさんおられると思います。

が…
改めて、再掲載しようと考えてます。

それにしても、物語みたいなモノ、書くってのはホント、大変だ。
小説家って、すごいと思う。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─

明日は
穏やかな日が世界にやってきますように。

祈り tanuki & kitsune project featuring reiko tajima
photo by Sara


この音楽のお問い合わせは、t&k社 合田まで

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