皆さんは、アッシー、メッシー、貢ぐ君という言葉をご存知でしょうか?
懐かしいと思われた方は、バブル時代を知ってる方ですねニコニコ
ちなみに意味は、どこでも足がわりとなり車で送り迎えしてくれるだけの人がアッシーで、食事を奢ってくれるだけの人がメッシー、何でも貢いてくれる、買ってくれる人が貢ぐくんです。
みんな意中の彼女の本命になりたくて頑張るのですが、大体は関係を進展できないまま終わってしまう悲しい男達です汗

もしも今、蓮さんが捨て身覚悟でこんな事をやり始めたらどうなるんでしょうね~、きっと計り知れないスケールで尽くしまくり、キョーコちゃんを追い込んで行くんだろうと思うと考えるだけで楽しくなりませんか?
今回はこのネタで魔人様の4周年を祝い、蓮さんのピンチを救ってみました。

大変遅くなってしまいましたが、4周年の部★30行脱出企画にドボンです!

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魔人様の了解のもと、タイトルより前の部分(青字)に、魔人様の罠文を引用、一部アレンジして使わせて頂いてます。

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「男の誘い文句は裏の裏を読み切って対処すべき!」お人好し美女な祖母母姉の過去の失敗談から産まれた上田家の家訓。それを幼い頃から叩き込まれた末娘は、「あんなに奇麗なお姉ちゃん達まで騙されちゃうんだから、男って怖いわねぇ。ま、平凡な私を口説く人は詐欺師認定して間違いないわけだし、私は騙されたりしないけど」と、近づく男を滅多切りにする女性へと成長。
度派手な美女ではないけれど、とても可愛らしく魅力的なこの娘に本気で惚れた美男子君はさあ大変。
誠実に愛を囁いてみれば、「余分なお金持っていませんし、絶対に借金もしません!」「何かに利用する気ね!?」「悪事の手助けはしません!」「宗教には入りません!」などと、よく理解できない理由でバッサリ振られる、いや拒絶される日々。
男が頑張れば頑張る程、女性の目に浮かぶ不信感は強くなるのだから、どうしようもない。

この冬話題の恋愛コメディドラマ「愛やら恋やら男やら」。
主演の末娘の役;京子
ヒロインの末娘を口説く美男子役:敦賀蓮

母親との問題に決着をつけ、精神的にも随分大人になったキョーコは、夢中で女優の仕事を頑張って着実に力をつけていた。
今では恋や愛がテーマの仕事も普通にこなせるようになっていたものの、相変わらずのラブミー部所属でマネージャーもついてない。
またプライベートでは、周囲の人からの温かい愛情に育まれ、愛される幸せ、愛する喜びを知り、他人だけではなく自分も大切にできるようになっていた。
しかし、女性としての自己評価は相変わらず最低ラインであり、容姿を褒められても「奇麗=よく化けてるね」という風にしか聞こえない。
そんなキョーコが、今回密かに想いを抱く敦賀蓮と共演できるとあって、当初は素直にお互い喜んでいた。
現場でも蓮の演技を食い入るように見つめ勉強し、自分も精一杯の演技で向かい合い成長した姿を彼に見せようと努めた。
しかし、一緒にいる時間が長くなればなるほど「素の自分」の女性としての魅力のなさを「再確認」させられ、段々距離を置くようになってしまった。
蓮がどれだけアプローチしても、現在演じている末娘と自分を重ね合わせ「こんな美形がメロメロになるという設定自体がコメディよね。普通に考えたら告白には訳というか、裏があると考えるのが妥当でしょ!」と、ちっとも彼の言葉を本気にしようとしない。
撮影中、「演じている末娘の価値観による男前の口説き文句への解釈」がどんどん刷り込まれていくキョーコに危機を感じとった蓮は、とうとう理性を抑えきれず、「好きだ。」と伝えてしまうのだった。



『都合のいい男と嘘つき女』

「だから、何度言えばわかってくれるんだ。俺は君の事が好きなんだって!」
「嘘です!きっと何か裏がある筈です!私は騙されません。ついでに私は敦賀教信者です!他に改宗する気もありませんから、さっさと帰って下さい!」
「それはさっき撮った役の台詞じゃないか。まだ君は役が抜けてないのかい?」
「もう切り替えてます!ただ勉強になる台詞も多いので、色々参考にはさせて頂いてますが。」
「それだ!それが今一番の問題なんだ!」
「え!?どういう事ですか?」
「君は今回の役に影響を受けすぎている。だから俺が何度好きだと伝えても全然信じようとしないんだ。」
「だって全部嘘ですもん。」
「何故、決めつけるの?」
「貴方のような才能溢れる魅力的な人が、こんな平凡な女を本気で好きになる筈・・・・ない・・・全然、釣り合わないもの……」
「違う、そんな事はない!君は誰よりも魅力的な女性だよ。最上さんは何事にも一生懸命で、いつも前向きで、強いんだけど弱い所もあって、そんな君を俺は支えたいと思ってるんだ。泣き顔は少し苦手だけど、君の笑顔は俺に元気をくれるから大好きだ。ずっと君と笑って過ごしたいし、見ていたい。君の笑顔を独占したいんだ。」

「・・・・・・・・」

言葉に詰まるキョーコの頬にそっと手を伸ばした。

「それに自分を平凡と思っているようだけど、君ほど非凡な女性はいないよ。着飾れば誰より綺麗になるし、演じれば何者にもなれる。俺はいつも君に触発されて、また頑張れるんだ。」
「敦賀さんが?」
「ああ、君は俺に前を向かせてくれる、たった一人の女性だ。」
「でも、私は・・・・」

困惑した表情で話を聞いていたキョーコは、ふいに視線を避けて俯くと、そのまま黙り込んでしまった。
握り締めていた両手が、微かに震えている。

蓮は、彼女が生まれる前の母親の話を思い出し、これ以上追い詰められないと悟った。
しかしだからと言って、簡単に彼女を手放したくないし、他の男の隣で笑う彼女も見たくない。
昔に比べると、随分愛する事も、愛される事にも慣れてきた彼女だが、自分の魅力には相変わらず無頓着で無防備だから、気合を入れて馬の骨退治する必要もあった。
ただ、今どれだけ甘い言葉を並べ続けても、全部自分が演じてる末娘の解釈になぞらえて逃げるのは明白だった。

「わかったよ。」
「え?」
「もう言わない。」
「そうですか……」

寂しそうに目を伏せる彼女の表情が、蓮の期待を膨らませる。

「でもね、好きな気持ちは簡単には諦められないんだよ。それは君にもわかるだろ。」
「つっ……あっ、はい・・・・それは、理解できます。」
「だから、君が俺の気持ちに答えれられないなら、代わりに俺を諦めさせてほしいんだ。」
「諦めさせる?私が、ですか?」
「ああ・・・そうだな・・・・・君が我儘で嫌な女を演じるなんてどうだろ?。」
「演技?ですか・・・・・」
「そんなに難しい演技じゃないよ。君は俺に我儘な要求をするだけでいいんだ。後は、俺がそれに従って、できないと降参するまでやり続けるんだ。そうすれば、俺もきっと諦められる。」
「え、それでいいんですか!?そんなの簡単ですよ。」
「そう?」
「ええ、なら言いますよ。私を嫌いになって下さい。」
「はい?無理に決まってるだろ。」
「今、無理と言いましたね!では先ほど仰ったように、もう口説かないで下さい。」
「ズルい、こんな人の弱みに付込むような要求は反則だよ。大体俺は君を嫌いになれないから、こんな提案をしてるんだって、わかってる?」
「うっ・・・・」

かわいらしく、下手に出ながらも実はグイグイ押している蓮のペースに、知らずとキョーコも巻き込まれていく。

「じゃあ、どんな無茶がいいんですか?」
「うん、そうだな…例えば、自分が今いる所まで迎えに来て下さいとか……ご飯をご馳走して下さいとか……これ買って欲しいとか……かな?」
「それって酷く自己中心的な要求ばかりですね。」
「うん、それがいいんだ。」
「わかりました。私が無茶な注文を言って、敦賀さんを呆れさせればよろしいんですね?」
「うん、それ!そうして欲しいな。」
「でも・・・・崇拝している先輩をパシリ扱いになんて恐れ多くてできません。」
「パシリ?」

キョーコの言ってる意味がわからず、素早くスマフォを操作して意味を調べた蓮は、納得して頷いた。

「うん、そう使い走りでいいんだ。都合のいい男だと思ってくれて構わない。」
「ですが・・・演技とは言え、敦賀さんをアッシーやメッシー扱いなんて考えるのもおこがましくて、やっぱり私には無理です・・・・」

次々出てくる意味のわからない単語に、蓮はスマフォを駆使して意味を調べていく。
そして顔を上げると、人当たりのいい煌びやかな笑顔でキョーコを見た。

「わかった。なら、そっちは諦めるから、代わりに付き合ってくれる?」
「へ?」
「裏があると言うならば、付き合ってみた方が相手の本音が見えやすいだろ。まずはお試し期間と言うことでさ。」
「無理無理、絶対無理!そんな化粧品か何かみたいに簡単に言わないで下さい。敦賀さんとお付き合いするなんて、絶対に無理です!第一世間が許しません!!」
「世間は関係ないだろ?それにそこまで断言されちゃうと、さすがの俺も傷ついちゃうなぁ・・・・」

しょんぼり耳を垂らした、子犬のような表情で呟くと、キョーコは焦って頭を下げた。

「すみません。」

顔を上げたキョーコは、蓮より傷ついた顔をしていて
蓮の心がツキんと痛む。

「じゃあやっぱり、さっきの条件を受け入れてくれないかい?」
「でも・・・・ううう・・・・・それは・・・・」
「ねっ、お願い。」
「でもぉ・・・・・・・・」
「ねっ。」

ぐずぐずと返事をしようとしないキョーコに、蓮も引き下がらない。

「うっ・・・・本当にいいんですか?忙しい敦賀さんの負担にはならないのですか?」
「負担にはならない。むしろこのまま何もしない方が、仕事に支障をきたしそうだ。」
「駄目!それは絶対にダメです!!」
「なら、協力してくれる?」
「うううう・・・・・無茶はしないでくれますか?」
「もちろん、最上さんに迷惑をかけるような真似はしないよ。」
「わかりました。どこまで出来るかわかりませんが、頑張って演じてみます。」
「本当に!ありがとう。じゃあ早速だけど、お願いを言ってくれるかな。」
「え、もう?気が早いですよ!」
「善は急げって言うだろ。それに君がいつ気が変わるかもしれないしね。」
「信用ないですね。」
「お互い様だろ。」
「ふふ・・・」

少し迷った後、キョーコが言ったお願いに蓮は大きく頷いて、安心した笑顔で次の現場へ向かうため部屋を出て行くのだった。
しかしキョーコは確信していた。

忙しい敦賀さんがこんな無茶なお願いを
周りに迷惑までかけて叶えようとするなんて
絶対に出来っこない事を・・・・・・・


つづく


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