心をむすぶもの。

雨が降りしきる校庭を水たまりをよけながら
トボトボやって来る人がいる。
よく見ると母ちゃんだった、、、、

教室までやって来るとちょっと困ったように
廊下にたたずんでいる。
廊下に出て行った先生が小さな包みを持って教室にもどってきた。
「こらヒロシ!またお弁当、忘れたのか」
先生が笑いながら怒ってる。

母ちゃんの弁当はいつもでっかいおむすびだった。
頬張ると、ぎゅ~っとにぎりしめた
母ちゃんの手のひらが伝わってきたっけ。

あれから四十年、久しぶりに母ちゃんのおむすびを食べたけど、
俺ちょっとショックだった。

やわらかかった。
食べようとするとぼろぼろこぼれてきた。
でも、精一杯の力で握ったんだね。

父ちゃんは早く死んじまったし、
苦労したもんな~、疲れたよな~、
母ちゃん。ありがとう。




わたしのエッセイ受賞作